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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第92話シン・体制

 神海人が保大の教授になる事になってから、一週間後。海保は山名愛新長官を筆頭としたシン・体制に移行した。シン・体制では圧倒的に女性幹部が登用され、開かれた海保となった。

 「山名!」

 「隊長!?いや、教授!」

 「なんだ、お前はあの頃のままだな?長官のくせに。そんな調子だとすぐ下ろされるぞ?」

 「はい。気合い入れて頑張ります。神隊長は保大の教授になられたそうで?」

 「まぁな。セカンドキャリアも海保の為に尽くそうと思ってな。」

 「偉い!」

 「そんな大したものじゃないよ。」

 「いつ頃から教授になろうと思ったんですか?」

 「SSTを離れて大学院に通ってた頃からかな。」

 「学があって羨ましいです。私なんか海保校卒ですよ?」

 「学歴なんか気にするな山名。そんな事御構い無しに国会議員になって今じゃ海保長官じゃねぇか?普通海保辞めて代議士になろうなんて思わないぜ?もっと自信もって次の時代の光になれ!」

 「はい!」

 「時代は変わるかも知れないが、日本は島国だ。言われなくても、海保の重要性は増しているぞ?組織の改変は大いにやれ。しかしな海保の伝統は忘れるなよ?」

 「海保の伝統?」

 「船乗りの根性だ。それだけは曲げるんじゃねーぞ?」

 「はい。」

 「さ、お前も忙しいだろ?山名長官!」

 「ええ、まぁそれなりに。」

 「SST時代の気持ち忘れるなよ!」

 「はい!」

 「ま、俺が先生に言えるのはそれくらいだな。」

 「ありがとうございます。隊長もお体に気を付けて未来の海保を担う人材を沢山輩出して下さいね?」

 「分かっているよ。じゃな!」

 「失礼します!」

 「海上保安庁長官かぁ…。あの山名がね。俺も負けてはいられないな。」

 とまぁ、神らしい労い方で、山名愛に直接海保長官就任を祝した。

 「ねぇねぇ?岩ちゃん?」

 「はい!どうしました教授?」

 岩ちゃんとは、保大の職員であり海上保安官ではない、一般職の事務員である。神とは保大同期で岩ちゃんは入隊4年目に事故に遭い、二等海上保安正で一旦海保を退職するが、事故の後遺症も少なく直ぐに事務員としてカムバック。以来30年近く保大で事務員として勤務している。ちなみに階級は事務方トップの事務総長であり、100人近い保大の事務員をまとめあげている。本名岩田雅治。保大で彼を岩ちゃん呼ばわり出来るのは、神教授だけである。

 「PCの設定の方法が分かんなくなってさ。」

 「え?そんな事で俺を呼び出したの?」

 「同期のよしみじゃない。」

 「神君?そう言うのは若い事務員に頼んでよ?俺、一応事務総長なんだからさ。」

 「え?岩ちゃんってそんな感じだったっけ?」

 「昔の俺と比較しないでよ?30年も前の事じゃん?」

 「昔の岩ちゃんは凄く優しくてイケメンで出世頭第一号とまで言われたのにあの事故で全て変わったのかな?」

 「神君は何も知らないからそう言う事言えるんだよ?」

 「あぁ、何も知らない。知らないけど岩ちゃんが悪い奴だとは思っていない。」

 「二、三人若い事務員呼ぶから俺行くね?」

 「ありがとう岩ちゃん。」

 岩ちゃんは友人の中でも最大級に仲が良かった。保大時代には毎年首席を争った仲でもある。そう、岩ちゃんは神の最大のライバルであった。でも仲は良かった。何故なら岩ちゃんが凄く優しい人だったからである。悔やまれるのはやはりあの事故か。幸いケガの程度は軽く後遺症も無く社会復帰できたが、現役の海上保安官への復帰は医師から勧められなかった。それでもめげずに岩ちゃんは事務員ではあるものの、海保との繋がりを求め続けた。神が次長になった様に岩ちゃんは事務総長になっていた。神の知らぬ所で、岩ちゃんは岩ちゃんなりに闘っていたのだ。そう、神がゲロッグやロシア海軍と戦った様に。神は反省した。もう岩ちゃんはあの時の岩ちゃんでは無いのだ。神が鳴り物入りで入庁したあの保大卒業時とは違うのだ。

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