リア 充
『あ、師匠…』
ギルドに入ってきた人物が近寄ってくる。
その姿は、革を固くした真新しい軽装甲に新しい帆布を適当な大きさに切ってダメージ感を出すためか端をギザギザに切ったりしている出で立ちで片目に眼帯をしている。明らかに、アレを発症しているのだろう。
クラスメイトを含むギルドホールの何人かは、憐れむ目で眺めていた。
あれに比べれば、我輩たちに提供されるアバターの衣装はまだいいほうだろうか判断は先送りした。アルは執事風の衣装にモノクルで、アレに近いっちゃー近いかも。我輩のリアはフレンチメイドなのでこの件について思考が停止してどうリアクションしていいかわからない状態が続いている。
『笑えばいいと思うよ』なんて言われたら殺意しか浮かばない。
その者が、アルとリアに気付いたようだ。
『いゃー久しぶりだねぇー、こんなところで会うなんて。アルにロ…べっ………な・ん・で………』
いつの間にそれに近づいたのかリアのアッパーで腐届き者は、天井の梁に器用に絡まった。
リアから記憶という名の設定が送られてきた。
その男、10年ほど前に兄妹の住む村近くで行き倒れている所を保護され村の託児所を兼ねる教会に預けられた。
服、言動、価値観などどれをとっても異質な子供だった。そう、まるで異なる世界から突然来たように。
しかし、子供の適応力は侮り難く同年代の子供とは直ぐに溶け込んで行った。
うむ、アルも変わっていた。いや懐が広いに訂正しておこう。お互い相方をそういう目で見ている。
セバスが痛男ことミツルを臨時パーティに追加することを提案してきたので、了承した。
「よろしくな。アルとロ…べっ………な・ん・で………」
梁から器用に降りてきたミツルが、また絡みつく事で学習力が低いことを三人は認識した。
「さっ、行くとしよう」
二人の冷たい視線を浴びながらセバスは宣言した。




