第五章 正義の定義③ お迎え
※挿絵あり
AIにて作成…しましたが、さっぱり思い通りにならない…
結局3枚のAI画像を合成しました。
もう一人のギャノン 正義の定義③
「ハァッ ハァッ ハァッ 」
タケシは激しく肩で呼吸をする。
「ハァッ これで、終わり、だよな…」
周りを見回す。全てのガイストを倒したハズだ――――が、ガイストでない者が視野の片隅に映った。ギョッとしてそちらを見る。そこには――――グレーの背広姿の男が、ポケットに手を突っ込んで立っていた。
「…三屋木…本部長…」
呟きながらタケシはゆらゆらと立ち上がる。
「パーティーは終わってるぜ」
「そうらしいな。やれやれ、良いものがあると使ってはみたが、所詮は操り人形か」
「なぜここに? いや、デギールだからか!」
「まぁそうなのだが、こっちは私の小遣い稼ぎだよ」
「小遣い? どういうことだ?」
「本来ここはヘブンの配送の準備で使われる予定だったが、私の『商品』とすり替えておいた。あんなモノよりよっぽどいい稼ぎになる」
三屋木は嘲笑うように冷笑した。
「警察に身を置きながら悪事を働くなんて…正義の心ってもんがないのかッ?」
「むしろなぜあると思っている?」
「え?」
「警察は正義の味方ではないぞ?」
「ええっ?」
「我々警察は日々起こる犯罪に対し、法的に処置をするだけだ。誰も正義を執行しようなんて思っちゃいない。所詮は公務員、組織の歯車だ。上からの命令をこなす、ただそれだけだよ」
「そんな…身も蓋もない…」
「身も蓋もなくても器はあるのだよ。そもそも悪とはなんだ?」
タケシは虚を突かれ言葉を失う。悪の定義など考えるまでもないことだと思っていた。
「悪とは正義が生み出すものだ。正義を声高に叫ぶ者が悪と決めつければ悪となる。正義がその許容範囲を狭めれば狭めるほど、悪が増えるのだよ」
「だが麻薬の取り引き! これは明らかな悪だ!」
「法的にはな。だがこんなもので消えていく者がいるなら、それはそれで好都合。社会のゴミが減るというものだ。まぁ、こんなつまらんもので気分良くなろうなんて、バカバカしい話だ。君は、そんな者のためにも正義を振り翳すと?」
「オレは正義の味方なんかじゃない。しかし、世に晒すべき悪があるというなら、それは記事にさせてもらう。そして民意の裁きにかける。物書きだからな。それがオレの正義だ!」
タケシはブレイドを構えた。
「私とやろうというのかい?」
だが三屋木は平然としたまま。
「アンタを倒し、警察に突き出して記事にしてやる!」
「やれるものなら、な。せっかく手に入れた力だ、有効活用するとしよう。何しろ『上』が五月蝿いのだよ。君を消せとな! パゾル!」
三屋木は叫ぶと共に右腕をひと振り。デギールの証である黒いギャノンスーツ、アンザグが現れた。
「『上』…ってなんだ? アンタ、地球の人間なのか?」
「なぜそう思った?」
「デギールのボスかと」
「ハッハッハ、バカな。本部長の地位に至るまでどれほど掛かると思っているのだね。ぽっと出の宇宙人が成れるほど甘くはないぞ? れっきとした地球人なのだが、まぁ良い。そうだ、宇宙人に間違われついでに自己紹介をしておこう。我が三屋木家は代々薙刀の家系でな、子供の頃は女性たちに混ざって稽古をしたものさ。道場は姉が継いだがな。警察官になるにあたり薙刀は役に立たなかったが」
ブウォォン
「雀百まで踊り忘れずってね」
三屋木の手には2m少々の長い棒状もの。先には「穂」と呼ばれる先端に50cm程の青い刃が光る。
「槍?」
「いま言ったろう。薙刀さ」
タケシのブレイドは手から先が1.2m程。リーチの差は明らかだ。
「さぁ。行ってみようか!」
グルッと一周振り回し構えた。反りのある青白い刃がタケシを見据える。
(どう攻めたものか…)
俊足を生かしてタケシが懐に入り込めれば勝ち。しかし三屋木の言葉通りだとするならば、相手はそれなりには薙刀を使いこなせるはず。そう易々と思い通りにさせてはもらえまい。
「どうした? 来ぬならこちらから行くぞ!」
ヒュ
速い。
ツキが一筋走ったが、ギリギリで躱すのが精一杯だった。ただでさえ前後に動く棒状のものは距離感が掴みにくい。その上で速さがある。
(できる…)
三屋木の言葉に偽りはないようだ。
「こっちもッ!」
タケシもツキに行くが穂で軽くあしらわれただけでタケシのブレイドは弾かれる。
「どうした? それで攻めてるつもりか?」
今度は円を描く様な小さなモーションから右胴が振り込まれ、これをタケシはブレイドで止める。そのまま前へ出て懐へ踏み込みツキを入れんとしたが、思いもよらぬところ、穂とは反対側の、柄の尻からもう一つのブレイドが発生、タケシの左下から薙いできた。
「ウォッ?」
それを辛うじて視野内ギリギリで捉えたタケシは大きく身を捩り転げることでギリギリ躱した。
「ほう。やるじゃないか。大した動体視力と反射神経だ」
「お褒めに預かり光栄だよ」
軽口で返すが実のところタケシには余裕が無かった。何しろさっきまで何十体ものガイストを斬り刻んでいたのだ。ギャノンスーツの助けがあるとは言え、中身は生身の人間、疲れもする。
(ヤッベ、今のマジでギリギリだった! そんなのアリかよ! ゲルググかよ!)
