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レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか  作者: 宮崎世絆
学園編

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11 瞞着報告ではないんだよ?一応

 Sクラスの女子メンバー達と寮へ戻ったソレイユは、一旦皆と別れ転移魔法陣で自室に戻った。


 玄関先で靴を脱ぎスリッパに履き替えると、手提げ袋をとりあえず机の側面に備え付けられたフックに引っ掛けた。


「とりあえず着替えるかな」


 衣装室に向かいクローゼットから部屋着っぽい簡易ワンピースを取り出すと、制服を脱いでそれに着替えて衣装室を出た。



「あーー! 初日なのにめっちゃ疲れたーーっ!!」



 大の字でソファーに勢いよく倒れ込んだ。

 寝転んだまま時計を見ると、夕食の約束の時間まではまだまだ時間がある。


(そう言えば、今までのんびりと過ごした事って殆ど無かったかも? せっかくだから夕食までダラダラ過ごそうかなー? 別にやる事ないし……やる事……)


「あ、そうだ! 転写書に返事が既に届いているかもしれない!」


 ダラダラ過ごすのをやめて勢いよく起き上がると、机の椅子に座り引き出しから転移書を引っ張りだして開いてみた。


 しかし、転写書は真っ白だった。


「……なんだ。返事まだ無かった。兄様、やっぱり忙しいんだな。……私は暇だし、今日の出来事でも書いておこうかな」



 転写書に書く内容を考える為に、今日一日を振り返ってみる。特に印象に残ったのは……。



 一、 男子生徒と口論となり、ビンタでぶっ飛ばした。

 二、 学園長にお説教を受けた。

 三、 ビンタした男子生徒と同じクラスになり、ガチギレ攻撃されたのでやり返した。



「…………いざ思い出すと、碌でもない一日だった。初日から結構やらかしてるよね私……。これ正直に書いたら絶対、兄様に呆れられる。……どうしよう、やだなぁ。

……ここはやっぱり。失態を演じたことは省いて、楽しかった事だけ書くしかない、かな……」


 机に突っ伏してどう書くか悩んでると。ふと、友達になれたクラスメイト達を思い出した。


「そういえば、上位クラスなのに女子は皆んな良い子だったなぁ。その中でも特にレテアって、すごく可憐で可愛かった。正に理想のヒロインな感じだったなー」


 今日一日が、レテアのように平穏に過ごせていたら良かったのに。と心底思った。


「ヒロイン、かあ……。あ、そうだ。もしレテア目線で私を見たら、どんな感じに見えただろう? 試しにレテアになりきって書いてみようかな!」


 面白そうだと思い、勢いよく顔を上げる。


 棚にしまっていた真っ新なノートを取り出して最初のページを開く。ちょうど机の上に転がっていたペンを手に取ると、思い付くままに書き始めた。


『学園生活初日から、少し事件がありました。

入学式の後、新入生らしき女子生徒が同じく新入生らしき男子生徒に平手打ちしているのを、偶然見てしまいました。

でもそれは、虐められていた男子生徒を助ける為に仕方なくだったようで、驚きはしたけれど彼女の勇気ある行動にとても感動しちゃいました。

私はSクラスになったのだけど、虐めを犯した男子生徒も同じクラスで、しかも平手打ちした彼女も同じSクラスでした。

遅れて教室にきたその男子生徒が突然、魔法で彼女に攻撃したので、私はびっくりして思わず悲鳴を上げてしまいました。

しかし彼女は、攻撃魔法を防ぐどころか反撃して返り討ちにしてしまいました。あれはとてもかっこよかった。


終礼後、思わず彼女に「友達になって下さい」って言ったら、快く承諾してくれました。それに他のクラスメイトの女子生徒達とも仲良しになれました。

夕食もクラスメイトの皆んなと一緒に食べることが出来て、とても楽しい一日となりました。

初日から一悶着はあったけど、お友達が沢山出来て凄く嬉しいです。


追伸。このクラスに知り合いがいるのかも知れないけれど、今のところ誰が誰だか分からないので、あまり気にしないことにします。』



「って感じだよねー。夕食まだ食べてないけどねーアハハーー……ハア。

 ……さて。現実逃避はこれくらいにして。実際の転写書には、どうやって書こうかな……」


 下書きに使ったノートを退けて、ノートの下敷きになっていた転写書の開いたまんまだったページを見ると。


「……え」



 何故か。


 

 今書いた文字が、くっきりハッキリ浮かび上がっていた。



「え、えええーーっ?! え、え、な、何で!?」


 今書いたノートのページを確認すると、書いた文字がなぜか消えて真っ白なページに戻っていた。


「き、消えてる?! どうなって…あっ!!」


 慌てて使用したペンを手にとって見ると、ペンは朝転写書で使った魔法ペンだった。


「しまった!? こ、これ普通のペンじゃなくて、魔法ペンだ!!」


 ただの紙に魔力で書いた文字は、普通のペンで書いたように文字を書くことが出来るが、暫くすると消えてしまう。魔力は供給が止まると自然消滅するからだ。


 だがもし。普通の紙の下に、魔力を定着させるものが有れば、一体どうなるか。



「あわわわわ!! 普通のノートに魔法ペンで書いたから、下に置いた転写書にまで魔力が届いたんだ!! け、け、消さないと! って、どうやって消えんのこれ!!」


 パニクっている間に書いた文字は光に包まれ、無情にも消えてしまった。



「…………消えちゃった……ど、どうしよう……」




 文字の消えたページを呆然と眺めた。




 暫く呆然と眺めながら、今書いた内容を思い返していると。


「……ん?」


 ある事に気が付いた。



「けど、ちょっと待て。……書き方は他人目線でだけど、実際に自分に起こった出来事とか、自分が思った事はちゃんと書けてたわけだし。……よくよく考えてみると、別に問題ないのでは……?

ただ、他人目線……。レテア目線なだけ、だよね……?」


 転移書に書いてしまった内容を考えて。今後、何か問題になりそうか今一度よく考えてみる。


 一、 ユリウスしか見る事はない。

 二、 事実内容に関しては、虚偽はない。

 三、 ユリウスと変装しているレテアが出会うことは無い。なので二人に迷惑をかけることは、まずない。


「……うん。なんだ、別に全然全く問題ないわ!! よし! レテアには何だか悪い気がするけど、これからもレテア目線から見た感じで! レテアになりきって、私の学園生活を書くことにしよう!!」


 何事もなかったように、笑顔で転写書を閉じた。


 転写書に悪戦苦闘していたからか、気が付けば頃合いな時間になっていた。


「よし。嘘にならないように、今日の夕食は楽しく過ごすぞ!!」


 楽しい食事会にすべく意気込んで待ち合わせ場所に向かった。

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