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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第84話修羅の意味

 神隊長は故フェルプス大佐が言っていた「修羅と化せ」と言う言葉の意味を考えていた。

 「修羅?鬼?とにかくその位の覚悟が無ければこの先生き残れないって事か…。」

 「神隊長!」

 「どうしたノムケン?そんなデカイ声出して?」

 「ロシアの極東軍が増派されるそうです。」

 「そうか。出来れば戦争を構えたくはないが、向こうがその気ならこちらにも覚悟がある。」

 「米軍も増派される見たいですよ?」

 「中野2正。」

 「良いんすか?武器の手入れとかしなくて?」

 「そんなの毎日やってるよ。3日に一度のファーストユニットとは比べて欲しくないな。」

 「チッ!」

 「第3次世界大戦でもおっ始めようてのか?ロシアは。」

 「いや、ゲロッグを殺られた報復ですよ。」

 「そんなに可愛がっていたのか?」

 「そりゃそうっすよ。ゲロッグの構成員の約8割はロシアの退役軍人でしたから。」

 「へぇー。そうなんや。そりゃロシアも怒るわな。」

 「これに中国が加わったらマジでヤバイっすよ。まぁ、今の所、中国は何も反応していませんが。」

 「今戦うのはロシアだ。中国は気にするな。」

 「ですが…。」

 「SSTに出来る事なんてたかが知れてる。とは言え、俺達は日本代表だ。中途半端な覚悟の者は今すぐ辞表を提出しこの場から去れ。」

 「神隊長…。」

 「神隊長!本庁から電話です!」

 「おう!」

 「神隊長、無理を言ってすまん。」

 「林次長じゃないんですか?一体こんな無理な作戦を考えたのは?」

 「山久長官だ。」

 「またあの人か。」

 「海自からの指示があっても聞く必要はないぞ。」

 「ですが林次長!?」

 「今は防衛出動がかかっているわけで…。」

 「心配するな。どうしてもやばくなったら、この私が指示を出す。」

 「我々海保は防衛出動時や海上警備行動が発令された場合は、自衛隊の指揮下に入ると保大で学びましたが…。」

 「一般の海保部隊はな。SSTは例外、適応外だ。」

 「分かりました。指示が出るまでは根室に在中します。」

 「そうしてくれ。」

 と、言うと林次長は電話をガチャ切りし、通話は終了した。

 「二階一正?すまんがもう少し在中する事になった。」

 「50数名位どうって事ないですよ。神隊長。」

 「時勢が喫近しているからな。それより二階一正の部下達はどこに言ったんだ?」

 「自衛艦隊の護衛に回っています。」

 「だからこんなに広い根室海上保安部がガランとしているのか。」

 「そうなんです。私は居残りなんです。」

 「でもこういう時こそ指揮官先頭で行くものじゃ無いのですか?」

 「実は私と同じ階級で根室のエースと呼ばれる男がいるのですが、彼に全責任を負わせて私は居残りする事になったのです。」

 「根室のエースが…。」

 「それより、皆さんお腹空きませんか?」

 「そうだな。今夜の9時だしな。」

 「飯の用意は?」

 「はい。出来てます。」

 「よし、休憩だ。各自交代で飯を食え。」

 「了解です。」

 「二階一正本当にありがとうございます。助かります。」

 「なぁに、戦場でも腹は減りますから。」

 「なるほど。」

 食事だけではなく入浴も済ませたSSTと特別警備隊員は眠りについた。そして次の日もまた次の日も出動命令はなく、その間神隊長は修羅の意味について熟考していた。でも遂に答えは分からずじまいであった。

 北海道東北沖では領海侵入してくるロシアの艦艇を米国海軍の原子力潜水艦が次々と撃破して、北海道に進軍してくるロシア海軍太平洋艦隊に打撃を与えていた。

 「見ろ!山名?これが戦争だ!」

 TVを見ながら流れてくる衝撃的な映像を見ながら、最年少の山名隊員に戦争の恐ろしさを語っていた。

 「そうか!これだ!修羅の意味。」

 と、神隊長は何を思いついたのか山名隊員を置き去りにして隊長室に戻っていた。

 「??」

 山名は意味不明であったが、神隊長が10分以上経っても戻って来ないので、TVの電源を切り自室に戻った。

 「心から守りたい。だから心を修羅と化して敵をやっつける。亡くなったフェルプス大佐はきっとそれが言いたかったんだよ。」

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