第五十四話 「волны(波間)」
"チャプ.... チャプ.......
「イヤァ.... ナカナカ
"オフィゲンヌァ"ジャネエカ....
-------エェ? ゴウナヨ?」
「(・・・・馬鹿か、コイツは....)」
「ヨクハワカラネェグワ
タイヨウモアル.... ナミハヌェ....
"オツ"、ナモンジャネェクワ....?」
"チャプ.... チャプ......
「(・・・・)」
丸太で作った筏の上に乗った河野は
その筏の端でデッキチェアーの上に
観光客の様に寝そべっているスサケフスキに
渋い表情を浮かべながら、自分が作った
手製のオールで水をかき分ける....
「(・・・とりあえず、向こうの-------)」
"パシャッ.... パシャッ......"
海の上を走る筏を漕ぎながらオールを進ませると、
遥か先の"島影"が目に入って来る--------
「(あの、島には何も無いみたいだ.....)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【な、鉈があるのか?】
"ドサッ"
【-------アァ、ソウミテェダ】
【・・・・】
海岸線。
【(・・・・こんな場所に....)】
何も無い、一面白の場所から突然
無人島の様な場所の海岸線に
連れて来られたと思った矢先
【ソレニ.... ウルアー
"веревка(ヴィリョーカ=縄)"
モアッタワ....】
【・・・・!】
島自体の広さはそれ程無く、特に
目につく様な物は見当たらず、河野が
元いた海岸線まで引き返すと、そこに
"ナタ"そして"ロープ"を持った
スサケフスキの姿が見える....
「・・・こんな物....
どこに置いてあったんだ?」
「アア、ムコウノ.... "カド"ニオイテアッタゼ」
「角に・・・?」
何の収穫も無く海岸まで引き返して来た河野は
砂浜の上に投げる様に打ち捨てられた
"ナタ"、そして"ロープ"を見て目を丸くする
「お前デッキチェアーも使ってたよな・・・?
....それは、どこに置いてあったんだ?」
「アア.... アウロオ.....
アノ.... "ワキ".... ジャナクテ....
"ヨコ"....デモナクテ....」
「・・・・どこなんだ?」
「ア、アア ソノイスモ
"カド"ダ」
「角に・・・?」
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「(俺達が降りた島には特に何も見当たらないし、
となると-------)」
"グワァァアアアァァァアアアアアアアア.....
雲一つない空---------
どこからか照りつける日差し-----------
「(・・・相変わらず訳の分からない物が
浮かんでるみたいだが....)」
"パシャッ パシャッ...."
オールを漕ぎながら、
水平線を先まで見通すとそこに液体------
何の液体かは分からないが透明な緑色をした
かなり巨大な液体の塊が
この空間の空に浮かんでいるのが見え、
更に、熱帯産だと思われる木々--------
金属片、岩--------
様々な物が浮かび上がっているのが見える....
「アァ~ セントウミテエダ....
ハワイ.... ハワイジャネエカ....」
「・・・・」
"パシャッ.... パシャッ...."
「(向こう-------)」
遠くに見える"島影"を目指して
「ヒットォ....
"ビッグ"、ヒットジャネエクワ.....
コイツハヨォー.....」
「・・・・」
河野、スサケフスキは自分達が作った
手製の筏に乗り、波の上を漂い
空間の波を漂う-------
「・・・・」