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2 雪原という人物

 わたしは気合を入れて家を出た。

 少しでもお金を節約するために自転車で通学する。

 自転車登校は新鮮だったけれど、学校に着く頃には太ももがパンパンだった。

 高校一年の時は女子高に通っていたから、共学の雰囲気に少し違和感があった。


「家庭の事情で万葉女子まんようじょし高校から編入になった、三波みなみ 亜衣あいです。よろしくお願いします」


 ホームルームでの自己紹介。

 おおっ、という男子のどよめきと視線の数々に一瞬たじろいだ。


「それじゃあ、あそこの空いてる席に座ってね」

「はい」


 座席は教壇から見て右端の列の最後尾。

 隣の席は空席だった。


(誰か休んでいるのかな)


 そんな事を考えていた時だった。

 ガラガラと扉が開き、一人の男子生徒が悪びれもせずに入ってきた。

 私はその男子生徒を見てぎょっとした。


(金髪だ)


 すらっと細身の長身。

 顔は凄く整っている。


「あぶねー、ギリギリセーフ」


 クスクスと笑う声が聞こえる。

 どうやら彼が遅刻してくるのは日常茶飯事みたいだ。

 彼は先生の注意を聞き流しながら、私の隣の席にやって来た。

 そして私の顔を見て言う。


「あれ、あんた誰?」

「あ、三波 亜衣です。今日編入してきました」

「ああ、そうなんだ。俺、雪原ゆきはら


 すっと差し出された手。

 わたしはそれを見て首を傾げた。


「?」

「いや、握手だけど」

「え、あ、はい」


 握った手は自分の想像の何倍もごつごつしていた。


「よろしく」

「よ、よろしくお願いします」


 思えば異性の手を握るのは初めてだった。

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