53.スミカの状況
リビングに戻ると全員居た、ミアートも寝てるユーキを抱っこして待っていた、気になるのだろうな。
スミカは服がなかった、裸のまま出てきたが本人は何とも思っていない様子、ここはそうだったな。
「カシナ、悪いが買ってきた服を譲ってやってくれないか?明日から行くのだし
現地で別なものを用意する」
「仰せのままに」
スミカに明日行く場所を伏せて話したのは、兵士や王都の事を思い出し話にくくしないため。
さてカシナに服を用意してもらったし、色々聞いていくか。
その前にトーネ、アミ、カスミ、ミアートは休ませた方がいいだろう、特にアミだは限界近くまで
無理をさせた。
「トーネ、アミ、カスミ、ミアートはもう休んでもいいぞ」
「あい」「畏まりました」
「兄さん、私の判断で休みますね」
「そうか、ユーキもいるんだ無理はしないようにな」
3人が部屋に行くのを見送り、話を始めた。
「スミカとりあえず椅子に座ってくれないか?・・・皆に俺が知っているの事は伝える、と言っても
名前と年齢ぐらいだ。名はスミカ、21歳だ」
「皆様、よろしくお願いします」
俺が簡単に紹介はしていった。今後どうなるのかは未定だから、覚えなくてもいいだろうな。
「私と同じように、奴隷の方も何人か見受けられるのですが、
私も同じ場所で、またこのような椅子に座っていてもよろしいのでしょうか?」
「ん?なぜだ別にいいんじゃないか?」
「奴隷は椅子などには座ることはないです、まして先ほどのように、
お湯を使わせていただいたことなどありません、ここの奴隷の方も立派な服を着ていますし
ここはどういった場所なのでしょうか?」
「普通の名も無い村?だと思うが?・・まあいいこちらから質問してもいいか?」
「は、はい」
「スミカの主人は誰なんだ?」
「王都付き部隊長のヤリーモ様です」
「その人は今どこにいるんだ?」
「何も無ければ王都に居ると思います」
王都に居るという事は、あのいやな兵士が主人ではないわけだ。
あいつは何なんだ?
「スミカの状況は、大体はわかっているつもりだが確認させてもらいたい。
この街に来る討伐隊にスミカはついて来た、着く直前に何らかの理由ではぐれてしまった。
その後はわからないが、その数日後俺たちが見つけた。こんな感じであっているか?」
「そうですが、でもはぐれたわけではありません・・・連れてこられた兵士達に木に縛られ
『お前はここまでだ』と言われました・・・・・そう捨てられたのです・・・」
「水袋を持っていたようだが?」
「一緒に来た女性兵士様のお情けで、水袋を置いて行ってくれました」
「そうだったのか・・・・コマツその女性は?」
「虎野の犠牲になった人が女性の方でしたわ」
「・・・・・」
兵士が話していた通り捨てられたのか、ストーコウと王都の奴隷はミホから聞いたので間違いないな。
捨てられたのが確定したが、この場合スミカはどうなるのかも聞いておいた方がいいな。
「スミカは、この後はどうするんだ?体力も回復して、どこかに行こうとするならある程度はいけるだろ?」
「奴隷紋での契約があるので、主人の所に戻ります」
「捨てられたんだぞ?それでも戻るのか?」
「はい、ご主人様からの命ではないので・・戻らなければなりません」
「一緒に来た兵士は、まだこの村にいるがどうする?」
「・・・・・」
「質問を変えよう、あの兵士は何者?」
「ユカシ様でしょうか?あの部隊の隊長です」
「スイ君、それであってるわ」
「・・・滞在しているんだ、初めからコマツは知っていてもおかしくはないか・・」
なぜそこを考え無かったのか、兵士と会うたびにムカつく!そこまで知りたくなかったのもあるが、
頭が回らなかった。またカシナから聞いたこともあっているようだな。
「そのユカシはなぜスミカを捨てたんだ?そもそもそんな権限があるのか?」
「わかりません、もしかしたらご主人様に、言われていたのかもしれません」
「ご主人様、ストーコウでは奴隷を手放すときは、奴隷商に売るか解放しかありません
ご存知でしょうが、奴隷紋の書き換えで5千プノは必ずかかります、
このあたりが関係しているかもしれません」
「カシナの言う事が当たっているとしたら、5千プノが惜しかったって事か?