もちろん武道としての薙刀ならナシなのだが、何せデギール、ルールも何もありはしない。
「もうお終いかな? 小遣い稼ぎを知られた以上は見逃すわけにはいかん。何より『正義の味方』がいる以上、私の真の目的達成のためにも、ギャノン、君には消えてもらわねばならない。『上』がどうこう言う以前に、君のような存在は目障りなのだよ」
今一度タケシへ刃を向け構えを取る。
「真の目的?」
「ああ、デギールとは無関係にな」
「そんなことがデギールで許されるのか?」
「私にとってデギールなどどうでもいい。せっかく手に入れたこの力だ」
三屋木は薙刀を右下に構え
「裏社会を席捲し、日本を支配するッ!」
止めを刺さんとタケシへ向け突進する。
「させるかッ!」
呼応し、タケシは右八相の構えでツキを入れんと突進する。
「ハァァァッ!」
タケシが突くが
「甘いッ!」
三屋木は薙刀を振り上げ、ブレイドを弾く。
「クッソォォォッ!」
弾かれた勢いを利用し、タケシは右旋回。
「もらったァッ!」
三屋木が柄尻のブレイドでタケシを斬りにいった、その時。
【みやぎちゃん、そぉんなことかんがえてたんだー。ざーんねーん】
「何ッ?」
三屋木の頭の中へ直接話しかけた者がいる。
【デギールちゃんのおやくにたてないならー】
ブレイドは光を失い、次いで薙刀ごと消えると
【みーんなぼっしゅーしちゃうねー。うっしっしー。ばっははーい】
アンザグも消滅した。
「な、何ィィィッ?」
慌てふためく三屋木。だが旋回中だったタケシには一連の出来事は見えておらず
「ブレイカーッ!」
青く輝くブレイドで、旋回の勢いのままに左から薙ぎにいく。振り返ったタケシの目に入ったのは先ほどのグレーのスーツ姿の三屋木。
「な?! ブレイクオフッ!」
当たる寸前でブレイカーを解除するが間に合わなかった。青から赤へパワーダウンしている最中にブレイドは三屋木の右腹に炸裂。アンザグ相手ではないので爆発はしなかったものの、残ったブレイカーのエネルギーで三屋木は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「やっちまったかっ?」
慌ててグッタリしている三屋木の様子を見にいく。
「バイタルチェック! …命に別状は無さそうだ。大怪我は免れないだろうけど。フェイザー! バインド!」
ブレイドが緑に変わり、それでポスッと叩くと先から生じた緑の輪が三屋木を拘束した。
「お巡りさんと…救急車も、かな。フェイズアウト!」
タケシは相着を解くと携帯電話を取り出す。電話を掛けようとしたが画面には圏外とある。
「まぁ、地下だし。まずは外へ出るか。イタタタ」
あちこち痛む身体を撫でさすりながら、タケシは地下室を後にした。
◆
「アイタタタ…」
階段を一歩踏み上がるだけでも身体中が軋むように痛む。
「運動不足ってことじゃないと思うんだけどなぁ」
もちろんその通りで、時は20:28。3時間ほどもずっと戦い続けていたのだから。
一歩一歩踏み上がり…ドアが見えた時、絶望した。
「何だぁ…これぇ…」
鉄扉がベコベコボコボコに歪んでいる。
「あれぇ? 来た時もこんなだったっけ…? いや、そんなことないよな、普通に開いたし」
心配なのは外に出られるかどうか。ノブを捻り押してみるが開かない。いや、開こうとしているのだが、何か引っ掛かっているような手応え。来た時の開かなさとは手応えが違った。
「ああッ、もうッ!」
イライラついでに蹴飛ばしてみるが何事も無し。
「しょうがないなぁ…せーの、むぅッ!」
踊り場ギリギリまで下がり、体当たり。それを数回繰り返したところでドッとドアが開いた。勢い余ってよろよろとよろめきながら外へ出るタケシ。顔を上げれば月明かり。その青い光の中に浮かぶ黄橙色のシルエット。しかも…両手を前に突き出し銃口をこちらへ向け構えている様子。タケシはギョッとして反射的に両手を上げた。
「…タケシくん?」
「え? あ、はい」
名を呼ばれさらに驚くが、それは聞き覚えのある声。
「フェイズオフ」
その人影は銃口を下げ姿を変える。
「え? ルミさん?」
編集部で見慣れたチャコールグレーのスーツ姿のルミだった。
「無事だったんだね」
逆光の影なのか俯いているのかルミの顔が見えない。
「探したんだよ」
「そんな。探さなくったって、メールもしたし、このくらいなんてこと」
