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54.王都に入る時間

 もう朝なのだろう、ベットが軋むのを感じて目覚めた。

ヒュラスが起き上がり、着替えるようとしていた。



「おはよう、スイアーフ」

「ああ~おはよう」



 今日は朝から兵士が王都に戻るのを、わからないようにつけていく・・・ただのストーカーだ・・・

その前に出発準備もあるんだ、いつ出発するかわからない、早く用意した方がいいだろうな。


 ヒュラスとともにリビングに行くと、キョウチとミホが、朝食の準備をしていた。

他の皆も全員揃っているようだな、俺たちが最後だったようだ。



「スミカ、ゆっくり休めたか?」

「はい、布団などでは寝た事無かったので、緊張しましたが、あのフカフカなベットに入ったら

いつの間にか朝でした」

「よく休めたようだな、今日は朝から出発だからな」

「はい、よろしくお願いいたします」



 朝食も終わり、スミカはこれまた、他の人が初めて来たときと同じ反応をしていた。

いつもこんなに豪華なものを食べているのかとか、奴隷も同じような扱いには、よほど驚いていたな。


 また干し肉や燻製などを、居残り組用に10日分は置いておく。

保存できるのが10日前後だからこの量でいいいだろう。足りない時は釣りでも取れる。

畑の芋の量は少し心配だが、ブンキョウさんに売ってもらえばいい。


 念のため漆黒の装備は一通り置いてある、風呂や水はカスミに、怪我や体調不良はアミに、

ミライには俺の代わりを、ヒュラスはサポートを、大体こんな感じでいいだろう。

畑を作るのももちろん頼んだ、出来る所まででいい無理はしないようにと。


 荷台で運ぶ、フリャーとコーラも準備しないといけない。

スミカも荷台を引いてくれる事になっているので、4台出して運ぶ。

今回はストーコウの時より、2.5倍近くあるから大変だ、そこにスミカも加わってくれて大助かりだ。

フリャーはおがくずを湿らせた物に詰める、コーラは水を少なめに水草などを入れた

荷台の上の水槽は、もちろん中が見えないようにしてある。日差し除けのためでもある。


 サーモレーダーで探ってみたら、兵士たちはすでに出発していたが、進み具合は遅いな、

こちらにはどのくらいのペースで進めるか、未知数のスミカもいる事だし、

あまり離れない方がいいだろうな。



「ミライこっちの事は任せる、判断できないようなときはヒュラスと相談してくれ、頼んだぞ」

「了解、あと約束して、卵を産むまでには絶対に戻ってきてね」

「ああ~多分10日もしないで戻ってくると思うが、わかった約束だ必ず戻ってくる」



 忘れていた!!卵の事は・・一ヵ月無いくらいだが問題ないだろう。

売って、討伐本部に行って、ガヤガヤ言われるだけだし、そんなに王都にはいないだろうな。


 

「コマツ、カシナ、スミカ、準備はいいか出発するぞ」

「了解」「仰せのままに」「はい」



 出発したのはいいが・・・兵士たちの歩みが遅すぎる・・・

気を抜くと追いついてしまう、位置確認のためサーモレーダーを使うと、結構近くに

獲物がいるのがわかるのだが、狩って昼にでも食べるか?



「コマツ、兵たちは昼は何か食べたりすると思うか?」

「多分休憩だけで終わると思うわ、お世話していた時も昼は要求されなかったわよ

私もスイ君の所に来るまでは、一日二食が当たり前だったもの」

「このままのペースだと、かえって疲れないか?昼用にでも狩りでもしないか?」

「いいわね、でも私は狩りはしたことないわよ?」

「問題ない、カシナもいるからな・・・・・カシナはどうだ?昼は肉でも食わないか?」

「仰せのままに」



 単純に暇だった、サーモレーダーを使うとそこら辺に、多くの獲物がいるんだ、

誰でも狩りをしたくなるだろう?本当に暇つぶしだ・・

初めは、サーモレーダーを使わないず、思い思いにやってみたが、カシナが鳥を一匹のみ。


 その後も、結構頑張っていたが鳥を追加で一匹、これもカシナだ。

俺も、コマツも、スミカも捕れない・・サーモレーダーを使い大物でもと思い、探知してみた。

いる事は居る、が!兵士たちが結構先に行っているようだ!少し追い付いておかないときついな。


 

「兵士との距離が結構離れてしまっている、狩りは終わりにして少し急ぐ必要がある、

昼食は悪いが歩きながら、干し肉で我慢してくれ」

「結構長い間狩りを楽しんでいたわね、仕方ないわ急ぎましょう」

「ご主人様、この鳥はいかがいたしましょうか?」

「ポケットにしまっていくか・・・・・少し急ぐがスミカのペースに合わせる。

・・・スミカ無理をしないで、ペースを守り進んでくれ」

「はい」



 兵士め!!日が傾き始めてからペースを上げやがったな!

