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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第5章・第41話キャリアの責任

 「わざわざ御越し頂かなくても、電話の一本でもあれば、本庁に出向いたのですが…。」

 「神隊長、君はキャリアの責任と言うものが何たるかを理解していない。」

 「次長は勿論理解なさっていますよね?キャリアの責任とやらを?」

 「保大出のキャリアはな、大抵が二等海上保安監か三等海上保安監で頭打ちになる。勿論、私の様にその壁を突破する者も少なからずいる。無論、階級が上がれば上がるほどその責任も比例して増す事になる。神隊長、君はまだ若い。まずはSSTで結果を出せ。いずれ君も私の様な立場になればキャリアの責任とやらを知るだろう。」

 「次長は暇なんですか?わざわざ大阪にまで来て言う事とは違う気がしますけど?」

 「SSTの隊長が24歳の若僧だと世間に知られて困るのは海保(うち)だ。海保最精鋭部隊の隊長と言う自覚をもっと持て。そして、もっと強くなれ。私からの話は以上だ。」

 「あ、そうそう南アフリカ遠征の計画書あるよな?」

 「はい、ここに。」

 「それを取りに来たんだ!」

 「税金使ってまで来なくても…。」

 「これはマル秘の機密資料だ。ファックスでピーと言う訳にはいかんのだよ。まぁ、今作戦でSSTの実力は世界中に轟いた。キャリアの責任たるものが何たるかを偉そうに説いたが、本当は作戦の成功を誉めに来た。見事だったぞ。」

 「一名隊員が死んでしまいましたがね。」

 「あまり喜んでない様だが?」

 「それはそうですよ。保大同期を亡くしたんですから。自分の監督不行き届きです。」

 「それだよ!それこそキャリアの責任だ。」

 「亡くなった大山隊員は本当に良い奴だったんです。ちょっと油断して命を落としましたが、大山の部隊統率は完璧でした。まぁ、保大出のキャリアっぽくない人間ではありましたから、出世を第一に考えるキャリアとは少し違うのかも知れませんね。」

 「指揮官先頭・率先垂範は日本海軍のものだと保大で習っただろう?」

 「正に大山はそれを実践したのです。」

 「それで命を落としては身も蓋もない。とは言え、ファーストユニットはその指揮官先頭・率先垂範を実施して結果を残して来た部隊。そう悪くは言えないな。」

 「でも大山は悔いていないでしょう。戦場で死ねたんですから。」

 「二階級特進。それが私に出来る唯一の償いだ。」

 「次長、お時間です。」

 「次に会うまでにキャリアの責任について君の見解をまとめておいて貰いたい。良いな?」

 「望む所です。次長、これ!(レポート)」

 「ありがとう。では!」

 「ったく何だったんだ?確かに情報漏洩はまずいけどよ。」

 「ノムケン?レポートまとめておいてくれてありがとうな。助かったよ。」

 「御安い御用で。」

 「セカンドユニットの方はどうだ?」

 「荒巻が一階級昇進して二等海上保安士になりました。何せ今作戦では50人近くのゲロッグ戦闘員を殺りましたからね。」

 「ガッツあるじゃねーか。」

 「はい。神隊長の穴をしっかり埋めてました。」

 「今後が楽しみだな。」

 「米国海兵隊も荒巻に関してはクレイジーだと言っていましたから、お墨付きですね。」

 「荒巻は入る所間違えたんとちゃう?」

 「いえいえ、SST期待のスーパールーキーですけどね。」

 「神隊長はそこまで見込んでセカンドユニットに?」

 「まさか。完全に荒巻の事はノーマーク。バディを組んだ時には全くそんな感じはなかった。」

 「それより良いんですか?林次長の事。」

 「あ、聞いてた?」

 「神隊長?貴方はもうSSTの"顔"隊長なんですからね?その辺りの自覚が問われているのでは?」

 「ノムケン、筋が良いね。何なら変わってやろうか?」

 「勘弁して下さいよ?こちらとらたった8人のセカンドユニットでも手一杯なのに。」

 「キャリアの責任…ねぇ。」

 神はまだその辺りの自覚が足りていない事を認めるしかなかった。与えられた宿題は次長への信頼に直結するものである事は間違い無かった。

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