第32話潜入
「作戦の指揮は私が執る。ファーストユニットにあっては大山2正の指示をあおぐ様に。セカンドユニットは野村2正の指示に従え!今は緊急事態だ。四の五の言っている暇は無い。いいな?」
「はい!」
「神隊長!ファーストユニットとセカンドユニットが同時にリペリング降下を開始し始めました。」
「大山!ファーストユニットの状況は?」
「A船の甲板に全員集まっている。指示があればいつでも行ける‼」
「了解。ファーストユニットにあたってはA船の制圧作戦に着手してくれ。」
「セカンドユニットはどうなっている?ノムケン?」
「B船の甲板に全員集まっています。早く中を!」
「了解。セカンドユニットもB船の制圧作戦に着手してくれ。」
「了解!」
「尚、ファーストユニットとセカンドユニットにあたっては絶対に無理はしないこと、深追いするとやられるぞ?」
「はい!」
「あいよ!」
「大山2正?この手口はゲロッグの仕業で間違いなさそうですね?」
「あの旗か?」
「ええ。ゲロッグのSNSに頻繁に出てくるゲロッグのシンボルが掲げられています。」
「敵も馬鹿ではないし、我々SSTの突入は折り込み済み。ここからは気を引き締めて行くぞ!」
「はい!」
「A船B船共にシージャックを行ったのは国際テロ組織ゲロッグのメンバーで間違いない。既にSST(海上保安庁特殊警備隊)の隊員がA船に8名、B船に7名各自投入されています。万が一の為、海自に応援要請を、また本庁(海保)においては、海上保安庁特別警備隊員の増員要請を山久茂海上保安庁長官に要請した所です。」
サッサッサ。「あそこに一人いるな。」
「殺りますか?」
「殺れるか?」
バーン!「おっ先っ!」
「野田?ッテメェ。」
「さっ、先を急ぎましょう。」
「しっかしデケェタンカーっすね?」
「この船(A船)は、総排水量2万5000トン。B船に至っちゃ3万0000トンクラスの世界最大級のタンカーだからな。とてもSSTだけじゃ制圧するのは難しそうですね?」
「何言ってる。神の奴が、俺達を捨てゴマにするはずがねーだろうが?俺達が投入されたのは、敵がどの位いて、どんな兵装を持っているか。それを知るのが先遣隊である俺達SSTの仕事だろ?」
その頃、特別警備船いずに置かれた対策本部では…。
「今は人員が欲しい。特にB船は7名しか派遣出来ていない。現状海保の特別警備隊員は何人集まっていますか?」
「30人って所じゃない?」
「柴野さん!?」
「久しぶりだな神隊長!」
「思い出話をしてぇとこだが、今はそうも言ってられん。安心しろ神隊長。ここは俺達の海だからな。」
「こちらセカンドユニット野村2正、B船のゲロッグ工作員は50人程存在する模様。」
「B船はたったの50人で制圧されたのか。野村2正報告を続けろ!」
「はい!兵装はかなりライトです。持っているのはカラシニコフ小銃や拳銃を保持している様ですが使用する様子はありません。護身用なのでしょう。」
「A船はどうなっている?」
「こちら大山。A船には100人程戦闘員がいて、こちらが突入するのはかなりのリスクがあります。」
「大山2正慌てるな。今応援を向かわせている。戦闘は応援が到着してからだ。」
「了解。」
「高木3正、一旦退こう。このまま進んだら戦闘が始まってしまう。」
「そうっすよ大山2正。流れ弾で大炎上する可能性もありますから。」
「??」
「気付きませんでした?A船は原油をたっぷり搭載したオイルタンカーですよ?」
「って事はB船も?」
「その可能性は高いかと。」
「こちらセカンドユニット野村です。隊長、B船も大量の原油が搭載している模様。」
「だからゲロッグの奴等重火器を装備していないのか。ノムケン!指示があるまで部隊を前に進めるな!」
「はい!」
「これじゃあ俺達も重火器はほぼ使えない。困ったな。」
「大山2正?A船も指示があるまで部隊を進めるな。下手に銃撃戦にでもなれば、流れ弾で大炎上する可能性がある。」
「了解!」
「林次長SSTだけではこれ以上進めません。至急部隊の増員を要請します。」
「泣き言を言うな…。とは言えないな。天下のSSTでも状況が悪すぎるな。」
「っく。しかしどうすれば…。」




