第五十八話 「Небо сквозь(突き抜ける空)」
"ザアアアアアアアァァーーーー.....
ザアアアアアアアァァァーーー.....
「コリャ.... ズイブン.....
デケエナ.....!」
「(これは-------)」
"パシャッ.... パシャッ.....
寄せては返し、返しては寄せる
波の上を漂いながら、河野、
スサケフスキの二人を乗せた筏が
島の陸地、遠くから見えていた巨大な
"島影"の場所、波の上で停まる.....
「("木"か-------?)」
"ザアアアアアアアアアァァーーーーーーー....
「ハシラミテェニモミエルガ.....」
"ザザーーーーーーーーー......
「(・・・・・)」
晴れた空、波の上を筏で漂いながら島影、
考えよりも近い場所にあったのか
遠くに見えていたその島影の側まで
辿り着くと、頭上をどこまでも登っていく
"木"--------
「(・・・・)」
そして、どこまで伸びているかも分からない
その木はどことなく、
"柱"の様にも見える--------
「ウォイウォイ.....ッ コイツア....ッ」
"パシッ!"
筏の上からスサケフスキが手を伸ばし、
その巨大な木の様な柱の表面を軽く叩く
「コイツア.... "カシノキ"ジャネエクワ....?」
「カシって.... オークとか
Дубовоеドヴォーヴェの事か?」
「・・・イヤ、コイツガキダカ
ドウカハワカラネエガ....」
「・・・?」
手を添えながら遥か上空まで伸びる
木の様な柱を見上げると、スサケフスキは
考え込んだ様な表情を見せ、少しの間押し黙る.....
「コイツア..... "ルコモリエ"ジャネエノクワ....?」
「・・・・ルコモリエ?」
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"ザザアアアアアアアァァァーーーーー....."
「カツテ、クウォヌォスゥエクワウィニィウァ
スゥエクワイヌォハトゥエ.....
ルコムォリィウェトヨヴァレルゥエ
スゥエクワイグワアトゥワスオウドワ....!」
「・・・・もう少し、ゆっくり喋ってくれないか」
「ア、アア.... ス、スマネエ....」
「・・・・」
柱の下まで来てみた物の
特に何が出来る訳でも無く、
波の上を漂う筏の上でやや興奮気味で
巻き舌で喋っているスサケフスキに、
河野は聞き返す
「イヤ.... オルェムォ
キイタハナシナンドゥワグワー.....」
「(ルコモリエ・・・・)」
「モチロン、ホントウ....
ゲンジツ.... ハナシジャネエダロウグワ....
カツテコノロシア.... ロスィアカラ
スゴイトオクハナレタヴアショヌィ
ルコモリエダトクワ....
カミサマホトケサムアミテウェヌア
モングワイルヴァショガ
アタトキイテイルッツゥェ.....ッ」
「・・・何で、お前そんな事を知ってるんだ?」
聞き取りづらいスサケフスキの話を
何となく理解すると、どうやらスサケフスキは
"ルコモリエ"
と呼ばれるロシア神話の話をしている様だ....
「バカヤロー テメェ.....!
オレダッテアタリマエシンブンキシャノ
ハシクルゥェドゥワ....
ソレクレエノコトワワカルワ....ッ」
「・・・・」
"パンッ!"
「・・・・」
自分の目の前にある巨大な木の様な柱の表面を
スサケフスキが、軽く叩く
「ソシトゥエ.... ルコムォルィウェ.....
ソノ、ミドリトゥウォダイチニ
ウォウォワルゥエトワセカイデウァ....
ソラ.... ソラマデノビウオ
デケエカシノクゥイヌォハシラガ
アタッ、ソウドワ.....」
「(何を言ってるんだ、こいつは-------.....)」
まず、言葉が聞き取り辛いし
言っている言葉自体は何となく分かるが、
その話している言葉の内容自体も
あまり意味が分からない
「コヌォハシルァ.... ルコムォリェヌォ
ソルァマデノボルハスィルァ....
ソルア....ッ ソルァッ、ソルア....ッ
ソノハシラトウォ "ニテル"
ソムオムワヌエクワ....?」
「・・・・」
"バサッ バササッ!!"
「・・・・!」
「ナンドゥワ.... トリクワ....?」
"バサッ バササッ!!"
「・・・・!」
上空に羽音の様な物が聞こえ、
物が浮かび上がっている雲一つない
頭上の青空を見上げると、そこにかなり大きい
鳥の様な生物が柱の遥か上辺りを
飛び交う姿が見える.....
「マァ.... オイトイデ.....
イチドゥアイジェジエ、
イブモヒヤ、ヴィヴィチァヴァヴァヴァヴェ
ウェウァヴィワヴァヴァヴァビヴォ....」
「お前の言う通りかもな....」
"ザアアアアアアアアァァァーーーーーー