5年生、あいりのおむつ日記
プロットを日記風にして晒す
4月
私はあいり、小学5年生の10歳。妹のシュリは5歳で、まだトイレトレーニングの真っ最中。私はシュリと違って、この年齢の頃にはパンツだったのに……と少し誇らしく思っていた。
5月
その日、目が覚めた瞬間に違和感があった。布団が湿っている。焦ってめくると、シーツに広がる濡れた染み――。
「嘘……おねしょ?」
まさか自分が? 信じられなかった。心臓が早鐘のように打ち、頭が真っ白になる。どうしよう。たまたまだ、疲れてたんだ、そう思い込もうとしても、不安が胸に広がる。それでも、私は布団を片付け、何事もなかったように振る舞った。
しかし翌週、またやってしまい、今度はお母さんに見つかる。シュリには絶対知られたくない。
6月
おねしょの頻度が増えて、週に2回に。お母さんに連れられて近所の泌尿器科を受診したけれど、特に異常はなし。
そんな中、シュリの昼間のおもらしは減ってきていた。なのに私はある朝、おねしょをしたまま寝ているところをシュリに見られてしまった。
「おねえちゃん、おねしょしたの?」
目を丸くして驚くシュリ。私は顔が真っ赤になった。なんでシュリに……!
そして、この頃から昼間のトイレの回数も増え始めていた。
7月
とうとうお母さんに夜のおむつを勧められた。
「もう何回も布団濡らしちゃってるし、洗うのも大変なのよ」
「でも……私、小学生だよ?」
「それでも、これ以上布団をダメにするわけにはいかないでしょ?」
「だって……そんなの、恥ずかしいよ……」
「恥ずかしいのはわかる。でも、このままだと毎晩布団を洗わなきゃいけなくなるのよ? お母さんも大変だけど、あいりだって気持ち悪いでしょ?」
「……うん……」
「じゃあ、おむつ履いてみよう?」
私はうつむいた。確かに、おねしょのたびに布団を洗うのは大変だ。
「……わかったよ」
仕方なく履いたおむつ。だけど、それをシュリに見られてしまった。
「おねえちゃんもおむつなんだ!」
シュリはなぜか嬉しそう。でも私は、彼女と同じになったことがたまらなく嫌だった。
8月
夏休み、大きな病院で検査を受けたけれど、異常なし。なのに、おねしょの頻度は週4回に増えていた。
家族旅行では、お母さんの判断で2人ともおむつを履くことに。
「昼はおむつしてないもん!」
シュリと2人で抗議したけれど、帰りの渋滞中、結局2人ともおむつを使ってしまった。
「おねえちゃんも?」
驚くシュリに、私は何も言えなかった。
9月
昼間もなんだかトイレが近い。授業中も落ち着かず、何度も席を立ちたくなる。友達に「トイレ近くない?」と指摘されて、動揺した。確かに、さっき休み時間に行ったばかりなのに、また行きたくなっている。自分でもおかしいと思うけれど、我慢しようとすると落ち着かない。
ある日、帰り道で一度おもらししてしまった。でも運よく雨が降っていたから、周りに気づかれずに済んだ。
10月
運動会の閉会式中、突然の尿意。でも逃げられなかった。
「……っ!」
体操服の下に広がる感触。私は立ち尽くした。
みんなに見られた。シュリにも、先生にも。恥ずかしさで消えてしまいたかった。
その後、授業中にも失敗するようになり、おねしょは毎晩続いた。
11月
学校からお母さんに連絡があり、「授業中の失敗が続いているため、本人の負担を考えて対策を講じてほしい」と言われたのだ。
「……あいり、学校でもおむつにしようか」
お母さんは私の手を取って優しく言った。でも、私はただ俯くことしかできなかった。
そして、昼夜おむつ生活になったのは、私の11歳の誕生日だった。
12月
冬休みに神経系の病院で診察を受ける。結果は、過去の交通事故が原因で神経に異常があり、治療はできないというものだった。
「もう、治らないんだ……」
その頃、シュリはついにおむつを卒業していた。もう昼も夜もパンツで過ごしている。
「おねえちゃんも頑張ればパンツに戻れるよ!」
無邪気に言うシュリ。でも私は、もう戻れない。
1月
尿意を感じることが少なくなり、時々気づいたらおむつが濡れていることがあった。そして、ある日ついに、うんちまでおむつにしてしまった。
「嘘……」
最初は偶然だと思った。でも、それから何度か同じことが起きた。
お母さんに相談すると、ため息をつかれた。
「もう、仕方ないね……」
学校に報告することになった。先生は理解を示してくれたけれど、友達の態度は変わった。以来、休みの日に友達から誘われなくなった。
私は尿意だけでなく、便意も感じにくくなっていた――。
2月
部屋に入ってきたシュリが、私のおむつ姿を見てふと鼻をすする。
「あいりちゃん、おむつは大丈夫? すごい匂いだよ?」
私は少しむっとして言い返した。
「うるさいな……ママみたいに言わないでよ……」
そういえば、シュリはいつからか、私を「おねえちゃん」と呼ばなくなった。
――完全に、立場が逆転してしまったんだな。