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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第77話リップサービス

 ルドルフ少将のマスメディア向けの所謂リップサービスは、度が過ぎており身内であるサダフィ大佐や車一佐もかなり嫌悪感を抱いていた。その内神隊長も行き過ぎたリップサービスに疑問符を抱く様になった。

 とは言え、米軍の高級幹部によるマスメディアへの発言は影響力が大きく、歴代の米軍将校達も続けていた悪い慣習であった。同盟国の日本もそれを許し黙秘してきた。余計な事は言わない。それが同盟関係を維持して行くには正しい選択だと元自衛隊幹部は口を揃える。 

 だが、嘘は言わない。嘘は身を滅ぼすからだ。本当にあった事を過大評価したり、無かった事実をあったかの様にしたりは決してしない。また口が滑っても隊秘に触れる様な事は言わない。マスメディア側もそれは理解しており、リップサービスはあくまで事実認定の一貫に過ぎない。それが原則なのだが、将校の中にはつい調子に乗って余計な事を言ってしまう。そうでもしないとマスメディアも事実認定して記事にしてしまう。言わばこれも情報戦なのかもしれない。にしても、ルドルフ少将は少しお喋りが過ぎる。

 「ルドルフ少将?あれほど釘をさしておいたのに、何でマスコミに吐露しちゃうんですか?」

 「すまん。まぁ、ワシのリップサービスは評判だからな。少し位吐露しても、軍事作戦は予定通り行われるんだ。それに嘘は言ってない。」

 「これが元で、ゲロッグに情報が漏れたらどうするんですか?」

 「サダフィ大佐、すまん調子に乗ってしまったよ。」

 「喋るなとは言いません。ただ、立場をわきまえて発言なさって下さい。」

 「サダフィ大佐!そろそろ作戦開始時刻です。」

 「車一佐?日本側の準備は整ったかい?」

 「はい。既に米国海兵隊と合流し、作戦開始ポイントでGOサインを待っています。」

 「時間は?」

 「後、5分程です。」

 「よし、少し早いが進軍させよう。」

 広大なアフリカ大陸の中央部(内陸部)に位置するスーダンの首都ハルツーム。流石に徒歩での行軍は無理なので、SV-22オスプレイを利用してハルツームを目指した。部隊の数は日本の海自SBUが50人(5人1小隊)、米国海兵隊が100人(5人1小隊)で、作戦の主力を担う米国海兵隊の装備は…軍秘だった。危うくルドルフ少将になりかけた。海自SBUが陸自特殊作戦郡をさしおいて選ばれたのは、その実力だけではなく、ジブチに海自の基地がある地理的要素が大きく影響していた。この150人30小隊の作戦の様子は海保巡視船つるぎでも確認出来ていた。マスコミ各社や神SST隊長はモニターに釘付けとなった。

 「神隊長、いよいよっすね。」

 「ああ。つーかアフリカって夜寒いんだね?」

 「寒暖さあるとは聞いてましたが、これ程とは。」

 「にしてもこんな夜中に暗視ゴーグル着けた戦いにSBUは慣れていないはずなんだが?」

 「夜間訓練もしてるはずだぜ?」

 「まぁ、米国海兵隊と言うプロ中のプロのサポートがありますからね。」

 「安心して見ていられるな。」

 「これでゲロッグもマジでオワコンだな。」

 「だと良いのですが…。」

 「作戦の指揮を採るのがあのお喋り少将だからな。」

 「大丈夫ですよ。サダフィ大佐と車一佐はしっかりしてますから。」

 「だな。」

 ドーン、ズドドズドド。

 「始まったみたいだだな。」

 「こちら海自もSBUの戦闘開始を確認しました。」

 「予想より北側での戦闘ですね?」

 「GEGか?」

 「ゲロッグも防御を固めています。」

 「突破出来るか?」

 「待て!無理くり行けばゲロッグの思う壺だ。警戒しながら進軍しろ。」

 「了解!」

 「少しずつ進め。地雷が有るかも分からん。」

 「車一佐、やはりかなりの地雷が埋まっています。」

 「サダフィ大佐?このまま進軍するのは危険なのでは?」

 「いや、ここで引き下がる訳にはいかない。それは日本も同じだろ?」

 「そ、それはそうですけど…。」

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