第23話お前と俺は一身同体
「荒巻、ちょっと良いか?」
「はい。」
「お前と俺はバディだ。分かるな?」
「作戦中の相棒って事ですね?」
「そんな生易しいものじゃない。お前と俺は一身同体、つまり運命共同体と言う訳だ。」
「生死を分かつバディ。良いじゃないですか?」
「あのな荒巻?とりあえず俺の足を引っ張らぬ様に訓練してくれ。」
「了解でーす。」
「これがZ世代…俺もか。」
「神班長、ゲロッグの新しい拠点を発見しました‼」
「そうか。直ぐ行く。荒巻!俺が戻るまでに貴様の身の上話をあらいざらいこの紙に書いておけ。いいな?」
「はーい。」
「ったく、最近の若者はって、俺が言うセリフじゃねぇか。」
「神班長、ゲロッグは台湾で暗躍している様です。例えばこれ。」
「これは台湾軍になりすまし台湾周辺を航行する主に韓国や日本行きの大型タンカーに狙いを絞っている様です。」
「台湾当局は何をしている?」
「ゲロッグは中国からの指示で海賊行為を行っている為、これ等の取り締まりはいたずらに中国の怒りを刺激する事になります。台湾の与党進民党は対中寄りの政策を進めており、ゲロッグの取り締まりには消極的です。」
「先日の赤の風によるシージャック事件にもゲロッグの台湾支部が関わっている様です。」
「どうにかならんのか?」
「台湾当局が重い腰を上げない限りゲロッグの取り締まりは、止められないのが現実です。」
「ただそれを知った所でどうしようもないか?」
「いえ。神班長策はあります。」
「本当か?」
「米軍の協力を得るのです。」
「正気か?米国がいくら親台湾でゲロッグをレッドリストに入れているとは言え、台湾地域に攻撃でもしてみろ?米中のガチバトルになるぞ?そこまで理解した上で米軍の協力を得るのか?」
「まぁ、神班長の言う通り相当なリスクはあります。台湾のゲロッグを潰せたとしても、またスーダンから新たなテロリストを補充するでしょうし。それでは問題の根本解決にはなりません。ゲロッグの台湾支部を叩くには台湾当局の活性化が欠かせません。中国の為と言ってゲロッグを野放しにしておく事の危険性を台湾当局に理解して貰うのです。」
「米軍はきっと動いてくれないぞ?」
「それで良いんです。あくまでフェイクですから。台湾当局が動けば少なくても中国の指示で活動している在台湾のゲロッグは摘発対象になって中国に強制送還する事も可能でしょう。」
「そうした策しかないのか?」
「あくまで我々も海保隊員ですから。」
「じゃあノムケン、その方向で進めてくれるか?」
「はい。」
「…で書けたか荒巻?」
「はい。一枚じゃ足りなくて二枚になりました!」
「ほう…どれ?神奈川県横浜市が出身地。高校までは野球部に所属。それにまつわるエピソードが大半だな。まぁ、それは良いとして、海保校に進学。逮捕術や射撃能力は右に出る者なし…それを自分で書くか?まぁ、良いか。優秀なのに違いはない。」
「ちなみにな、荒巻?俺は保大卒の2年目だ。保大時代は常に首席。上には上がいるんだよ?荒巻君?」
「保大出の人が何故SSTに?キャリア組の花道にいるくせに?神班長変わってますね。」
「俺は変わってるからな。」
「ま、お互い変わり者って事で宜しくな荒巻3士‼」
「よろしくお願いします。神班長。」
こうして神海人は新たなバディと組む事になった。
「神班長、良かったな。うまが合いそうで。」
「矢部隊長にはまだまだ及ばないすけどね。」
「ま、手塩にかけて育ててやれよ。」
「はい。」




