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ポセイドンズ~海上保安庁特殊警備隊(SST)~  作者: 佐久間五十六


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第99話道男と秀平と洋子のキャンパスライフ

 神海人の孫の道男と秀平は保大に入ると直ぐにノムケン教授の傘下に入り、猛勉強した。それはキャンパスライフ等と言う生易しいものではなかった。

 「おい、秀平?ちょっとは息抜きしようぜ?お前が優秀なのはもう分かってるんだからさ。」

 「いや、それじゃあじっちゃん(神海人)を越えられない。保大位首席で卒業しないと!」

 「好きなだけ勉強しろ。ただ、17:00には俺達教授は帰宅する。それは理解してくれ。」

 「はい。」

 「道男も秀平を見習えよ?神海人の直系の孫なんだから。」

 「秀平と俺は全然意識が違うんすよ。海保の次期エースと俺みたいな平凡な保大生じゃあやっぱ違うんですよ。」

 「そうか、まぁお互い親戚なんだし色々比較される事もあるとは思うけど、道男は道男のキャンパスライフを過ごせよ。」

 「はい。ありがとうございます、ノムケン教授。」

 と、まぁ神海人の孫二人は勉強漬けの毎日を過ごしていたが、思春期後半にあたる秀平に色恋沙汰が全く無い訳ではなかった。

 「山名?」

 「え?秀平君!?」

 「じっちゃんの部下で女性初の海保長官山名愛の孫山名洋子。やっぱりお前も保大に来てたか?」

 秀平と洋子の出会いは保育園にまで遡る。

 「考えてみりゃ腐れ縁も良いところだな?」

 「お祖母ちゃんと秀平君のお祖父ちゃんがSSTで上司と部下の関係にあった頃、つまり生まれる前から繋がりがあったなんて知った時はゾクッとした。」

 「山名?お前何で保大に?民間企業内定貰ってたじゃん?」 「私ね。保大に合格するかしないかの瀬戸際だったの。就活は落ちた時の滑り止めだったの。」

 「そうだったの?へぇ、山名は優秀な成績だとばかり思い込んでた。」

 「私ね、お祖母ちゃんに喜んで欲しくて、保大に入ったの。」

 「保大に無事合格出来て山名のお祖母ちゃんも喜んでるとちゃうん?」

 「それはいいんだけどね、私勉強ついてくのがやっとで。」 「何や山名?お前勉強自信無いんか?」

 「うん。」

 「ほな、放課後で良かったら俺が勉強見てやるで?」

 「本当?嬉しい。」

 と、まぁそんな感じで気付けば学内一番の有名カップルが誕生した。

 「え?秀平ちゃんに彼女が?」

 「ノムケン教授?驚くのはまだ早いですよ?相手を聞いて自分すっ飛びましたから。」

 「山名愛元海保長官の孫の洋子ちゃん?マジかよ‼」

 「今じゃノムケン教授も公認のカップルだとか?」

 「じっちゃんが生きてたらきっと喜んでくれるよ。」

 すると、洋子の成績はみるみる内に急上昇。学年トップ10に食い込むまでになった。

 「ねぇ?秀平君?夏期休暇どこかいかない?」

 「北海道か沖縄どっちが良い?」

 「東京。」

 「いや、選択肢に入ってねーし。ホテル代とか高いよ?」

 「じゃあやめとく。」

 「俺達まだ学生なんだし、道男も誘って北海道で勉強合宿でもどう?」

 「じゃあそうする。」

 とまぁ、そんな感じで春夏秋冬を4回繰り返した秀平と洋子は保大卒業と同時に入籍した。それを見届けたノムケンは保大を退官し、隠居生活に入った。道男はSSTへ、秀平と洋子は海上保安庁警備課特殊警備対策室に配属された。

 「現場じゃなくて良かったな。」

 「どこに配属されても同じ。自分のベストを尽くすまで。」

 「入籍したのが配慮されたのかな?」

 「道男の奴いきなり現場だよ。」

 「首席特権で好きな課にしたのは秀平じゃない?」

 「いずれにせよ、保大卒のキャリアは転勤族だからな。どこにいつ配属されても本庁の指示は絶対だ。まぁ、今回は夫婦という理由でたまたま同じ配属先になったまでの事。」

 こうして神道男、神秀平、山名洋子のキャンパスライフは終了した。キャンパスライフと呼べるような言葉で片付けられるほど簡単な四年間ではなかったが。

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