3話 港町ってどこにあるの?
突然ですがクイズです。
現在、私は心がとても疲弊しているのですが、それはいったいなぜでしょう?
①巨大モンスターが道のど真ん中で寝そべっているから。
②お嬢様が巨大モンスターに抱きついているから。
③町長が二日酔いで寝込んでいるから。
正解はー?
デレデレデレデレデレデレデレデレデン!
なんと全部でしたー!
いや、どういう状況ですかっ!?!?
改めて文字にしても意味分かりませんって、これ。
というか③については何ですか? キレますよ?
……まぁ何を言っているかまったく伝わらないと思いますので、順を追って説明いたします。
それは今朝、私とお嬢様がちょうど朝食を食べ終えた時のことでした――。
★―★―★
――ドンドンドンドン!!
「キャッ! 何!?」
私とお嬢様が朝食を食べ終えた時のこと。突然、玄関の方からドアを勢いよく連打する音が聞こえてきました。
私の対面に座るお嬢様は、思わず肩をビクッと震わせて悲鳴を上げます。
「……こんな朝から誰でしょう? 私が様子を見て参ります。お嬢様はここで待っていてください」
「た、頼んだわよメイディ」
私は席から立ち上がり、玄関の方へと歩きます。
玄関に近づくにつれ、ドンドンドンドンと激しい音と共に声も聞こえてきました。男性の声でしょうか、何やら少々早口で叫んでいるように聞こえます。
やがて玄関前に辿り着きました。――すると。
「ご領主様! ご領主様はいらっしゃいますか!? 町が大変なんですっ!」
と、慌てたような男性の声がハッキリと聞こえました。
――これはきっとただ事ではないですね。
私は玄関のドアノブに手を掛け、ドアを引きました。
「はい、どちら様でしょうか?」
そうして目の前に現れたのは――。
「あぁ、ご領主様!」
一人の若い男性でした。額にぐっしょりと汗をかいたその男性は、私の姿を見るや否や、必死の剣幕で私に訴えます。
「ご領主様、大変なんです! 突然港町に巨大モンスターが! 道を塞いでて! 助けてください!」
「わ、分かりましたから落ち着いてください」
思いつくままに言葉を口にする男性に、私はとりあえず両手を見せて落ち着かせます。
「えーっと、突然港町に巨大モンスターが現れて、それが道を塞いでいて困っているんですね?」
「……はい、そうです」
「道を塞いでいるだけなのですか?」
「えぇ、今のところは道を塞ぐように寝そべっているだけです……。ですが、いつ暴れだすか分からないので、みんな怖がっています」
なるほど、少なくとも人的被害が出ているワケではなさそうです。
しかし、なぜ港町に巨大モンスターがいるのでしょう?
港町はモンスターの主な生息地である森や洞窟からそこそこ離れていて、モンスターに襲われることは滅多にないはずです。
さらにいえば、巨大モンスターの目撃情報自体がそもそも珍しいです。
――それなら、どうして急に?
いずれにせよ、港町は領内で最も発展した地域です。この方の言うとおり、もしモンスターが暴れ始めでもしたら、人的にも経済的にもかなりの危険性があります。お嬢様に事態を伝えて、早急に現場へ向かうとしましょう。
「分かりました、ありがとうございます。では、お嬢様に伝えてまいりますので――」
と、言いかけたその時でした。
「話は聞いたわよ」
突如、私の背後からお嬢様の声が聞こえてきました。
振り返ってみると、そこには――。
「モンスター退治なら、この私に任せなさいっ!」
からだ全体で決めポーズをするお嬢様がいました。
腰を少しくねらせ、右の目元と左の腹部で横向きピースサインを作る謎のポーズ。背中には既に例の大剣を背負っていました。
「……何よメイディ、そんなジト目で」
「いえ、なんでもありませんよ」
戦闘がありそうな時だけやる気を出すんですね、と言いたくなりましたが、不満を言うだけ無駄なので口にはしませんでした。男性も頭にはてなマークを浮かべていますからね。置いてけぼりにはできませんし、はい。
「と・に・か・く、一大事ならさっさと出発するわよっ!」
「分かりました。仰せのままに」
そうして私は軽く準備を整え、お嬢様と男性とともに港町へ向かうのでした。
「――で、港町ってどこにあるの?」
……コイツ。
リ「ねぇメイディ、港町ってどんなところなの?」
メ「そこからですか? 領内一発展している地域です」
リ「あら、賑やかで楽しそうな所じゃない!」
メ「遊びに行くのではないんですよ?」
男「(不安だなぁ……)」




