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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第56話再編の是非

 荒巻セルゲイ・ニコライの件は山久長官から中井総理に報告された。部隊の再編計画の話も出たが、林次長が総理を説得し、SSTの大規模な再編は免れ部分的な再編にとどまる事になった。とは言えずさんな人事防止の為、今後のSSTの人事に関しては、次長と海保長官のダブルチェック制度が導入される事になった。

 「なぁ?」

 「どした?」

 「荒巻の奴どうなったんだ?」

 「神隊長の話だとゲロッグには戻れず水死したらしい。」

 「マジで?自殺?」

 「分かんない。あくまで噂だけどな。」

 「でも神隊長がそう言ってたんだろ?」

 「あぁ、特別警備隊が遺体を見つけたのを確認したとも。」

 「何も殺す事はねーだろ?」

 「そりゃ、ゲロッグのスパイだからな。大した情報も持ち帰らず手ぶらで逃げ帰ってきたら、そんな奴は即フルボッコだろ?」

 「ひでぇ話だ。でも荒巻の奴も死を覚悟してSSTを離脱したんだからしょうがねーよ。」

 「素性がバレりゃあゲロッグに迷惑がかかるからな。そうなる前にSSTを離脱したかったんじゃねーか?」

 「ロシアが支持母体となるとゲロッグ殲滅は厳しいな。」

 「でもウクライナの事もありますし、どうにか戦えるんじゃないですか?」

 「お前馬鹿か?ロシアが核兵器何発持ってると思っていると思っているんだ?5000発以上持ってるんだぞ?ロシアは世界最悪のならず者国家だ。それにウクライナは西側の援助が無ければとっくに負けてる。一時の感情でロシアを敵に回すのは危険だ。」

 「そうだぞ、ノムケン。」

 「神隊長!」

 「荒巻の検死が終わった。死因は溺死だった。きっと仲間に殺られたのだろう。守ってやれなかった事はSST隊長として後悔している。」

 「隊長、ゲロッグのスパイだったんすよ?」

 「例えそうだとしてもだ。知らなかったでは済まされない事実だが、山中一乙がらみの内通者は全て排除した。SSTの部隊の大幅再編の話もでたが、林次長が懸命にSSTを守ってくれた。だからこれからもSSTセカンドユニットとして、しっかり頑張ってくれ!」

 「はい!!」

 「若いのにな…。」

 「本来ならもっとやりたい事もあっただろうに…。」

 「荒巻は良い奴だったよ。」

 と、セカンドユニットの面々は荒巻(セルゲイ・ニコライ)の密葬を行ってやった。

 「どうした皆?そんな顔して?しっかりしろい!」

 「ノムケンの言う通りだ。キム、ノムタカ、細谷、星、スーさん。これ位の事でへこたれる程我々SSTセカンドユニットは、弱い部隊ではないはずだぞ?」

 「また問題か?セカンドユニットは?」

 「中野ファーストユニット班長!?」

 「問題を起こすのはいつもセカンドユニット。ちゃんと品格を持ってやっている他部隊に迷惑かけないでくれる?」

 「中野班長?それは聞き捨てならないな。たまたまスパイがセカンドユニットに居ただけであり、他部隊に迷惑はかけてはいない。」

 「いやいや、隙があるからつけこまれるんとちゃう?」

 「それは…。」

 「これ以上の問題は起こすなよ!野村2正。」

 「てめぇに指示される覚えはない。中野2正!」

 「ファーストユニットにもし迷惑がかかる様な事があれば、この隊長である私の責任だ。SST隊長を即座にやめる。これは私の責任だ。セカンドユニットに罪はない。」

 「ほう。面白い。くれぐれも宜しくお願いしますよ?神隊長。」

 「中野班長ウザイっすね?」

 「いや、中野班長の言う通り、少なからず他部隊に迷惑をかけたのは事実だ。本来なら隊長であるこの私が頭を下げなければならない事案だからな。」

 と、他ユニット同士のわだかまりも強くなりつつあったこの時、神隊長はプライドを捨て全ユニットに対して頭を下げた。自らの失態ではないにも関わらずである。こうして、SSTは部隊再編と言う危機を何とかやり過ごす事に成功したのである。

 「神隊長!」

 「はっ!」

 「次はないからな?」

 「心得ております。」

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