第16話ユニット別対抗戦(UBTS )①
「今年もアレの季節がやって来たな。」
「来ましたね。今年こそ王座奪還ですね矢部班長?」
「アレって何ですか?」
「そうか神3正は初めてか?」
「ファーストユニットからフォースユニットの特殊警備隊員による運動会みたいなものですよ。」
「ユニット別対抗戦通称UBTSだ。今年で15回目になるが、現在ファーストユニットの14連覇中だ。セカンドユニットは第1回大会以来の優勝に挑む。UBTSでは射撃、リペリング、潜水の3部門の種目でスピードや正確性を競う。公平を期すため各ユニットの班長は参加せず、審査に臨む。だから今年のセカンドユニットの指揮官は神3正、君だ!」
「いきなり重責を…。」
「エントリーは7名中3名だ。人選は神3正君に任せる。」
「了解しました。」
「じゃあまず潜水は星2士。」
「はい!」
「リペリングはノムケン。」
「はい!」
「射撃は木村2士。」
「はい!」
「以上の3名で優勝を取りに行く。選ばれなかったメンバーはそれぞれのバディの練習やサポートを頼む‼」
「神3正?このメンツでファーストユニットに本当に勝てるんですか?」
「それはやって見なければ分からないだろう?それに勝利も大事だが隊員の命の方が大切だ。だから、安心して見ていられるメンバーを選出したつもりだ。」
「それはまぁ、大切ですけど。」
「矢部班長からは無理はするなと言われている。だから、このメンツになった。」
「なぁキム?」
「ノム兄(ノムケン?)
「お互い大役を任されちまったな。」
「そうっすね。」
「俺なんて射撃成績全くだめですよ?」
「何言うてる。俺のリペリングなんて、人に見せられるレベルちゃうで?それ分かってはるのかな神3正は?」
「まぁ、完全に置きに行ってるのは確かだがな。」
「潜水の星なんかまだ、2年目やで。勝つならスーさんやろ?」
「ノムケン?神3正も言うてたろ?勝利より安全だって。」
「でも、やる以上は勝ちたいよな?」
「そりゃあそうすけど。課業後の居残り練も禁止て、ぶっつけ本番やないですか?」
「ファーストユニットなんかリペリング練習の為に平気でヘリ飛ばしてますよ?」
「射撃場もほぼ独占。誰が出ても良い様に総員を上げて優勝狙いに来てますよ?」
「まぁ、この熱量の違いじゃファーストユニットの15連覇は確実だな。」
「戦う前から諦めるなよ。出来る事をしてベストを尽くそう。」
「神3正!?」
「自分に力があれば、ファーストユニットに好きな様にはさせなかったのだが、貴様らは当日安全に競技を乗り越えてくれれば、それで良い。」
「そんな事だから、セカンドユニットは二軍だなんて陰口叩かれるんですよ?」
「矢部班長!?」
「練習なら深夜やれば良い。どうせファーストユニットは自慢の射撃力でマウントを取りに来るに決まっている。リペリングや潜水では過去のデータを見ても大差はつかないだろう。射撃場の使用については、安田保SST隊長の許可を得ている。射撃で競り勝てればセカンドユニットにも優勝の可能性は、そのチャンスはあるはず。」
「キムさん、頼みますよ!」
「他のメンバーも木村2士の射撃分析を頼む。気付いた事があれば、何なりと指摘してやれ。絶対優勝すんぞ!」
「おーーーーーす!」