いつものようにイキって返事をするが
「…心配したんだよ」
ルミの様子がいつもと違う。その声は微かに震えていた。タケシは茶化したことを反省した。
「…すみません」
ルミは駆け寄り抱きつき、タケシの胸に顔を埋めた。背中でゴトンと重いものが落ちる音。その刹那、微かな月明かりでルミの目元にキラリと光るものをタケシは見たような気がした。
「メール読んで…意味わかんなくて返事出して…返ってこなくて…電話したら圏外って言われて…スーツ間通信も通じなくて…携帯のGPSデータを手繰ってここに辿り着いて…D領域は展開されてるし…どんなにガテーヌで撃ってもドアは開かなくて…」
ルミがここにいる理由、鉄扉がボコボコになっていた理由をタケシは知った。ルミに抱きしめられて、タケシは思う。
(暖かい、な)
生後間も無く母を失い、この歳まで生きてきた。初めて感じる人の温もりだった。
「すみません」
「今後一切一人で勝手に行動しないこと。約束できる?」
「はい。約束します」
タケシの胸に顔を埋めていたルミが顔を上げる。良い笑顔だ。
「うん。良いお返事ね」
すーっと温もりが離れていく。ルミはタケシの手を取り、言った。
「さぁ、一緒におうちへ帰りましょう」
「はい」
タケシは素直に返事をした。
青い月明かりの下、ルミに手を引かれるその景色に、なぜだかタケシは懐かしさを感じた。
■なぜ?なに?ギャノン!
Q21
タケシはフリーのライターとのことですが、原稿料だけで生活できているのでしょうか?
A21
以前それをタケシに尋ねた者がいて、「余計なお世話だ!」とすごい剣幕でキレられたことがあり、以来誰もその件について誰も口にしなくなりました。
実はタケシの記事のギャラにはちょっとだけ「イロ」がついているのですが、それはタケシ本人には内緒にされています。とはいえ、実際のところそれほど良い金額ではない上にバイクの支払いもしているので、タケシの生活は結構カツカツです。取材でデギールを追っている関係もあって日常の食事は学食以外は自炊はするもののコンビニ飯中心で、たまに牛丼屋やラーメン屋に入るくらい。早くに一人暮らし歴が長いこともあり、なんでも美味しくいただける体になっている模様。なんだか食生活はルミと変わりませんね。
実際のところ、父親は行方不明になった際、状況から死亡扱いされて生命保険が下りているのですが、タケシは手を付けていません。「それはオレの金じゃない」という気持ちが強いようです。
Q22
タケシってバイク乗ってますよね。車種は?
A22
特撮ですから!(笑)当然バイクはスズキです。現在GSXS1000Sカタナに乗っています。一目惚れだったそうです。新しいバイクに乗り換えるつもりでなんとなく貯めていた貯金をオールリリース、ちょっぴりローンも残っているそうですよ。ちなみにタケシの家にはガレージがあって、その中には父親が乗っていた車が今でも置いてあります。車種はR30型スカイライン・ターボRS-XインタークーラーCという長い名前のもの。通称「鉄仮面のターボC」とか呼ばれるヤツで、4ドアです。父親が、取材先で見つけたものを譲り受け、保存状態が良かったので大した手間なくレストアできたそうです。いわゆる「石廊崎事件」の時もこの車で出掛けていました。家に戻って来た車をタケシがあれこれ調べていた時に、例の手紙やらなんやらが、この車から出てきました。タケシがバイク好きな上に取材の機動性のこともあってバイクばかり乗っているのでこの車の出番はないのですが、今でもたまにタケシがガレージから出して洗車をしたりと大事にしています。車検は切れちゃってるので公道は走れませんが。
タケシの父親は骨董品(?)集めが趣味なのか妙な物を持っていて、タケシが使っている銀塩フィルムのカメラも父親が遺したもので、オリンパスのOM-4Tiという機種。モータードライブもあるのですがニッカドバッテリーがヘタっているので普段は外して使っています。レンズは、幾つかある中でズイコーマクロ90mmF2.0という本来植物などを接写するのに使うものです。手持ちの中で一番明るいレンズということで選びました。麻薬取引現場の盗撮ですからストロボは無しです。かなり暗いところでのスローシャッターでもそこそこ見られる写真を撮るのですからタケシの腕前は結構なものなのでは?




