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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第52話シン・ファーストユニット隊長

 空位になっていたファーストユニットの新班長には中野将(なかのまさる)2等海上保安正が本庁から派遣された。

 「神隊長、中野と申します。これからよろしくお願いします。」

 「おう、よろしく。」

 中野2正のファーストユニット班長就任は瞬く間にSST隊員の耳に入った。

 「大山元班長の後だけにプレッシャーだな。」

 「本庁出身で47歳っすよ?あんまり期待しない方が良いのでは?」

 「いや、その逆だ。中野2正は本庁では名の知れた鬼教官だ。学ぶ事も多いはず。とにかく失礼の無いようにな。」

 「私がですか!?」

 遡る事1ヶ月前…。大山尊元ファーストユニット班長が亡くなってすぐの事である。

 「君の経験は必ずSSTの役に立つ。」

 「御言葉ですが山中一乙、私は特別警備隊員の養成には経験がありますが、現場の経験はありません。ましてやSSTのような特殊な部隊の班長など自信がありません。」

 「まぁ、そう言わず引き受けてくれたまえ。若いSST隊員の手本になってくれ。」

 「山中一乙はそれで良いと思っていますか?」

 「そりゃあ君が抜けるのは教育隊としてはかなりのダメージだが、SSTのファーストユニット班長は実質SSTのNo.2。若手には荷が重いだろう。中野2正の様な経験豊富なベテランを抜擢したいと言うのが林次長のお考えの様だろう。」

 「他でもない山中一乙の頼みとあれば、無下に断る訳には行きませんからね。分かりました。何とかやってみます。」

 「SSTの事は任せたぞ!」

 とまぁ、信頼していた上官の説得で中野2正はSSTへの移籍を納得した。

 「はぁ。まさかこの年でSSTへの辞令が出るとは思わなかった。元特別警備隊教育隊員とは言え、間違い無くSST最年長の老兵。最年少の神隊長とは親子ほど年が離れている。まぁ、それだけの経験値がある事を買われてのファーストユニット班長への大抜擢である事は誰の目にも明らかだろう。」

 「訓練への参加は最小限で構いませんよ?」

 「神隊長?私は元特別警備隊員ですよ?"鬼の中野"と恐れられた私の体力を舐めて貰っては困る。これしきの訓練、若い者には負けん。」

 「そうですか。くれぐれも無茶はしないで下さい。これ以上の欠員はSSTの威信に関わりますから。」

 「なぁ、神隊長?ゲロッグってどんな組織なんだ?」

 「日米の力を持ってしても未だ壊滅に追い込めない国際テロ組織です。巧妙ですよ。時にSST隊長になりすまし、時に大胆なシージャックを決行したり、持っている兵器は常に最新のもので、神出鬼没。幹部を殺っても殺っても不死鳥の如く勢力を盛り返す。日本の海保だけでは到底相手には出来ません。」

 「なるほど。で、海自は動いてくれないのか?」

 「海自だけではなく、米国海兵隊にも協力して貰っています。まぁ、どちらかと言えば米国海兵隊の方が頼りになります。シージャック制圧能力に関しては、海保の何百倍ものノウハウを持っています。SSTは米国海兵隊から見れば赤ん坊の様なものです。」

 「56人中32人が突撃隊員か…。少数精鋭だな。」

 「はい。ですから隊員の命を第一に考えているのです。もう大切な仲間を失うのはごめんですから。」

 「神隊長?君は若いのに肝が据わっているじゃないか?」

 「そうですか?自分は保大出のキャリア組ですから、いつSST隊長の任を解かれるかは分かりません。」

 「そんな理由で海保がSST隊長の任を解くと本気で思っているのか?」

 「そりゃあ嫌ですよ。死にたくないし、家族もいる。」

 「ほう。それは皆同じだ。海上保安官ならな。神隊長には鬼の中野の教育が必要な様だな?」

 「ひっひー!?勘弁して下さいよ。」

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