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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第66話アタックNo.1

 セカンドユニットの突1(突撃第一班)と突2(突撃第二班)と潜1(潜水第一班)は、SSTの中でも練度が高く、突1のノムタカと細谷は第二特殊警備隊(セカンドユニット)の中で最強のコンビである。第一特殊警備隊(ファーストユニット)の突撃部隊と比較しても勝るとも劣らない強さがある。

 細谷とノムタカは海保校出の普通の海上保安官だったが、SSTに配属されて変わった。二人とも口を揃えてこう言う。

 「こう言ってはなんですがね、俺達死んだ矢部元隊長に育ててもらったんすよ。」

 確かに矢部元隊長は海保を裏切ったゲロッグのスパイだったが、彼がSSTに残した財産もあった。その筆頭格が細谷とノムタカの様な存在と言えた。二人ともこうも言う。

 「矢部元隊長がセカンドユニット班長だった時代は、今の神隊長の頃と比すれば緩かったのかもしれません。でも、矢部元隊長は俺達SST隊員といる時はテロリストなんかじゃ無かった。同じ釜の飯を食い共に切磋琢磨して汗を流しあった。正直今でも矢部元隊長がゲロッグのスパイだったとは信じられません。でももう、矢部元隊長は死んでしまった。ゲロッグに利用されて。それが矢部元隊長の本望なのかもしれないけど、確実にSST隊員として有能な人でした。」

 「神隊長もその点に関しては異論は無いですよね?」

 「まぁ、色々あったがこの俺も矢部元隊長に世話になった口だからな。結果は最悪だったが、矢部元隊長はゲロッグのスパイでありながら、SST隊員を勤めて行く中で芽生えた何かがあったのであろう。と俺は推察している。」

 「生きていても殺される。口封じなど、テロリストの世界じゃよくある話だ。今矢部元隊長が生きていればどんな言葉をかけてくれたかな?」

 「おい、おい、マジかよ?矢部隆史はれっきとしたゲロッグの内通者やで?そんな奴の事慕っているなんて、セカンドユニットにはまだ内通者おるんちゃうか?」

 「ってめぇ!」

 「やめとけ。こんなカスの言う事なんか真に受けたらあかん。中野二正発言を撤回して下さい。聞き捨てなりません。」

 「なんや貴様ら。染みっ垂れてるのう。そんな事やから貴様らは二軍なんや。」

 「ノムケン!ここはこらえろ。殴ったら負けだ。」

 「隊長。しかし中野の奴何にも知らないのに言いたい放題言いやがって。」

 「ノムケン!貴様は矢部元隊長から何を学んだ?」

 「耐える時は耐え、一寸の隙をついて敵を攻略せよ。沈黙は金なり時に逃げなり。」

 「よく耐えたぞ!ノムケン!さぁ、今度は思いっきり反論してやれ。」

 「中野二正貴方は、矢部元隊長の事を知らないからそんな事が平気で言えるんだ。少なくとも矢部元隊長は中身の濃い人でしたよ?」

 「神隊長、どう言う事ですか?矢部元隊長はゲロッグの内通者ではないんですか?」

 「木を見て森を見ずと言う奴だな。何にも知らないのに裏切ったゲロッグのスパイと言う事だけを切り取って見るからそう言う事になる。矢部元隊長は本当に良い人だった。慕われはせど、人の恨みを買うような人じゃない。中野二正の言いたい事も一理ある。SSTにゲロッグの内通者を侵入させたのは海保の恥だ。許される事ではない。とは言え彼を否定出来るのは、彼を知る者に限られる。それが理解できたら、俺の気が変わらぬ内にさっさとファーストユニットに戻れ。」

 「っく!」

 とまぁ、セカンドユニット時代の矢部元隊長を知らない中野二正のここは分が悪かった。矢部元隊長はゲロッグの内通者ではあったが、今もセカンドユニットの隊員の心の中に大きく刻まれていた。

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