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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第49話SSTの責任

 「ねぇ、海人?」

 「どうした?」

 「赤ちゃんできたかも。」

 「ちゃんと検査した方が良いんじゃない?」

 「非番の時病院に行ったの。妊娠2ヶ月目で双子だって。」

 「マジか!?」

 「SSTの事もあるし、子育ては私に任せて。」

 「そうは言っても双子だろ?」

 「海人?貴方はSSTの隊長でしょう?まずはSSTの責任をしっかり果たして。」

 「手伝える所は手伝うよ。」

 「うん。それで良い。」

 「SSTの責任…か。」

 「いつ何があるか分からないんだから、在任中は気を抜いたら駄目よ?」

 「まぁ、それはそうだな。」

 妻裕子の突然の懐妊発表に、戸惑う神海人は仕事と育児のバランスに不安を覚えていた。

 「隊長!おめでとうございます!」

 と、SST隊員は祝ってくれるが、神は全く喜べなかった。

 「双子だなんて、喜びも倍じゃないですか?」

 「あのな、一人でも大変なのにそれが倍になるんだぞ?まぁ、妻の裕子には悪いがなんで今なんだ?」

 「いやいやいや、神隊長の責任ですよ?お互いの合意の元で子作りしたんじゃないすか?」

 「まぁ、若いから勢いに任せてやっちゃったのかもしれないですが、生まれて来る子供に罪はないですからね。」

 「ノムケンもたまにはマシな事を言うんだな。」

 「人生の先輩として、御忠告しただけですよ。」

 「裕子が言ってたんだけど、SSTの責任って何か分かるか?」

 「隊長が分からないのに部下が分かる訳無いじゃないですか?」

 「それはそうだな。だが改めて言われると、うーん?ってなるんだよな。」

 SSTの責任とは何か?隊長になってまだ半年。分からない事は山ほどあったが、一番の謎はSSTの責任であった。だがそれを知る人間が本庁にいた。林真玄次長・海上保安監である。SST創設時(1996年5月11日)に岸和田海上保安署にいた林次長ならば、SSTの責任が何かを知っているはず。そう見込んだ神は、その教えを乞う為に林次長にアポを取った。神隊長は、まず次長に自らの妻裕子が妊娠している事を報告した。

 「まぁ、君はまだ若いからな。SST隊長とは言え人の子。ところで、何か聞きたい事があるのでは?」

 「はい!SSTの責任とは一体なんでしょうか?」

 「日本の海をその安全を広く日本人に担保する責任だ。取り分けSSTは過酷な部隊だ。もし出動となれば、その現場は非常に厳しい状況になっている事は容易に予測出来る。そうした過酷な中でも隊員を死なせない。それがSST隊長の責任だ。」

 「なるほど。」

 「まぁ、SSTの隊長と言うキャリアは君にとってはステップの一つにしか過ぎないのかもしれないが、私から言える事は一つ。今やるべき事をしっかりとやりなさい。」

 「はい!分かりました。」

 それ以上の事は言われなくても理解出来た。SSTの責任、SST隊長の責任。やるべき事は一つ。何が起きても良い様に準備しておく事だと。

 「気を付けろ神隊長?ゲロッグはまた何かを仕掛けて来るだろうからな。」

 「はい。その時はSSTに御用命を!では失礼します。」

 と言って神隊長は本庁から大阪まで戻った。

 「あ!いたいた。神隊長どこ行ってたんですか?探しましたよ?」

 「ちょっと本庁までな。用事があったもので。」

 「わざわざ本庁まで行ったんですか?」

 「まぁ、それ以上は聞くな。さっ、任務に戻れ。」

 「はーい。」

 流石は次長クラスの人ともなると違うなと感じざるを得なかった。

 「まぁ、考えてみれば俺の2倍の人生を生きてるからな。それくらい訳ないか。」

 「裕子!安全安心に俺達の子等を産んでくれよ。」

 「SSTの責任は分かったの?」

 「あぁ、次長にアドバイスしてもらったから大丈夫。」

 「私そう言う意味で言ったんじゃないけど?」

 「まぁ、今日はそれでよしとしてくれよ。」

 「SST隊長の癖に肝が据わってないのね?」

 「それは平隊員に言われたくないな。」

 と、相変わらずの裕子と海人であった。

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