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8 きっと大丈夫なんです

「まずは名前を教えておこう! 名はユリウス! ルシアに似た金髪の髪に紫の瞳! ルシアに似て優しくてとても可愛い……いや、カッコいい七歳の男の子さ!!」


(男の子! はい、電波系ヒロインは消えた!!)


 一番心配していた線は消えて些かホッとした。


 今の話で、ルシアとルシータは髪と瞳の色は同じだと分かった。ルシアの子もルシータと同じだと知って少し親近感を覚えた。


 ユリウス。


 家族となるその名前を脳に深く刻み込んだ。


「ユリリュス……ユ・リ・ウ・シュ! ユリリュシュにいたま! あ」


 ダメだ。この舌足らずだとまだ上手く名前を言えない。悔しさと恥ずかしさで顔が熱い。


「ハハハハっ! 何、気にしなくても大丈夫!! 兄妹になるんだ、愛称で呼ばせてもらえばいいさ! ルシアはユーリと呼んでいたな! まあ本人は女の子みたいだと嫌がってたがな!!」


(……仲良く出来るまで愛称で呼ぶのはやめておこう……)


「そうそう、亡くなったユリウスの父であるユーステウスは名のある冒険者だったんだ! 冒険家ならではの色んな技を教えてもらってると私によく自慢してたよ!!」


(おおっ冒険者! 異世界ならではの定番な職業! すっごく興味深い。私も一度でいいから冒険者やりたいな。どうやったらなれるのかな? ギルドはあるのかな? あ、でも公爵令嬢でもなれるのかな?)


 興味のあるキーワードにワクワクする気持ちが止まらない。


「ん? レティ、冒険者に興味があるのかい? でもね、冒険者は危険を伴うとても危ない職業なんだよ? 興味本位で首を突っ込むのは良くない!」


 その言葉にレティシアはハッと顔を上げた。


(……そうか。……もしかしたらユリウスのお父さんは、冒険家の仕事で命を落としたのかもしれない)


 浮かれていた気持ちが一瞬で萎んだ。


 魔物と戦うのは命懸けだ。勿論分かっているつもりではある。敢えて言えばルシータの強さが異常なのだ。普通一人でダンジョンに挑む者などいない。況してや一人でダンジョンボスを倒すなど前代未聞の話だろう。


「だがしかし! もう少し大きくなってもまだ興味があればこの私が直々に鍛えてあげよう!! レティならばさぞ偉大な冒険者にもなれるだろう!!」


 確かにルシータに教えを請えば冒険者になれそうだが、ルシータが師匠だと命が幾つあっても足りない気がする。安易に返事しないでおいた方が賢明だろう。


 レティシアはとりあえず微笑んでおいた。


「ね、おかーたま。ユ・リ・ウ・シュにいたまは……。……わたちたちと、かじょくになりゅのいやがーて(いやがって)ない?」

「ああ、それはな……はっきり言って分からない!!」


(分からんのかい)


「私達が引き取ると言った時、特に何も言わなかったな! ユリウスの心情はユリウス本人でしか分からない。……だが! 私達がちゃんと家族として真摯に向き合えば、きっとユリウスと本物の家族になれるさ!!」


「……うんっ!」


 ルシータらしい前向きな考えに、自分も仲良くなれる様に頑張ろうと決意を新たにするレティシアなのだった。


 程なくして応接間の大きな振り子時計が夕刻の時間を知らせる鐘を鳴らした。


「おや! もうこんな時間か! レティ、少し早いが夕食の時間にしようか!」


 テーブルに置いてあるガラスのベルを優雅に鳴らした。するとシンリーを筆頭にメイド達が続々と入室して来た。ルシータはソファーから勢いよく立ち上がると、大きく両手を打ち鳴らした。


「さて! 今日は大切なレティの誕生日!! 難しい話は魔物に喰わせるとして、盛大にお祝いしようじゃないか! 皆、夕食の用意を頼む!!」

「「「畏まりました奥様」」」


 メイド達は一斉に頭を下げた。




 ***




 その日の夜はレオナルド、ルシータ、レティシアで楽しい夕食のひと時を過ごした。


 一緒にケーキを食べている両親の笑顔を見てると、何だか勇気を貰える。

 折角の誕生日なのだ。不安は一旦忘れてレティシアはお祝いを大いに楽しんだ。

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