表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/103

第93話教える事

 神が保大の教官(教授)になってから1年が経とうとしていた。

 「神教授?いい加減何か教えて下さいよ!」

 「教える事か…。そう言うのはな人に乞うものではなく、自分で体験し学習して得るものだと、私は考えている。と、私のSST時代の上司から言われて実践してきた。」

 「つまり教える事は何も無いと?」

 「いや、それでは私がここにいる意味がない。私の経験談で良ければそれは、君達保大生に伝えられる。」

 「私の講義はそんなにつまらないか?」

 「いえ、そうではないんですが、我々一般の保大生が聞いても、SSTの事は非日常的と言うか、そんな大変な部隊には絶対行きたくないと感じてしまうのです。」

 「楽な部隊なんかあるか!君達は何故保大に入った?何の為に海上保安官になるんだ?」

 「海上保安官は国家公務員だし、警察や消防より楽とでも安易に思ったのか?」

 「いえ、そんな事はありません。自分が保大を志願したのは、海の安全を守りたいと思ったからです。」

 「それなら、今でも遅くない。自衛隊に行け。」

 「防衛大学校や防衛医科大学校も受験しました。ですが受かりませんでした。」

 「それじゃあ海上保安大学校(保大)が自衛隊より楽に入れる所みたいに聞こえるじゃないか?」

 「たまたま保大にだけ受かったのは事実です。」

 「それでラッキーかと思ったか?」

 「いえ。その様な事は思っていません。」

 「俺が教える事は一つ。海をナメるなっていう事だ。貴様名は?」

 「山名大輔です。」

 「おまっ、まさか…山名長官のご子息か?」

 「はい。母親の山名愛は海上保安庁長官です。」

 「山名長官の子息だとしてもだ。俺が何かを教える事は何も無い。」

 「母ちゃん?神教授に何とか言ってくれよ!これじゃあ課題が全く進まないよ?」

 「神教授は相変わらず変わってないのね?大輔?神教授は口じゃなく背中で語るタイプの人なの。それにまだ教授になって1年たらず。お互い信頼関係を築けば良いんじゃない?まずは、SSTの事でも聞いてらっしゃい?ノリノリで話してくれるわよ、きっと?」

 「へぇ、SSTってそんな事までさせられるんですか?」

 「ああ、とにかく忍耐。」

 「昭和の日本陸軍や海軍よりもたち悪いじゃないすか?」

 「令和の時代でもSSTにコンプライアンスなんてものはない。」

 「爆発物やNBC兵器対策なんかもやるんですよね?」

 「資格を取得すればな。」

 「人事記録からも消されるとか?」

 「別段の問題は無い。寧ろ好都合だ。」

 「どうして自衛隊の武器をそのまま使っているんですか?」

 「武器を新調するには金がかかる。国土交通省の外局だからな海保は。大した予算が組めないのよ。」

 「それでよく戦ってこれましたね。」

 「無いものは無い。あるもので戦う。それがSSTの理念だ。」

 「神教授は現場を離れてからも、本庁特殊警備課長を勤めるなど、長くSST支援をしておられますよね?」

 「自分から希望したんだ。」

 「わざわざ苦しい方の道を選んでまでする価値はありましたか?」

 「山名学生、その答えはお母さんに聞きなさい。」

 「神教授が私の事を?」

 「いや、俺にもさっぱり分からないんだよ。苦しい道をあえて進む理由を知りたいんだ。」

 「まぁ、私が入る前のSSTは色々大変だったみたいだしね。」

 「そうなんだ。」

 「まぁ、そこまで深く理由を聞かなくても、神教授の事は分かるわよ。」

 「元部下とは言え、今は上司なんだから、部下の指導に口出せる立場だろ?」

 「こんなeasyな事位出来なきゃ、現場じゃ何も出来ないわよ?」

 「つーか俺SST志望じゃねーし。」

 「いーや、あんたみたいな人間はSSTで鍛えて貰う位が丁度良いわ。」

 「母ちゃんも神教授も本当にドSだよな。」

 「そう?ま、せいぜい神教授にビシバシやられなさい。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