スミカには悪いが、スミカ自体の価格で金が入ってくるんじゃないのか?」
「ここに来る前に奴隷商に連れていかれて・・私の価格は・・千プノと言われました・・」
なに~!!あのおっぱいが千プノだと!少し小さいが、スミカと紋を合わせても6千プノ!!
よし!!俺が買おう!!魚より安いとかありえないだろ、王都ではもしかしてデフレなのか?
「奴隷の価格が安すぎないか」
「初奴隷はそれなりの価格になっているはずですが、私のように2回目以降の奴隷は
買い手が決まりにくいのです。そのため売値も価格が付きにくいみたいです・・」
「初と2回目では、なぜそんなに開きがあるんだ?」
「王都の貴族様達が、初奴隷以外は価値などないと言い出したみたいです」
「え~~~そんな価格で買えたの?私でもなんとか買えたじゃない」
「ヒュラスが欲しかったのは男の奴隷だろ!」
「そうそう、話を聞くと2回目以降の奴隷なら買えそうじゃない?」
「ヒュラス様、女性奴隷のお話で・・・男性奴隷は初も2回目も、価格の変動はないと聞いております」
「・・・・・・」
ヒュラスはまだ欲しかったのか!!買ってやるか??いやヒュラスのおっぱいも俺のだ!
誰にも触らせん!・・・・・・それにしても女性奴隷の価値が下がりすぎだろ、
カシナの価格が20万プノだ、20人以上買えそうだな。
「大体わかった、スミカ隠していたわけではないが、ユカシだっけ?あいつに王都に来いと言われて
明日行く事になっているんだ、一緒に行くか?」
「・・・・・命令もユカシ様についていけでした。ユカシ様も戻られるなら
動ける状態なので、意志とは関係なく私も戻らなくてはなりません・・・」
「戻らなかったらどうなるんだ?」
「1日以内に、勝手に体が動いて王都に向かいます」
「よくわからないなその仕組みが」
「ご主人様、奴隷商で前ご主人様からお聞きになられておりませんか?」
「何をだ?」
「奴隷紋の契約の時に、ご主人様の好きなように契約できたはずです。
スミカさんの主人がどんな契約をしたかなので、他の人にはわからない事が多いはずです」
思い出した・・・契約の時にトーネの事を頼んだ、奴隷ではなくなるんだから妬みや嫉妬防止だった。
そう考えたら人によって契約も違う、他人の契約などわかるはずないか。
「理解した、スミカ、明日の朝ここを出るから一緒に行こう。
ユカシたち兵士とは一緒ではないから、安心するといい」
「ありがとうございます」
「皆、話が長くなって悪かったな、もう自分の判断で休んでくれ・・・・・
・・・・ヒュラス、悪いが食事の支度をしてもらえないか?」
「え!!さっき食べたじゃない?また食べるの?」
「いや、スミカにだ」
「ああ~了解」
スミカの事を考えていた、捨てられたときに木に縛られたといっていたな
これは契約内容を聞いていて、帰らせないようにしたのか?だが一つ疑問が湧く
何で縛ったのかわからないが、アールネイヤ特有のパワーで簡単に脱出できるんじゃないのか?
まだいたカシナにこっそり聞いてみる。
「カシナ、今何かで木に縛り付けられたとしたら、どうだ?抜け出せるか?」
「はい今の私なら簡単だと思います。この家にいる人なら誰でも簡単でしょう」
「どういう事だ?」
「念阻の関係です、この家に居る者は、ご主人様のお心使いで3食も頂けておりますので、
普通の人たちよりも念阻が強くなっていますから、私も奴隷商にいたときよりも身体能力が
数倍になっています、今なら虎野も素手で倒せるかもしれません」
「え!マジですか!」
「はい、ですがスミカさんは満足に食事もできていなかったみたいですので、念阻の力無いはずです。
縛られたら、そのままだったでしょう」
「だが見つけたときは縛られていなかったぞ?」
「私の想像ですけど、水袋を置いてくれた女兵士が、何か細工をしてくれたのではないかと思います」
「おお~カシナは凄いな~!」
食事の準備も出来たようだ。今日作った燻製、フリャーとコーラだ
そんな希少なものいいんでしょうかと、目が点になるいつものパターンだ。
問題ないと言うと、食べだす、この後もいつものパターンだ、勢いよく無言で食べる骨まで食べる!食べる!
