第2話装備
「いいか神、ここにあるのが俺達をいや"日本の海"を守る装備だ。」
「64式小銃に89式小銃!って言うかこれ自衛隊の武器じゃないすか?」
「まぁ、色々あってな。」
「海上保安庁は国土交通省の出先機関ですよね?」
「ああ。とは言えコーストガードを標榜する以上はそれなりの"ブツ"を持ってないとな。」
「警察が機動隊やSATを保有する様にですか?」
「ああ。SSTの発足当初は4インチ銃身モデルのS&W19回転式拳銃に38スペシャル弾を装備していたが、米国海軍ネイビーシールズから指導を受けた際に、SST隊員の優れた射撃精度に驚嘆した一方で、装弾数の少なさに伴う火力不足が指摘された事から、シグ・ザウエルP-228自動式拳銃やH&KMP-5やA5/SD6短機関銃等が導入された。また、狙撃銃として64式7.62㎜小銃に照準器を取り付け(豊和M1500)使用していたが、ボルトアクション式の豊和M1500は次弾装填の際に標的を見失う為、海上での狙撃には滴さなかった。その後2000メートル級の長距離射程を誇るマクミラン社製の対物ライフルも導入された…。って訳。」
「神、それからこの機動隊と同じレベルの出動服とヘルメットを任務時は常に着装し、大盾も扱う。一人前の海上保安官ならば、これ等のフル装備を3分で完了させる。」
「マジすか?スゴ。」
「でも海上保安庁は軍隊じゃないんですよね?」
「そうだ。でもSSTと特別警備隊は違う。あくまで我々は特殊警備隊だからな。」
「例外と言う奴ですね。と言うか特別警備隊って何ですか?」
「正式名称、海上保安庁特別警備隊。警察の機動隊に相当する。警備の専門知識や技能を備えた中核部隊として全国11管区で12隻が特別警備船内に配置される。ただ、指定船は少人数の為基幹機動隊の様なフルタイムの専任要員とは出来ず、パートタイムの乗務要員となっており、平時は他の一般隊員と共に船舶運航・海難救助等に従事し必要に応じて招集される体制をとっている。」
「つまり、SST(特殊警備隊)の様な常設部隊ではないって事ですね?」
「そう言う事だ。」
「とは言え、招集される隊員のレベルは高いぞ?」
「何せ時にはSSTの後方支援を担う事もあるからな。覚えておいて損はない部隊だよ。」
「キムさん!?」
「特別警備隊も中々強力な火力を持っている。特に2000年以降に導入された拳銃としては、装弾数の多いM5906や64式7.62㎜小銃や89式5.56㎜小銃や特殊発射用及びドア破砕用としてレミントンM870マリンマグナム等を装備している。」
「流石海上保安庁の精鋭部隊ってとこですね?」
「何言うてんねん。特別警備隊より常設の特殊警備隊(SST)の方がどう考えても精鋭やろ?なぁ、班長?」
「まぁ、同じ組織の部隊なんだしどっちが偉いとかはないだろ?」
「いっつも矢部班長はそう言うんだけどさ、一応俺達ポセイドンズだぞ?」
「兄ちゃん?その議論は不毛だって。」
「ノムケン!お前にはこのバッジの重みが理解出来ていないぞ?いっつも。」
「矢部班長野村さんて兄弟なんですか??」
「ああ、ノムケンとノムタカ。普段は仲の良いブラザーなんだがな。」
「ノムケンがお兄さんで、ノムタカが弟なんだ。」
「へぇー。そうなんですね。」