9.胸囲の脅威
いつものように、人称が予告なく突然変わります。
異臭に気付き、事態の収拾に慌てて周囲を見廻すエル腐だったが、弟妹達を世話をした経験から自らの腕の中に発生源があると認識した。
我と目が合ったが、この時期の赤ちゃんは視覚がまだ充分に発達してないと聞いたことがあるので、自然に視線をそらせた。ノープロブレムだよね。
「係長ーーっ、ちっこい勇者様たちがうんちやっちゃいましたー」
職員の一人が上司に向かって報告をした。
我はといえば、股間から来る不快感に体が反応して拳に力を込め全力で泣き叫んじゃいるが、わざわざ大声で羞恥プレーかよと精神は冷めていた。おそらく、ゆうもそうだろう。
我とゆうが時間差で異臭と騒音をまき散らせているので、報告を受けた上司も既知の事実だが、"ほうれんそう"は大事ですよねぇー。
うむっとか頷いてから通路まで戻って死角にいる誰かを呼んだ。
見えないところで控えていたのだろう、直ぐにエプロンを着けたふくよかなおばちゃんが二人入ってきた。
フロアを見渡したその存在は、寄り道もせず捕食者となって獲物に迫ってきたぁーーーーー。
手に持っていた板と金具が組み合わさったものを手早く組み立ててテーブルにし、エロ腐から我を受け取り上に置いた。
ほほう、天板は平でなく曲線で凹凸があり、周囲は飛び出さないように縁がついている。実にいい仕事をしているんじゃないかな。近くにいる人物へ意識が行かないように努力する我を褒めてやりたい。
そして我は迫り来る恐怖にさらに打ち勝つために……
--ぷっん。
少し離れたところから、赤ん坊のはしゃぐ声で意識が戻った。
ふっ、どうやら我としたことが精神統一が深すぎて意識を失ったように瞑想してたのだな。
おそらく、そうだ。
たぶん、そうだ。
きっと、そうだ。
ぜってぇ、そうだ。
そうに違いない。この我が思い出せないぐらいだ。




