第13話神3正の射撃能力
「おお!流石神3正。セカンドユニットの副班長に相応しい射撃能力ですね!」
「大した事じゃないさ。保大時代から射撃には自信があったんだ。とは言え、現場で同じ様な射撃が出来るかは分からないけどな。あぁ、そうそう皆の射撃能力見して貰ったよ。中々の出来だったよ。ファーストユニットにも負けず劣らすのスコアだった。」
「それくらいでしかファーストユニットには対抗出来ませんから…。」
「そうそう!64式小銃や89式小銃の撃ち方を教えてくれないか?俺、撃った事はないんだよ。」
「ではバラシからですね!」
「バラシ?」
「小銃をパーツ毎にバラバラにして再組み立てする事です。目安は3分と言われています。」
「初見でそりゃ無理だろ?」
「だから訓練するんじゃないですか?」
「64式小銃と89式小銃のバラシと再組み立てを神3正には覚えて貰います!」
「俺、班長とのバディで拳銃班なんだけど?」
「四の五の言わずやって下さい!矢部班長からも時期を見てやるように言われてますし、教えてくれないか?と言ったのは神3正の方じゃないですか?」
「それはそうだけど…。」
「覚えてしまえば簡単ですから先ずはやってみましょう‼」
「言っておきますけど、バラシは3等海上保安士でも出来る事ですよ?ちゃちゃっとマスターしちゃいましょう。」
と、神3正に教えてくれたのは木村2士であった。それから1ヶ月。みっちりやった結果神は目安の3分を大幅に下回る2分40秒台で64式小銃と89式小銃のバラシが出来る様になった。
「飲み込みが早いな。」
「ええ。流石は保大首席卒業をしているだけの事はあります。」
「で、射撃の方もさせているの?」
「矢部班長の指示通りバラシを覚えてからは正確無比な射撃を連発しています。射撃テストも実施しましたが、結果はオールAパーフェクトでした。」
「言う事なしか…。」
「センスがありますよ。」
「ほう。」
「突撃班に来て貰いたい位ですよ。」
「それは無理だよ木村2士。僕のバディだからね。」
「この調子だと昇進も早そうですね。」
「それは人事を預かる本庁の決める事だよ。」
「にしても、こんなに筋の良い人は久しぶりに見ましたよ。矢部班長並みじゃないすか?」
「僕と神3正どちらが射撃センスがある?」
「断然神3正っすよ。」
「一刀両断してくれるね。まぁ、木村2士が言うんだから間違いはないね。とんだスーパールーキーが入ってきたな。」
「で?次は?」
「神3正に教える事はもうありません。自分の想像を越えるスピードで神3正は小銃訓練をクリアしました。」
「もっとおもろいもんないんか?」
「お言葉を返す様ですが、これは遊びではありません。」
「それは分かってるけどさ。」
「いっそのこと、米国海軍特殊部隊ネイビーシールズにでも見て貰ったら如何ですか?」
「ネイビーシールズねぇ。でも俺にはそんな時間ないねん。」
「時間が無い?」
「一刻も早く助けたい人達がいる。」
「助けたい人?」
「日本の海で活動する人達だ。」
「それは皆同じでは?」
「そうかもな。でもこの部隊ではそれが出来ないんだ。」
「SSTは特殊な有事以外に出動しませんからね。」
「そう。だから一刻も早く昇進してこの部隊から去りたいんだ。」
「でもそれを決めるのは本庁ですよ?」
「圧倒的な結果を出せば本庁の方としてもSSTのセカンドユニットにとどめておくわけにはいかないとなる。不謹慎だが、俺は今有事を願っている。この平和な日本でシージャックやNBCテロはまず発生しないだろうが、それが現実である。」