第三十五話 「неизбежный(必然)」
「・・・・」
"ヴァチッ ヴァチィッ!"
「(特に、周りは--------)」
「シャスッ.... アーガッ.... シャスッ.....」
「(あの、"柱"は.....)」
"ヒュウウウウウウウウウウウ....."
螺旋階段を登った先、自分が立っている場所から
少し階段を上まで上がった場所にある
強い電流の流れる璧の様な物を先に見ながら、
河野は、物が所々に浮かび上がる
塔の中を見渡す....
「(柱....)」
柵の無い、今自分が立っている階段の場所から
壁に張り巡らされた螺旋階段の中心、
塔の真ん中辺りを見ると、その場所に
かなりの太さの"柱"が、自分達が通って来た
入り口からかなり遠くの天井の暗がりまで
続いて行くのが見える-------
「(・・・・下は....)」
遥か下、塔の入り口付近に目を向けると、
そこには先程その場所にいた時と同じ様に
テーブル、椅子、キャンバスに入れられた
肖像画.....
様々な物が浮かび上がっているのが見える....
「・・・・」
"ヴァチィッ! ヴァ、ヴァチィッ!"
「(あれを通り抜けるしか、
先へ進む方法は無さそうだ.....)」
少し先で激しい電流が繰り返しながら
破裂した様に音を上げる.....
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「("扉"か.....?)」
"ヴァチッ ヴァチィッ!"
「ウォイ.... センパイ....ッ
サキニ、ススメネェジャネェカヨオ....」
「・・・・」
火花の様な放電を繰り返す電磁璧を
越える事ができないか辺りを見回すが
「ナンスカ.... "サボリ"ハダメダトカイットゥエ
センパイシゴトシナインスカア....?」
「(・・・・)」
勘に触る様なスサケフスキの言葉を
後ろに聞きながら、
この階段の場所に何か先へと
進める方法が無いかと考えるが、
特に周りに目につく様な物は見当たらず
そのまま階段の踊り場に河野は座り込む.....
「スゲエ、デンキダナ.....」
"ヴァチッ --------ヴァチィッ!!
「・・・・」
「....ココジャナイノデススメルバショハ
ネエノカ....?」
"ヴァチィッ!!"
「・・・スサケフスキ、お前ちょっと
あの電気の場所通り抜けられるかどうか
試してみろ」
「....フフッ」
「・・・・?」
軽く口の端を上げると、スサケフスキは
吐息の様な笑い声を漏らす
「イヤア、センパイ....
ソイツハムリデショウ....」
「・・・お前、さっき他の電気が流れてるの
触っても平気だったじゃないか。
もしかしたら、あの電気も実は大した事が
無いかもしれん」
「ムチャデショオォ....」
満更でも無い様な表情を浮かべると、
すぐに表情を変え座っている河野に向かって
飽きれた表情を浮かべる
「(・・・・)」
"ヴァチッ ヴァチチッ!"
「....ベツニ、ソウ、カンガエルヒツヨウハ
ネエンジャネエノカ?」
"パッ パッ"
「・・・・?」
"カタッ...."
「・・・・」
立ち上がり、自分の尻に付いていた汚れを払うと
袋に入れられた"エモイソード"に向かって
スサケフスキが近付いて行く....
「・・・・何してるんだ」
"スッ"
「・・・・ケン、ッテエノワァ
ベンリナモンダヨナアー....」
"カタッ"
「----------」
エモイソードを手に取り、それ顔の前に掲げ
ゆっくりと眺めると、おもむろに両手を突き出し
剣を固く握りしめ、まるで剣士の様に
構えを取る.....
「ワレワレノジダイ....
テイセイロシアノジダイ....、ワア」
"スッ"
「・・・・何だ」
「ソウ、ムズガルコトハネエ....」
"チャッ!"
「・・・・?」
"コッ コッ コッ コッ--------
「ヒッテノウア、ベンリナモンダ--------
ワルェワルェニンゲングワ、コウシテ
ヒヲアツカウコトニヨテウスギタネエ
ニンゲンノチデコノケンヲ
ヨゴサズニスム....!」
「・・・・何を言ってるんだ?」
エモイソードを構えると、まるで黒瞳だけの瞳で
座っている河野の側まで剣を構えたまま
ジリジリと間合いを詰め始める--------
「・・・おいっ」
「・・・・ゴウナスワン....
ゴウナスワンッ....!」
"チャッ"
「-------お前....っ、!」
「・・・・タイシタコトハネエ....
タイシタ、コトウア.... ネエンダ....ッ」
「--------この野郎っ、
"ガタンッ!"
「-------フンッ!」
"ビュッ
「"!"」
立ち上がった瞬間、スサケフスキが
構えていたエモイソードを放り投げる!
「"!"」
"ブンッ"
「--------チッ」
「て.... てめぇーーーー!」
"ジイィィィィィィィィィィ.......
「ッ!?」
"ヴァチッ ヴァチィッッ、!!
「・・・・ウルアー」
「??」
"シュウウウウウンッ"
放り投げられたエモイソードが電磁璧の前まで
転がって行くと、先程まで
激しく火花を散らしていた電磁壁が、
一瞬の内にかき消える.....
「な、何で....っ」
電流が一瞬にして消え去った事に河野が
後ろを振り返る
「・・・・リクツ、ジャネエ-------」
「--------、?」
「リクツジャネエンドワ.....!
ゴウナスワンヨォオ.....!」
「ッ・・・!」