俺達を追い付けないようにするためだろうな、でも全然だぞもっと鍛えやがれ。

スミカがいたから少し焦ったのは内緒だが・・・


 サーモレーダーを使うともう少しで王都につくぞ、今俺達が居るのは兵士の後方500メートルぐらいだ。

追いついてもすぐ先に王都がある。ムカつくことも少ないはず、追いつけなくて後からグチグチと

言おうとしていたはずだ。


 追いつく前にこれはしておかないと、ダメだ!

道脇で休憩できるような場所を見つけ、あたりを見わたすが周りに誰もいない。

カシナとコマツの服装が、体操着にブルマです・・アールネイヤではない物だ、これで王都に行くと目立つ


 二人を呼び有無も言わさずトレーネに戻す、眼福です!!

ベストCカップと最強が並んでいます!!当の二人はキョトンとしてるだけ・・

本来ならここで『きゃ~~~』とか言ってほしい場面だぞ!!・・・まあ~いい・・・

スミカと同じような、ワンピースを出し着替えてもらった。


 剣もカシナに持たせた、これがお目当てなのだ、無かったらギャーギャー言われる。



「カシナは俺とこのまま走って追いつき、急いで来たのを兵士に見せる」

「仰せのままに」

「コマツは、こちらの様子を見ながら追いついてほしい、兵は門を入るのに止められることはないはずだ。

その時にでも来てくれ、それと、今はスミカを隠しておきたいし、合わせたくもない」

「そうね、スミカが居ると面倒ごとになるかもしれないわね、了解よ」

「スミカはコマツの指示に従ってくれ」

「はい、わかりました」



 俺とカシナで急いできました感を出しながら、走って行く、全然疲れもしないが、

念阻で霧雨を出し汗をかいてるように見せた。



「兵士様、早いですね、もう少し早く追いつけると思っていました」

「フン!平民か、良く追いついたな」

「ええ~取引も早く終わり、急いで出て来ましたので、何とか間に合いました」



 向かうペース上げてたから、追いつかれるとは思っていなかったようだな。

カシナを見て目的の剣も確認している。



「平民、王都はすぐそこだ、こっちは門も素通りできるが、平民は時間がかかる。

剣の話は、大隊長や部隊長に話を通してからになる、それまで待機していろ、部隊長はいるが

大隊長がわからぬ」 

「どのくらいかかるのでしょうか?」

「知らんわ!こっちから使いを出すまで待っていろ」

「はぁ~~!!こちらも都合があるのですが?」

「そんなものは知らぬ、平民の務めだ!使いが行くまで待てばいい」

「ではその間の宿代は出して貰えますよね?」

「なんでだ?平民が泊まるのになぜ出さねばならぬ?身をわきまえろ!」



 やっぱりな・・・予想はしていたが、この扱いだ。2~3日待っても来なかったら帰るぞ!



