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18/40

3人でデート

 無事に、亜希と瑠羽から二股を許されてから、数日後。

 今日は、大型連休の初日だった。


 タイミングよく、瑠羽の仕事に空きが出たため、亜希と一緒に三人で出掛けていた。

 彼女たちと出掛けることは、単純に楽しみではあったが、不安もあった。

 これまで、亜希と瑠羽の接点はほとんどなかった。

 お互いに、非常に複雑な感情を持っていることは、容易に予測できる。


 二人が仲良くやっていけるのか、正直かなり心配だ。


「……まずは、俺から歌を入れます」


 俺は二人に向かってそう言った。

 今は、瑠羽が他人の目を気にしないでいられるように、カラオケボックスに遊びに来ていた。

 

 亜希は一番手だと変に緊張するだろうし、逆に瑠羽が最初に歌えば、後に歌う人が委縮してしまう。

 俺が歌い、亜希、瑠羽に歌ってもらうのが無難だろう。


「うん」


「楽しみ」


 二人の答えを聞いて、俺は一瞬で選曲を終える。

 メロディが流れ、音量を調節し、俺は歌いつつ、二人の様子を伺う。

 気まずさに、無言で過ごすのでは、と心配していたのだが――。


「そういえばさー、瑠羽の新曲聴いたけど、すごく良いじゃん。衣装も可愛いし、羨ましい」


「ありがとう。そう言ってもらえてうれしいよ。家には他の曲の衣装があるんだけど、今度亜希ちゃん家に来て、衣装を着てみない?」


「えー、あたしは、あーいうフリフリな可愛い衣装は、似合わないし、遠慮しとくわ」


「そんなことない、絶対に似合うって! 今度時間作るからさ、その時試しみようよ!」


「……瑠羽が、そこまで言うなら。分かった、その時は誘って」


 その心配は杞憂だったようだ。

 俺の歌はそっちのけで、おしゃべりに夢中になっている。

 そうしてか、二人はとんでもない勢いで仲良くなっていた。


 俺が歌い終えても、次の曲は始まらなかった。

 おしゃべりに夢中で、選曲が出来ていなかったのだ。

 俺はマイクを机の上に置いてから、二人に問いかける。


「あの……二人はいつの間にそんなに仲良くなったの?」


 俺の言葉に、亜希が「ん?」と首を傾げてから、


「友馬の代わりにノートの写しを送ってたけど、それ以外にも結構やり取りしてたら、自然とって感じ?」


 彼女はそう言って、瑠羽に同意を求める。


「うん、私友達全然いなかったけど、亜希ちゃんは凄く話しやすいし、頼りになるから。なんか、私の方がべったりって感じだよね」


「そ、そんなことないわよ。あたしだって、瑠羽と話すの楽しいんだからねっ!」


 瑠羽の言葉に、亜希が照れくさそうにそっぽを向いた。

 

 ……NTRやんけ!?


 俯きつつ膝の上で拳を握りこみながら、俺は内心で叫んだ。

 俺が腕を怪我してキレイにノートを書けなくなった隙に、亜希がノートの写しを瑠羽に送るようになっていたのだが、まさかこんな短期間で瑠羽を攻略するなんて……。

 

 落ち込んだ様子の俺に気づいたのか、瑠羽がニヤニヤと笑みを浮かべている。


「あ、そうだ。亜希ちゃんが家に来るときは、友馬くんもきてくれるよね?」


 彼女は俺に向かってそう言った。

 良かった、俺のことをちゃんと覚えていてくれた……。


「もちろん! お招きください!」


 俺の言葉を聞いた瑠羽は、亜希に微笑みを向けてから、揶揄うように言う。


「良かった。それじゃあ、二人で友馬くんに可愛い恰好見せなくちゃ、だね?」


「は、はあっ!? なんであたしがそんな……ば、バッカじゃないの!?」


 顔が真っ赤になった亜希は、ふん、とそっぽを向いた。

 そんな亜希に向かって、瑠羽はなおも揶揄うように言う。


「じゃあ、私だけ見てもらっても良いのかなー、亜希ちゃん?」


「そ、それは……んぅ……」


 言葉に詰まる亜希。

 彼女はそれから俺をじっと見た。


 二人きりの時はデレデレな亜希だが、瑠羽も一緒にいる時は恥ずかしさが勝るのか、ツンなところが出がちだ。

 そこが可愛かったりする。


 亜希が決して嫌がっているわけではないのを、瑠羽も分かったのだろう。


「じゃあ、楽しみにしててね、友馬くん?」


 瑠羽は照れながら、俺に向かってそう言った。

 俺は彼女の問いかけに、


「もちろん、楽しみだ!」


 と答えた。

 良かった、俺の居場所はちゃんとここにあるんだ――。


 そんな風に感動を覚えた俺は、そう言えばと思い出し、問いかける。


「そうだ、次は何を歌うつもり?」


 亜希は「あ、そうだった!」と言ってから、タッチパネルを操作する。

 選曲を終えると、聞き覚えのあるメロディが流れ始めた。

 あれ、この曲は……。

 俺がそう思っていると、亜希と瑠羽・・・・・の二人がマイクを持って立ち上がる。


本人・・と一緒に歌えるって、めっちゃ緊張するんだけど!」


「私も、何か変に緊張してきちゃった!」


 そう言ってから、二人は歌い始める。所謂デュエットと言う奴だ。

 曲は何を隠そう、瑠羽の所属する『3ニン娘。』のもの。

 自分の歌を完璧に歌い上げる瑠羽も、楽しそうに歌う亜希も。

 二人とも、凄く可愛らしいと、彼女らを見ながらそう思った。


 ――だが、しかし。

 もしかして俺ってば、二人にとって邪魔虫なんじゃなかろうか?

 と、その尊い様子を見て思うのも、仕方のないことではなかろうか……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] カラオケ行きたいっすねえ。コロナ禍で誘えなくて辛み。
[一言] 貴いは正義。 なんかもう、こちらには手を出さずに3人目に行っても良いのかも(良くないけど)。
[良い点] 美女2人とデートとか羨ましすぎる;; [気になる点] 細かい部分かもしれませんが、出だしで一緒が2度続けられている箇所に違和感を覚えます
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