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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第43話密命

 プライベートな事はさておき、SSTはある密命を受け、ファーストユニットとセカンドユニットは、米国ハワイ州ホノルルの米国海兵隊基地に招かれていた。

 遡る事一週間前。神隊長は本庁の山久長官に呼び出されていた。

 「米軍から合同訓練の要請?そんなの断って下さいよ。」

 「ゲロッグ掃討の様子を報告した海兵隊の士官がえらくSSTの実力を買ってな。無下に断る訳にはいかず、海保としても秘密裏にと言う条件付きでOKした。」

 「ちょっとはこちらの事情も考慮して下さいよ?」

 「まぁ、そういきり立つな。派遣するのはファーストユニットとセカンドユニットのみ。隊長の貴様は日本に残れ。それで手打ちとしようじゃないか。派遣期間も一週間と極めて短い。米国側の意図は全く不明だが、断って日米関係にヒビが入るのは避けたい。」

 と、まぁそんな感じで意味も分からぬまま、結局ファーストユニットとセカンドユニットをハワイ州ホノルルに派遣する事になった。もし、この事実が公になれば、海保は軍隊ではないと言う従来の姿勢に疑問符がつく。それは戦後から今日に至るまで海保がコツコツ積み上げて来た日本国民の信頼を大きく裏切る行為である。まぁ、話を受けた山久長官もその位の事は理解しているはず。

 ハワイ極秘遠征にあたっては隊長代行としてセカンドユニット班長のノムケンが任命された。観光気分で全く緊張感の無かった遠征隊は巡視船つるぎに乗り組み、遠路ハワイを目指し出発した。ハワイに到着してからはタイトな日程で、訓練も本格的であのファーストユニットやセカンドユニットがアップアップする程の超ハードな訓練であった。

 「ぜぇ…ぜぇ…リアルすぎるぜ。」

 「顔を上げんか?何をしにここまで来たんだ?」

 「日本のコーストガードのレベルはそんなものか?」

 「キ…キツいぜ!」

 三度の飯も喉を通らない様な厳しい訓練は更に激しさを増した。最終日は日米対決の紅白戦を行った。だが結果は米国海兵隊の圧勝であった。

 「チッ、散々な目にあったぜ。」

 「全くだ。」

 「ありがとうございました。とても勉強になりました。」

 「Mr.ノムラ、これを持っていけ。」

 「これは?」

 「米国海兵隊の訓練メニューだ。この通りに訓練すれば君達も我々の様に成れる。」

 「本当ですか?ありがとうございます!」

 とまぁ、地獄の一週間を何とか乗り切ったファーストユニットとセカンドユニットは、少し強くなって日本に帰国した。

 「そうか…。そんな事が…。」

 「マジでキツかったっすよ。」

 「そりゃあそうだろ。相手はあの米国海兵隊だからな。まぁ、脱落者が出なかったのは流石だな。」

 「あ!ノムケン?それ例のノート?」

 「はい。そうっす。」

 「折角だし取り入れてみるか?」

 「日本人には無理ですよ?」

 「そんな事はねぇよ。まぁ、物は試しだ。」

 「マジですか?SST辞めようかな…。」

 「冗談だよ。俺達には俺達なりのスタイルがある。それにこのノートは海自に渡すべきだな。ま、そんな事しなくても鬼ハードな訓練やってるだろうしな。たまにはこう言うのも新鮮か?」

 「いや、もう勘弁して下さい。こう言うのはもう…。」

 「とまぁ、そう言う具合です。山久長官、米国海兵隊はSSTの実力を知りたかっただけなんですよ。きっと詳細なデータも録られたでしょうし。SSTは本気で米国海兵隊に勝つつもりはなかったと言う隊員もいました。」

 「それならそうと言ってくれれば良いのにな。」

 「しっかり箝口令は敷いてありますので、情報漏れは無いかと。」

 「まぁ、そんなに大した密命ではなかったか?」

 「確かにそうかもしれませんが、米国海兵隊から貰ったメニューで今はSST隊員は体力、戦闘力共に大幅に増強しています。」

 「そうか。それは良かったな。」

 「はい。」

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