第4話潜水班
セカンドユニットにも2人の潜水班員がいる。星時夫2等海上保安士と鈴木秀太1等海上保安士の2名である。SSTの潜水士は循環式潜水器と言う特殊な装備を用いて気泡を出さない潜水が可能であり、訓練されている。
潜水班は作戦にあたり、いの一番で出撃する。従ってSSTでは、セカンドユニットに限らず、優秀な潜水士を各管区隊から引っ張り育成する。
「おい!星?"アレ"(循環式潜水器)の手入れはしたのか?」
「すみません。まだです。」
「ったく、テメェはいつもトロイんだよ。そんなんじゃ前線で死ぬぞ?」
「すみません。すぐやっておきます!」
「残業代なんか出ねーからな!」
「スーさん?また星をいじめてるんか?最近の若者は"ガラスのハート"だからパワハラで辞めるなんてすぐ言い出すぞ?ここは昭和の日本海軍じゃねーんだからな。」
「はい!部下の扱いは適正に行います。矢部班長!」
「星?貴様も3年目だろう?ひよっこの新人じゃねーんだからそれくらいの事で怒られるな。」
「はい。」
「矢部班長?少し宜しいですか?」
「おう!どうした、神?」
「64式小銃の追加配備を申請したいのですが、どうすればよろしいでしょうか?」
「現状の装備に不備でもあったか?」
「この前の米国沿岸警備隊との演習で2挺不具合を起こして弾薬を発射出来ませんでした。」
「そうか…。この紙に事故明細を記載し持って来い。」
「分かりました。」
翌日…。今日はSST部隊対抗の潜水演習の日であった。
「星、スーさんいつも通りやればウチ(セカンドユニット)が1位だ。賞金も出るし頼んだぞ??」
「はい!」
「なぁ、ノムケン?」
「あ、そうか。神3正は初めてでしたね。SSTでは部門毎に定期的にこうした大会が行われていて、今回は潜水大会ですが、我々突撃班も大会はあるんです。ユニット対抗の為、優秀な班にはボーナスが支給されるんです。」
「ボーナス!?」
「危険手当てに最大10万円加算されるんです。とは言え、ファーストユニットに大抵持って行かれるんですけどね(泣)。」
「そんなに強いのか?ファーストユニットは?」
「神3正もやってみれば分かりますよ。」
「星、アレ(循環式潜水器)の準備は出来てるな?」
「はい!」
「よし!今回はファーストユニットなんかに負けないぞ!」
「スーさんは特別警備隊の出身だから良いけど、星はSSTの生え抜き隊員だからな。実力に差があるのは誰の目にも明らか。それでも星だって才能を買われてセカンドユニットの潜水士になっているんだ。ワンチャン勝てる可能性も無くはない。」
「神、よく見ておけSSTの潜水士のレベルの高さを。」
「はい。」
「全国12000人の海上保安官の中でも10本の指に入る猛者達のテストマッチだ。」
と、期待した神海人であったが、セカンドユニットはスーさんが3位、星は7位に終わりボーナス獲得とはいかなかった。
「矢部班長に顔向け出来ません。」
「なぁに、また鍛えれば良いさ。」
「はい。そうですね。」