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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第25話2等海上保安正のやる事

 小さな部隊とは言え、今や神はセカンドユニットの班長である。だが、本来2正のやるべき仕事とはかなり相違がある事は確かである。一般的な2等海上保安正と言えば、まだまだキャリア組としてはかけだしのヒヨッ子。上司からの指示を受けているケースも多々ある。一方で、SSTには叩き上げの2正や3正が多く、自ら能動的に部下を率いると言うスタイルが定着している。

 現場で指揮をとれるのは他の誰でもない自分しかいないと言う特殊な環境が本庁にいる並の2正とは全く違う所である。並の2正は部下よりも上司の方が遥かに多い。だが、SSTの2正は上司は隊長以外に上司はなく、いるのは血気盛んな若者ばかりだ。無論誰でも入れる部隊ではない。厳しい選抜試験と適性検査を経て着任する。神海人の様なケース(副班長相当の3正が部隊におらず、キャリア初任地としてSSTに配属される事)はなかりレアで、神海人と言う青年のスペックの高さを本庁人事課がやっていた事が分かる。

 「なぁ、キム?」

 「なんすか?」

 「神2正がいなくなったら、次期2正はやっぱ…。」

 「スーさんっしょ?」

 「そうだよな。ノムケンには荷が重いか。」

 「いや、そんな事はないと思いますけど?」

 「細谷はそう思うか?」

 「はい。ノムケンさんも充分努力してるじゃないですか。」

 「そーやって甘やかすから、単独副班長任せてもらえねーとちゃうん?」

 「我が弟は兄貴に対して厳しいのう。」

 「まぁ、いずれにせよ近い将来どちらかの3正がセカンドユニットの班長になるって事は確かだな。」

 「つーか、何でこんなに入れ替え激しいんすか、この部隊。」

 「知らないんすか?SST隊員は30歳以下って制限あるんすよ。」

 「マジかよ?じゃあ年功序列じゃないですか。」

 「いや、まぁ、そうとも言えないんですけどね。」

 「矢部隊長なんてとうの昔に30過ぎて勤続20年近くになるだろ?」

 「例外もあるっちゅう事なんちゃうん?」

 「まぁ、確かにこの部隊若くねーと厳しい部隊ではあるのは確かだからな。」

 「殉職する隊員もいるしな。」

 「それくらい追い込むっちゅう事だな。」

 「海保校でも厳しかったですが、SSTはそれ以上っす。」

 「荒巻?てめぇ馬鹿か?SSTは海保最後の砦だぜ?」

 「そうそう。厳しいのは日常的。」

 「星さんが喋った!?」

 「あまりにも馬鹿げた質問に仏の星も一口開いたか?」

 「こっちはさ、突撃班と違って潜水潜入班だから、いの一番に対象船舶に向かわなくちゃならないんだ。だから誰よりも黙って鍛える。ですよね?スーさん?」

 「まぁ、現場では無理をせず状況把握し終えたら班長に合流するんだけどね。後は指示待ち。自動小銃を持った突一突二に任せるのが定石。それに現場の様子が分からなければ、突撃班もどう入れば良いか分からないもんね。」

 「いつもお世話になっております。」

 「とは言え、シージャックやNBCテロなんて、普通に生活していたら経験しないから、何も出動しないまま、SSTを巣だって行く海保隊員も多いよ?」

 「けれど今回は厄介な組織に目を付けられちゃったね?」

 「ゲロッグってそんなにヤバイ集団(ヤツラ)なんですか?」

 「結束の強い彼等の元にあるのは、蹂躙され続けてきた祖国(スーダン)の深い闇。そこに目を付けたのがISと中国だった。ISは人員を。中国は資金を。それにより誕生したのがゲロッグだ。一説にはあのアルカイダよりも厄介な組織だと言う専門家もいる。」

 「ISにチャイニーズマネーってヤベェ奴等じゃないすか?」

 「だから、こうやって毎日鍛えているんじゃないか。」

 「大体、あの時赤の風のメンバーを殺さなきゃこんな事にはなっていない訳で。」

 「そんな事言うなよ。殺っちまったもんは仕方無いじゃないか?」

 と、まぁ各員それぞれに思う所はあるようだが、過ぎ去った事を悔いても問題解決にはならない事位分かっていた。

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