第5話 決着
いよいよ莉那の初戦が終わります!
さぁ、ゲームの世界へ!
絶体絶命の危機に陥りかけている莉那陣営は、≪魔女≫達によって≪アイドル≫達が同じ≪アイドル≫一人の裏切りにより、殲滅されようとしていた。
「さあ、攻撃を開始するよ。≪星屑の魔女・ダスター≫の効果を発動。このカードを墓地へ送ることにより、このターンの間、自分の≪魔女≫モンスターは効果無効の効果を無効化することができる。これにより、≪終焉の魔女・エンダール≫の効果が復活する。≪エンダール≫、焼き払え!」
先程と同じように、火の玉を相手のモンスター+1の数を作り出し、放った。もがき苦しむ≪アイドル≫達を莉那はただ呆然と見ることしかできなかった。
「みんな!どうして?≪クナミ≫!なんで裏切ったの!」
莉那はフィールドに置かれた≪トップアイドル・クナミ≫に向かって語りかけた。しかし、その声に答えるものはいない。
「じゃあ、ライフをもらうよ!」
映像で自分の分身が焼かれているのが写し出される。
これで莉那のライフは5になった。
「これでターンは終わりでしょ?」
「そう思ったら大間違いだよ。≪オブジェクトカード≫、≪魔女の庭・ウィッチャーズガーデン≫の効果発動!相手フィールドにモンスターがいないとき、自分のモンスターはもう一度攻撃ができる!」
「≪エンダール≫の効果のデメリットを補った……のか?」
「いいえ、それ以上よ。さあ、≪エンダール≫、≪クナミ≫よ、直接攻撃しなさい!」
≪魔女≫と≪アイドル≫が攻撃し、莉那のライフは3になる。
「これでターンエンド。ここで倒せなかったのは残念だな。≪魔女の庭・ウィッチャーズガーデン≫の効果でコントロールを得た≪トップアイドル・クナミ≫は莉那のフィールドに戻る」
(なんとかしのげたけど、あのモンスターと≪オブジェクト≫をどうにかしないと……)
「理彩もやるね。けど、次で最後だよ!」
莉那はそういうとカードをドローする。
(ここであのカードが来ないと次で確実にやられる。今の理彩のフィールドには≪終焉の魔女・エンダール≫だけだ。攻撃力は……≪星屑の魔女・ダスター≫がいないからそのままの攻撃力の2300か。これなら行ける!)
ターン6
莉那、コスト8、ライフ3、手札0
理彩、コスト9、ライフ1、手札1
(私の手札は0……もう、後はない!)
「私のターン!ドロー!」
莉那はこの一枚にすべてをかけてドローした。
めくったカードは……
(来たっ!)
「理彩、このターンで終わりよ」
「そ、そんなことはないはずよ。私がこのターンを防ぎきれたら!」
「防ぎきれたら……でしょ?けど、このカードは私のエースなの。だから残念だけどこれで終わりね。「世界を笑顔にするために、愛と努力を重ねて今こそ立ち上がれ!」≪トップアイドル・スタリナ≫を召喚!コストは7よ!」
その召喚宣言により、目の前の映像には地面から飛び出る一人の少女が現れ、アイドル衣装を身に纏う様子が写し出される。
≪トップアイドル・スタリナ≫コスト7、種族は亜人、攻撃力は2500のモンスターだ。
「このまま≪トップアイドル・スタリナ≫の効果発動!今までで墓地に送られた数だけこのモンスターは 攻撃ができる!墓地にいるモンスターは5体。よって5回攻撃ができる!」
「5回も攻撃……だと?」
「他にもこの子はいろんな効果があるけど、今回は使わなさそうね。さぁ、終演よ。≪トップアイドル・スタリナ≫で≪終焉の魔女・エンダール≫を攻撃!」
「ここでモンスターゾーンにある≪魔女の庭・ウィッチャーズガーデン≫を墓地に送り、≪エンダール≫の効果を発動!このカードは自分のモンスターゾーンに≪オブジェクトカード≫があるときに発動ができる。相手モンスターの攻撃を無効にし、このモンスターはこのターンの間破壊されない!」
≪スタリナ≫と≪エンダール≫の間に絶対不可侵の障壁が作られた。
「そうはいかないよ!≪トップアイドル・スタリナ≫の効果発動!自分フィールドに≪トップアイドル≫と名のつくモンスターがいるとき、相手モンスターの効果をひとつ無効にできる!私が無効化するのはもちろん≪エンダール≫の攻撃無効効果よ!さあ≪スタリナ≫、≪魔女≫とその指導者を倒しちゃって!」
≪トップアイドル・オンザステージ≫の効果もあり、≪トップアイドル・スタリナ≫の攻撃力は≪終焉の魔女・エンダール≫を上回る。
≪スタリナ≫は、ファン達を従えて、今度こそと言わんばかりに≪エンダール≫と指導者目掛けて突進している様子が写し出される。ファン達に押し潰され、≪エンダール≫は散った。そして、指導者にも攻撃が当たり、理彩のライフは0になった。
「うっそぉ!ま、負けちゃった……さすが莉那ね。莉那だったら……」
そう理彩は言い、自分の鞄を手に取った。
映像では、≪魔女≫陣営の指導者が倒され、その身体が消えていく様子が流れた。
「か、勝ったの?私が……理彩に?初戦で?」
実感がわいていないのか、莉那はおどおどしていた。その様子を見ていた理彩は莉那の肩を叩いた。
「そうだよ。莉那は私に勝ったんだよ!」
莉那は少し放心状態になっているが、やっとその事に気づき、やったぁと腕をあげて飛んだ。
「あ、そうそう、莉那だったらこれいけそうだよ!」
そう言い理彩は一枚の紙を莉那に渡した。そこにはとあるアイドルグループのオーディションの要項が書かれていた。
「え?私が……アイドルに?」
「うん、このオーディションは≪クラスターデュエル≫を使ったオーディションなんだよ。莉那だったら絶対合格まで行ける!だから、やってみない?」
その事を話す理彩の目は輝いていた。
ついに決着を迎えた莉那達は次なる舞台へ!これからもよろしくお願いします。