第28話内通者
「神2正ちょっと良いか?」
「はい。」
「まだ他にもゲロッグの内通者がいるらしい。SSTか特別警備隊内にいるらしい事が分かっている。詳細は不明だが調査して欲しい。」
「林次長?調査の全権を自分に託されるおつもりですか?」
「何か不服でもあるのか?」
「いえ、ありません。」
「私は君を信じている。この海保の膿を出し切って欲しい。」
「次長からの特命と言う事でよろしいですね?」
「ああ。ボーナスもはずんでやる。」
「ヨッシャー!俄然やる気が出て来た!」
「特命である事は誰にも話すなよ?」
「え?自分一人でやるんですか?」
「複数人で動くとこちら(海保)の意図がバレる可能性が高まるからな。保大を首席卒業した神海人、貴様なら絶対に出来る。頼むぞ!」
「はい。」
「でもどこからメスをいれたら良いんだ?まずは特別警備隊員のリストを手に入れるか。」
とまぁ、林真玄次長からの特命を受けた神海人はSST隊員と特別警備隊員全員を対象にゲロッグの内通者を見つけなければならなかった。
「ノムケン!ちょっと良いか?」
「はい。神2正どうしたんすか?深刻な顔して?」
「余計な詮索はするな。次長からの指示で特命任務が入った。その件に集中する為、貴様をセカンドユニットの代理班長に任命する。」
「マジすか?」
「あくまで代理だ。特命任務が終わるまでの臨時的な措置だが、緊急時は自分が指揮を執る。」
「代理を置くなんて、相当ヤバそうですねその特命。」
「ああ。詳しくは言えないがかなり鬼ヤバ案件でな。」
「分かりました。セカンドユニットの事は自分に任せて、その鬼ヤバ案件やっつけて下さい!」
「すまんが頼んだぞ!」
「御意!」
これで特命任務に集中出来る。と言うか、こう言うのって普通隊長がやるもんなんちゃうん?とまぁ、色々腑に落ちない点はあったが、まずは身内のSSTから調べる事にした。特段怪しい人物はヒットしなかったが、書類の書き換えなどゲロッグの様な一流のテロリストならば、雑作も無い事だ。
「流石にSSTには内通者はいないだろう?」
「いや、神2正。どうやら内通者はSSTの中にいるらしい。」
「次長!!?」
「私の方でも色々と調べたのだがね。不審な通信を感知して後を辿ったら大阪特殊警備基地からスーダン本国への通信をしている人間を特定した。」
「誰ですか?」
「フォースユニット副班長、箕島渉がその人だ。」
「だが、もう一人ゲロッグにアクセスした人物がいる。ファーストユニット班長兼SST隊長矢部隆史だ。」
「!!?だから自分に特命を…。」
「これから12時間以内に二人を拘束する。」
「マジすか?」
「不正アクセス及び偽幹部侵入助長容疑で逮捕状が出ている。今頃は特別警備隊を動員して、二人は拘束されてしまっているはずだからな。」
「自分になんか頼らずとも次長が解決してくれたじゃないですか?」
「いや、神2正が動かなければこの件はお蔵入りだったよ?」
「まさか??」
「そのまさかだよ。セカンドユニットに代理が立った事により、何か嗅ぎ付けられたんじゃないかと焦り、ゲロッグ(スーダン本国)に通信をしている所を捕らえたんだ。」
「そんな事で分かってしまうんですね?」
「って訳で特命は解除だ。また何かあれば頼むよ。」
「はい。」
「ノムケン、お疲れ様。特命解除だ。」
「え?もう終わったんですか?」
「あぁ、色々あったが特命はとりあえず終わった。」
「矢部隊長が捕まったのってマジすか?」
「あぁ。リアルだ。」
「ちなみにフォースユニット副班長箕島渉も捕まった。」
「何で二人は捕まったんですか?」
「二人はゲロッグの内通者だったんだよ。」
「マジすか?」
「SST創設以来最悪の汚点だ。」
「あの矢部隊長がゲロッグの内通者?有り得ない‼」
「そう思うだろ?俺もだよ。最初聞いた時はマジで耳を疑ったよ。」
「何であんな良い人が…。」
「仮面被ってたんちゃうん?まぁ、これから化けの皮が剥がされる事になるだろうがな?」
「とりあえず、これから緊急会議だ。ノムケン貴様も来い!」
「ええ!??」