「わかりましたよ・・宿が決まったら知らせにいけばいいんですね?」

「平民、賢くなったようだな、いつもそうしていればいいのだぞ」

「・・・さようで・・・」



 ま~何日か猶予があると思えばいいか、その大隊長や部隊長の情報も得られるだろう。

部隊長には早めに会って、スミカの件をかたずけておきたいな。



「兵士様、部隊長様とは会って話などはすぐにでもできますか?」

「何の用だ?」

「いえ、大したお話ではありませんので」

「フン!本部に行けばいるだろう」

「ありがとうございます」



 間もなく王都の門にたどり着いたが、長い列だ・・・これはしばらくかかりそうだな

兵士は我が物顔で王都の中に入っていった。


 兵士が見えなくなると、コマツとスミカが合流した。



「コマツ、ここではいくら取られるんだ?」

「一人2千プノだったはずよ、奴隷はわからないわ」

「スミカはわかるか?」

「はい、奴隷は5千プノです」

「倍か高いな、王都を出るときには戻ってくるんだろ?」

「いえ、奴隷の分は戻ってきません」

「え!なぜ?」

「王都に初奴隷以外は、持ち込むのを減らすためだと聞いています。王都では初奴隷以外は

なかなか買い手が付きません、外から奴隷を売りに来るのを防ぐためだとか」

「スミカが千プノでの買取だとしたら、外からもそんなに変わらない値段だと、売りに来ても

4000プノの赤字になるから、だれも売りに来なくなるな」

「はい、初奴隷はまだ奴隷紋も無いので平民と同じです、それに価格が高く売れます」

「2回目以降の奴隷は、王都内で回しているって事か」

「はい」



 王都の奴隷は安すぎるからな、持ち込みはこれで減るのはわかる。

まだよくわからない事もあるな・・・スミカを捨てる行為も納得いかない事がある。



「スミカ、このまま部隊長の元に戻ったら、どうなるかわかるか?」

「はい、今までと変わらないと思いますが、またどこかで捨てられると思います」

「殺されるようなことはないんだな?」

「無いとは言い切れません・・兵士様との訓練の相手などをやらされて・・・・」

「そんなこともあるのか」

「スミカには悪いが、なぜそれを初めからしなかったんだ?」

「それでもし私が死んだとなれば、王都では罰則として1万プノと向こう5年は、

奴隷を買う事が出来なくなります」

「そんなものがあったのか、売るにしても奴隷紋の書き換えで4千プノの赤字で

殺してしまえば、もっと高い赤字にペナルティが付く、外に連れ出して居無くなれば

何のペナルティーも無いって事か?」

「そうだと思います・・・」

「ご主人様、もう一つ大事な事があります」

「カシナか、なんだ?」

「奴隷をご主人様自ら殺す事は出来ないのです、それが起きた場合は、死んだ奴隷の奴隷紋が

ご主人様の何かを奪います」

「え!何それ怖い!具体的に聞いてもいいか?」

「よくあるのが盲目になったり、手がマヒしたりが多いと言われています」



 俺が知らなかった事実発覚!!俺はそんなこと絶対にしないぞ!

色々な事がわかってよかったが、それなら一番簡単な開放があるだろうと思ったが・・・

開放でも、奴隷紋を消すのには売る以上に金がかかるんだとさ。


 部隊長もスミカを邪魔にしているなら、簡単に手放すだろう。

宿を決めてからにでも早速、交渉に行ってみようと思うが・・・この調子だと明日になるな



「それにしても長いな?もう結構待っているよな?」

「はい、王都に入る一般の人の門はここしかないので、いつもこんな感じです」

「あともう一つよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「宿屋の事なんですけど、奴隷が泊まるときは普通の2倍の料金になります」

「なんでだ!!」

「先ほどのお話の延長です、奴隷を持ち込んでも損しますと・・」

「それなら来て早々に売ればいいだけだろ?」

「いえ、価格が価格なだけに、少しでも高い所に売りたいと奴隷商を回りますよね・・

でも思っていた価格にはなりません、明日また探そうとすると・・・宿屋の値段・・・

こんな流れになります・・王都在住の奴隷が泊まる事なんかありませんので」

「一度経験したらまず、売りに来ようなんて思わないな」

 


 王都の奴隷管理、持ち込ませない事には徹底してる感じがする。

でも奴隷を売りに来るのではなく、ストーコウや他の街などから音も出来た奴隷はどうするんだ?



「スミカ、お供で連れてきた奴隷はどうしているんだ?商売などで何度も来るだろ?

そのたびに払っているのか?」

「その人たちはここから少し行った場所で、自炊などをして主人が出てくるまで野宿していますよ」

「そうか、カシナもそこで待っているか?」

「仰せのままに」

「ちょっと待て!嘘だ!燻製を売るのにこっちが困る!」



 カシナはからかうのはやめた方がいい!全部本気に取られる。

からかうのはキョウチが一番だと思った。


 暗くなるころまで待ち、やっと順番が来た・・・・長かった・・・

この後に並んでる人たちはどうなるんだ??夜中まで並ぶのか?大変だな。

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