俺はリビングを離れ、スミカが寝ていた部屋に行き『スプラッター』のあと始末だ
桶を出し、そのうえでトレーネに戻しまた出す、簡単だ。
窓を開け充満していた匂いを念阻の風で吹き飛ばす、あとは桶の始末か、窓からでいいか
トレーネに戻した後は、『スプラッター』を水で洗い流した、大地にの栄養に戻ってくれるだろう。
リビングに戻るとスミカも食事は終わっていた。
ヒュラス、コマツ、カシナがスミカと話している、この会話に入らない方がいいだろうな。
話に加わると俺主導の会話になってしまう・・・
「ミライ、話は終わったんだ休まないのか?」
「少し考え事をしていたのよ、スミカから聞いたことでね。トーネが王都に居たらと思ったらさ
なんだかね・・言葉には出せないんだけど・・モヤモヤってしてるの」
「家族になったトーネが、もしそんな状況になったら俺は後先考えないで行動するだろうな」
「スイアーフ、今の奴隷たちは絶対に売ったりしないでよ、約束して」
「当たり前だろ!カシナ達にも言ってあるから心配するな。それに金に困るようなことはない」
ミライも王都の奴隷現状が気になり、トーネに重ねて考えていたようだ。
だが、考えていてもその現状は変えられない事もわかっているはず、どうにもできない・・
「スミカはどうするの?関りを持った以上何かしてあげてほしい」
「ああ、出来る限りの事はしようと思っている、部隊長は捨てようとしていたんだ
話をして買い取るつもりだ」
「そう、よかった」
「トーネももしかしたら待っているんじゃないか?もう休んだ方がいいぞ」
「そうね、安心も出来たし休むわね」
「ああ~」
ミライがリビングを後にすると、続くようにミアート、ミホ、キョウチも部屋に向かっていった。
なんだ待っていたのか、誰かが初めに部屋に行くのを、少し気まずい雰囲気になっていたから
行動に移せなかったかもしれないな。
「そろそろ休んだ方がいいんじゃないか?明日は出発の準備も手伝ってほしい」
「そうね、もう休んだ方がいいわね」
「では私も、スイ君おやすみなさい」
「スミカもさっきの部屋を使ってくれればいい、掃除はしておいた」
「申し訳ありません・・あのような部屋を私などが使っていいのでしょうか・・」
「ああ~別にかまわないだろう、コマツ一応ついて行ってくれるか」
コマツの後をスミカはついて行った。
「スイアーフと二人だね~これはあれよね?」
「アレとは何だ?」
「しばらく会えないのよ、早くスイアーフの部屋で休みましょうね」
「ヒュラスは、男の奴隷をあきらめていなかったみたいだよな、王都に言った時に買って来てやろうか?」
「え!高いよ?」
「金はまだまだ余裕がある・・そうだな、次ヒュラスに会うときは男の奴隷がいるから
今日が最後になるになるのか、一緒に寝るか」
「あっ!えっ!・・スイアーフ・・ごめん・・男の奴隷なんかいらないよ・・私が馬鹿だったよ・・」
ヒュラスも後先考えないで、ものを言うタイプだ行動もそうだな。今が良ければいい
あっ!俺もそのタイプだ!!
「ヒュラスは欲望に真っすぐだな」
「う~ん、すぐに妄想してしまうのよ・・・」
「そうか・・明日も早いし寝るか!今日が最後だしな」」
「ごめんなさい・・もういわないよ~」
ヒュラスをからかい終わり、部屋に行く、いつものより軽めの『モミモミ』だ
水たまりは困る。後はいつもと同じ、ヒュラスのおっぱいを包むようにして眠りにつき、朝を待つのだった。




