第27話道案内
「何でセカンドユニットが本庁の幹部の道案内を?」と、頭に疑問符がついたまま始まった本庁幹部2名を同行させてのゲロッグ日本支部への潜入任務。危険性は未知数だが、心強い事にファーストユニットと第5~第7ユニットがセカンドユニットの後方で待機。さらに海上から指揮船ひだ型巡視船にサードユニットとフォースユニットが待機していた。ちなみに、彼等SST隊員には詳しい地名や場所は伝えておらず、それは矢部隊長のみが知る事であった。
「情報漏れは上としては避けたかったんですかね?」
「さぁな?しかしSST総員を出動させての大がかりな作戦だ。内偵もかなり慎重にやられたって話だし、俺達としてもゲロッグには手を焼いて来た。ゲロッグを締め出すには千載一遇のチャンスじゃないか?」
「お荷物さえ無ければな…。」
「お荷物?」
「本庁の2監と一乙が2名護衛対象になっているんですよ。」
「この大切な局面でか?」
「仕方無いんすよ。本庁のご意向なんですから。」
「心配ならファーストユニットが先攻しようか?」
「そうしてもらうと非常に助かるんですが、本庁はどうしてもセカンドユニットに先攻させろの一点張り。本当にしつこくて…。」
「じゃあお前らセカンドユニットが腹括って行くしかないな。」
「トホホ…。」
「まぁ、何かあればSSTの他のユニットも控えてる。安心して、突入しろ。」
「分かりました。ここは腹を括ります。」
「神?お前ならやれる‼ファイト!」
と気合いを込めて作戦に臨んだのだが、既にゲロッグに情報を知られていたのか、ゲロッグ日本支部とされる所はもぬけの殻であった。
「どういう事ですか?」
神はその怒りを護衛対象となっていた加藤2監と梨田一乙にぶつけた。
「私に言われてもだな…。」
「どう考えてもSST内部に内通者がいるとは思えません。本庁だってそこは慎重にやられたって話でこれは確実だと踏んだからSSTを出動させたのでしょう?」
「私に何を言おうが、今回の作戦は空振りだったと、そう報告させて貰うよ。」
この時居合わせた梨田一乙も怪しいと睨んだ神はセカンドユニットの細谷とキムに追尾させた。
「神2正、ビンゴです。梨田一乙も加藤2監もゲロッグのメンバーの様です。」
「くそ、こちらの戦力も向こうに筒抜けじゃないか!」
「何か怪しいと思ったんだよな。やはりそうか。」
「山久長官に報告を。」
「いや、その前に林次長に報告だ!許可が出れば加藤2監と梨田一乙には死んで貰う。」
「ちょ、ちょい待て。神2正!そんな怒りに任せたテロリストの殺害を本庁が認める訳無いじゃないですか?」
「現場の意見に耳を貸さずガン無視するからこういう事になるんだ。今この偽幹部を野放しにすれば、不利になるのはSSTなんですよ?」
すると一人の海保関係者が口を開いた。
「今回の作戦は本庁のミスリードだ。本当にすまん。」
「林次長??おられたのですか?」
「海保の機密漏洩だけはどうしても避けたい。」
「と言う事は二人を始末して良いと言う事ですか?」
「神2正、君の判断に任せるよ。」
「細谷?キム?二人を殺れ!」
「姿が見えません。」
「暗視ゴーグルを使え!準備しておいて良かった。」
「二人を捕捉!狙撃します!」
「射撃許可良し、発射!」
「着弾、目標制圧。」
「まだまだ詰めが甘いな。細谷。」
「さっ、ズラかりましょう。」
「はい。」
「海保内部にまで内通者がいるとは、恐るべしだな。ゲロッグめ。」
「地獄への道案内になってしまったな。実に残念だ。」




