プロローグ~海神(ポセイドン)poseidon~
古代ギリシャ神話における海と地震の神。ゼウス、ハーデス及びヘラの兄弟でローマ神話のネプトゥーヌスに当たる。それがポセイドンである。キュクロプス達の贈り物とされる三ツ又の矛トライデントを持ち、それで自在に海に波を起こしたり静めたりする。またトライデントで地面を打つと泉を噴出させる事も出来る。しかも、ポセイドンは古くから"大地を保つ神"等とも呼ばれ地震の神として恐れられており、大地及び地上や地下の水とも結び付きが深い。
その性格は荒ぶる海洋に例えられて、粗野で凶暴な性格でしばしば傲慢な人間達を罰した。また、高潮や嵐と言った自然現象の脅威によって罰する事もあれば、海に住まう巨大な怪物に都市を襲わせる事もあった。その力は最高神ゼウスに次ぐオリュンポス十二神の一柱であり、海洋の全てを支配し全大陸すらポセイドンの力によって支えられている。
ポセイドンの武器である三ツ又のトライデントは、ゼウス・エナリオスにより地球が割けて冥界が顕になるのではないかと、冥王ハーデスが危惧した程である。山脈を真っ二つに引き裂いて河の通り道を造ったり、山々と大地を深く切り抜いて海中に投げて島を造った事もある。古くはペラスゴイ人に崇拝された大地の神(特に地震を司る)であったと考えられ、異名の一つに「大地を揺らす神」と言うものがある。
また、馬との関わりが深く競馬の守護神としても崇められた。故にそのシンボル(聖獣)は、馬、牡牛、イルカであり、聖樹は松である。しんちゅうの蹄と黄金のたてがみを持った馬、又はヒッポカムポスの引く戦車に乗る。ポセイドンの宮殿は大洋の中にあり、珊瑚と宝石で飾られているとされている。
と、まぁそんな事はギリシャ神話を紐解けば簡単に分かる事なのであるが、日本の海上保安庁にもこのポセイドンの名をいただく部隊がある。通称:SST(specialーsequrityーteam)和名海上保安庁特殊警備隊。その部隊は第5管区大阪特殊基地にある。主任務はシージャックやサリン等の有毒ガス使用等の高度な知識及び技術を必要とする特殊な海上警備事案に対処する事である。海上のSATとも呼ばれ、特殊警備隊のメンバーの秘密は、海保が隊員名簿から排除される等極めて厳格に管理されている。その実力から様々な任務が特殊警備隊(SST)には付与されており、まさしく海上保安庁最後の砦=ポセイドンズと呼ばれている。
この物語は海上保安大学校を卒業し、海上保安庁特殊警備隊に配属された一人の若き海上保安官の話である。