缶コーヒーで世界を救う〜魔王がパンを買いに来ました〜
僕は街のパン屋さんだ。
ある日、僕の店に魔王がパンを買いに来た。
みんなが「あの人魔王だよ」というから、きっとそうなんだろう。
見た目もなんだか、黒くてすごく禍々しい。
「クリームパンをください」
「はい、ありがとう。150円」
翌日も、その翌日も、魔王がパンを買いに来た。
「クリームパンをください」
「いつもありがとう、150円」
その翌日、魔王はパンを買いにこなかった。
そして、さらに翌日、パンを買いに来た魔王は、禍々しい闇のモヤを放っていた。
店のパンが全部腐ってしまうような、ひどい瘴気だ。
「クリームパンをください」
「はいどうぞ。いつもありがとう、150円。今日は缶コーヒーをオマケしとくよ」
店の前のベンチに腰掛け、魔王が缶コーヒーを飲み、パンをかじる。
なんだかすごく、幸せそうだ。
闇のモヤが晴れ、僕は英雄になった。
お読みいただきありがとうございました!
こちらは、『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』に参加するべく、生まれて初めて書いた短編です。
選んだテーマは『缶コーヒー』です。
イベント参加も初めてなので、なにか不備があれば教えていただけると幸いです(;´∀`)