3.アルとリア
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
セバスの下顎がよく見える。ムキムキおっさんを見て楽しい訳じゃないが、我輩とゆうを抱き上げてる一対の腕、天井を指差している一対の腕、お茶の注がれたカップとソーサーを持つ一対の腕。こやつ何モンなんじゃろ。
「ふぉつ、ふぉつ。この魔方陣はの、稼働ログと誰が弄ったか更新ログが残るのだ」
セバスの言葉に反応してじゃなく、ちょっとだけ漏らした。
我輩は赤ん坊を続けた。
ほとんどバレてるやん。だが我感せず知らん振りを続けようとしたが、我輩ら召喚者はもとよりNPCにおいても固有IDがあって、しっかり我輩とゆうの足跡が(ry
バレてますわ。
念話のIDを交換したら、課題クリアのご褒美もろた。
これスキルなのかギフトなのかよくわからないが、操作は脳波コントロールで通話はもちろん検索とか便利アプリがプリインストされてるスマホっぽいのとあとからハーフダイブのAI搭載アバター(?)。ようわからんわ。
説明も程々に、いや全く触りだけで我輩たちは、帰ってきた|エル腐とドワー腐(専属モービル)の定位置へ。
後日、冒険者登録の手続きにギルドへエル腐に背負われてクラスメイト達と入つてキョロキョロしてたら左腕に振動がして他人には不可視なスマホがポップしメッセージの着信を通知した。
帰っていったはずのセバスからだった。
しかし、ギルドのフロアにいるんだよね。気づいてるはずなのに視線を合わせないで、見知らぬ若い男女と飲食エリアのテーブルで談笑している。
不本意ながらメッセージの指示される通りに、Coming Soonアバターのアプリを操作した。
接続深度バーを1/3辺りにして、開始ボタンをタップすると意識と五感がなんか歪んで気持ち悪い。
「「(あ〜気持ち悪い)」」
Sebas:¥>ほーっほっはほ、半日もすれば慣れる
カースト上位から受付で手続きを続けている。
感覚が二重になっている。感じる空気が、………なんかヤダ。視界も二重で、一つはエル腐の背中とうなじなんだけど、もう一つにセバスの顔面が迫っている。吐いてもいいか?
Sebas:¥>失礼なっ!
『ほーっ、ほっほっ。早速だが名前を聞かせてくれないか』
『はい、俺は"アーサー"と言います。村では"アル"と呼ばれていました』
『ほぅ、"アート"じゃないのだ』
『村には、先に"アート"がいまして…』
『ほっほっ、なるほどの』
我輩より背のある隣りの椅子に座った若い男が、こちらを見ながら…ん、視線が胸にって、おい。つられて見れば恐怖の双球がっ!!
「(なんじゃ、これはーー)」『………お兄ちゃん、怖い』
我輩の口が勝手に動いた。我輩であって我輩でない?
意識が遠退きそうになるのをぐっとこらえたが、あとからになってこのとき気絶しなかった自分を後悔した。
兄と呼んだ男の腕を抱いて上目遣いに泪眼に見上げている女を我輩の肉眼で見ているこの苦悩。あいつ、あざとい。
『こ、これは双子の妹で"リア"と呼んでいます。本名は、…男の名前を付けられて嫌っているので勘弁してください』
『はっほっ、過去を忘れたいとかわけありの冒険者は珍しくない。本名など構わんよ』
『ありがとうございます』
そんなことより、兄の腕にとはいえ、若い娘が形が崩れるまでぐっと豊かな胸を押し付けているのはけしからん。その感触が加害者側なのが、ナゼだと叫びたい。
我輩の理性を砕く寸劇は続いた。
長い闘いだったようだ。意識と記憶が定かではない。
『では、この臨時パーティでクエストへ行くかの』
『『はい(こくこく)』』




