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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第70話アンケート結果

 形だけでもと一応集めたアンケートは集計し部隊内向けに結果を公表した。

 「はぁ…。」

 「神隊長どうしたんですか?」

 「例のアンケートだよ。やれ待遇が悪いだの、給料をあげろだの、俺にどうしろうってんだよ?」

 「まぁ、SST隊員や特別警備隊員とて、人ですからね。それにSST隊員は海保の中でも1、2を争う規律の厳しい部隊ですからね。それに見合った報酬を確保して欲しいのは至極当然の事。」

 「いっそのこと、山久長官や林次長に直談判してみるか?」

 「中井総理に直談判してみては?」

 「分をわきまえろ。たかだかSST隊長が総理に…。名案だな!」

 「どうせ長官も次長も予算が決まっているからと言って重い腰を上げないでしょうし。」

 「でもどうやって総理とコンタクトをとる?仮にコンタクトをとれたとしても予後が面倒だと思うのだがな?」

 と、まぁノムケンとこんな話をしていても事態は何も変わらないし無益なのだが、とりあえず総理に会いに行く前に林次長の所に行く事にした。それが筋と言うものであるからだ。

 「ほう。話は分かった。それがSST隊員や特別警備隊員の総意ならば給与の増額と福利厚生の改善をする様に指示を総務課の方に出しておく。」

 「次長?本当ですか?」

 「SSTや特別警備隊員にストライキでもされたら海保が笑われるからな。」

 「ありがとうございます。」

 「それより、セカンドユニットに入った女性SST隊員の方はどうなっている?」

 「山名愛三等海上保安士の事ですね?彼女ならようやくSSTに慣れて来ましたよ。最初はド緊張してましたが。」

 「大丈夫そうなんだな?」

 「彼女なら充分戦力になりますよ。男性隊員顔負けの射撃力がありますからね。」

 「そうか。ならば良い。」

 「これ一応次長にも渡しておきます。コピーですけど。」

 「なんだこれは?」

 「SST隊員と特別警備隊員を対象にした匿名のアンケート調査表の結果です。一応次長にも情報共有しておきたいと思いまして。」

 林次長は一度いらないと言いかけたが、貰っておくと言い直した。

 「こんなものよく思い付いたな?」

 「SSTでは結成当初から定期的にアンケートを実施する風土文化がありまして、ただこれを次長・海上保安監程高位の人に見せるのは初めてです。」

 「何故そんな事を?」

 「こうでもしないと、現場と指揮官の信頼関係が壊れる恐れがあるからです。過去のSST隊長がどうであったかは知りませんが、確かに今のSST隊員の平均給与は安いと感じます。任務の特殊性を考えると、人材流出にもなりかねない事態であると感じます。」

 「だから私の元へやって来たと。」

 「はい。最初は山久長官や中井総理に話そうと思っていたのですが、それでは次長・海上保安監である林次長の顔に泥を塗る。そう思ったのです。」

 「まぁ、確かに山久長官や中井総理にこれを持って行ったところで、私の面子は丸潰れだな。」

 「日々お世話になっている林次長なら一番交渉成立が高いとそう算段した訳です。情にほだされるとでも言えるでしょうか?そう言う感情は山久長官や中井総理にはありませんから。こんなもの只の紙切れだとしか思って無いでしょうしね。それはSSTが海上保安官で構成されているからです。国家公務員である海保隊員の雇い主は日本国政府。その主たる内閣総理大臣や国土交通省(海上保安庁)に意見を通すにはSST(我々)では弱すぎるのです。だからこそ次長にも部外秘のアンケート結果をお見せしたのです。」

 「なるほどな。そう言う事か。計算されたシナリオと言う事か。」

 「ええ。まぁ、そう言う事に結果としては成りますね。」

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