第二十六話 「значение(意味)」
"ガサッ"
「・・・・クソッ」
"バッ!"
「スマネェ--------
スマネェ--------ッ....
ワルギハヌァカットゥワンダ....ッ」
「・・・・」
"ヒュウウウウウウウウウウウ...."
「ス、スコシバッカリィ....
チョ、チョウシニノッチマッテヨォ....ッ
ワ、ワルイトハオモナカッタンドゥワ....!」
「(・・・・)」
電話BOXの中にある壊れた受話器を手に取り、
河野がそれを耳元に押し当てるが
スピーカーの部分が壊れているせいか、
当然の様に音は聞こえない--------
「・・・・チッ」
"ガシャンッ!
「モ、モウシワケヌェ--------
ゴ、ゴウナスワン....ッ!」
「・・・・」
"ヒュウウウウウウウウウ......"
「・・・"電話"は何て言ってたんだ....?」
「・・・・デ、デンワカッ」
責任を感じているのか、スサケフスキが
電話BOXの外の雪の場所でうなだれていると、
先程の電話、電話から聞こえて来た
"声"の事が気に掛かるのか、
河野は壊れた木偶の様に
顔を俯かせている目の前のロシア人に
問い質す-------
「イ、イヤ....ヨクハワカラヌェガ....ッ
ト、"トメテクレ"、ダヌォ....ッ
"トウ"ガドウノダノダトゥオ--------
ソ、ソンナコトォイッテヤガッタ
ヨウダゼ....!」
「・・・・塔....」
"ヒュオオオオオオオオ----------
「ソレヌィ、"ギンノビン"ガドウダトクワ....
"エモイ".... アヌォコゾウガ
ドウダトクワ....
ソンナコトウォモウシテウォリマシトワ....」
「江母井------、"銀の瓶"--------」
素直に自分が悪いと思っているのか
突然敬語を使って喋り出した様子を見て、
それ以上責めても仕方が無いと思ったのか
不快な顔つきを浮かべながら河野は
そのまま電話BOXを離れ
どこかへと向かって歩いて行く--------
「・・・・オッ! ゴウナ・・・ッ
"サタ"ハモウ、ジュウブンヌィ
デタッテノカイ-------ッ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
"シュウウウウウウウウウ-----------"
「(あの、塔-------)」
「タメシギリ...."タメシギリ"サレテモ
シカタガヌエ....ッ」
"シュウォォォォオオオオオオ......ンッ.....
「(・・・・)」
雪の中を走るヴォレスローグの上で
"電話"、 その電話について考える--------
「("塔"ってのは---------)」
"ヒュウウウウウウウウウ....."
辺りに吹雪が漂う中、走っている
進路の先の方に目を向けると、
遠く山の上、霞かな場所に
この極層と呼ばれている場所で何度か目にした塔、
その塔と同じ様な造りの建物の影が見えて来る
「(多分、あの電話の"声"が言ってた
塔、はこの地下の施設にいくつかある
あの"塔"の事を言ってるんじゃないか....)」
「テイハツ.... "ヨセバ"デ
テイハツシテクルェ....」
「(・・・・)」
更に、あの電話の中の声は
"江母井"
その江母井が持っていた
"銀の瓶"についても話をしていた様だ-------
「(・・・・あの、電話の声は、隆和・・・・
そして俺達の事も当然の様に知っていた....
そうなると....)」
「グッ.... グググッ....!」
「(見られてるって事か....!)」
"シュゥゥゥウウウォォォオオオ.......ンッ
「(・・・ちょうど俺達が
電話BOXに着いた途端に、
都合良く電話がかかって来るなんて事は
まず有り得ない話だ....
電話をしたヤツは俺達の事も
当然の様に知っていた....
だったら、あの"声"はどこかで
俺達を監視してたって事になる.....
・・・それに....)」
"フォォォォオオオオオオ---------....ッン...
「(この銀の瓶--------)」
自分の運転席のハンドルの下に
立てかけられたエモイソードに括りつけられた
銀の瓶が、バイクの風のあおりを受けて
激しく揺れ動く--------
【"トメテクレ"ダヌォ-------
ソ、ソンナコトヲイッテタズゥェ....ッ】
「(・・・・)」
"フォォォォオオオオオオオ....ンッ...."
二人を乗せたヴォレスローグは
「ヨセバ.... ヨセバデ
ウワヤクニモウシタテシテ、
ソルウェクワラ"テイハツ"ニ
ショシテクルゥエッ....」
雪の中塔を目指して走って行く--------
「・・・・」