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12.お魚パラダイス

よろしくお願いいたします。


 15分ぐらい歩いただろうか?小川が見えてきた。

小川と言っても結構大きい部類だった。魚が泳いでるのも確認できた。


 すでに3人は水浴びをしていたが、こんな状況の時は水着を着ていてほしいものだ。

全然隠していないのと、水着のように隠してるのとでは全然違う!!

ドキドキも何もない!ハプニングでポロリ!その時の女性の恥じらいはいいものなのだよ・・・


 俺も腰ぐらいの深さがある場所まで注意して入っていった。

注意して入っていかなければならない、いきなり深くなって足を取られ、流され、土左衛門はいやだ。

水もすごくきれいだ!日本の渓流のように澄んでいる。ま~生活用に川の水を使っているし

飲み水にしてもいいくらいだ。


 それにしても魚やカニ、エビのようなものが豊富にいる。

もちろん食べられる。でもめったに食べたことがない!めったに捕まえられないからだ。

念阻でどうにでもなるように思えるが、アールネイヤ特有の魚には感知があるらしい

少しでも念阻を感知したら素早くいなくなるのだ。


 アールネイヤでは漁法が全然発達していないため、だれも魚を取ろうとは考えていない。

モリでつくとか考えないのか?すごく不思議なことだ。 

獣や魔獣狩りにばかりだ 肉肉畑肉畑こんな感じで魚貝は見向きもしない。

たまに魚が食べられるのは、これだけいる魚だ中には変わった魚もいる

まれに水汲みの時、魚から桶に入ってくるのだ!これが年に1回あるかないかの理由だ。


 『ん・・・これ簡単に取れそうだぞ!』

念阻が出ていないからか警戒心もなくすごく近くまで寄ってきている。

3人を呼んで魚取りしてみよう。



「お~い、水浴びはそろそろいいか~?こっちに来てくれ」

「もう戻りますか?」

「ちょっと思いついたことがある!手伝ってくれ」



 3人とも集まってきたので説明を始めた。

ミアートだけはユーキを残してきていたので、このタイミングで先に戻っていった。

二人に協力してもらって、試してみたいことがある。



「川に魚がすごくいるよな?食べたくない?」

「母さんも食べたいけど取れないでしょ?桶も持って来ていないから魚は入ってくれないよ」

「取れるかはわからないけど、試してみたいことがあるんだ。手伝ってもらえる?」

「何をするかわからないけどいいわよ」



 二人はいやな顔もせずに、何をするのか『ワクワク』してるように見えた。

魚がもしかしたら食べられるかも?の期待だ。



「スイアーフのためなら何でもするよ」

「期待しているよヒュラス」

「ね~ね~ミライ今の聞いた?『ヒュラス』だって~!!

これはもうスイアーフと子供作るってことだよね!ね!」



 うれしいのかニヤニヤしている。ヒュラスは行動がかわいい。



「なんでそんな話になるんだよ!!秘密の共有してるし他人行儀はやめようと思っただけ!

ブンキョウさんには悪いと思うけど」


 

 少し恥ずかしくなり顔が赤くなっていたのがわかった。



「旦那は気にしなくていいよ、喜ぶはずよ、私から解放された~って」



 ヒュラスは笑いながら言う。



「では始める!まず自分で持って投げられそうな石を探してきて、

念阻は使ってダメですよ。力だけで持てるものです」



 俺も適当な大きさの物を探し始めた。持てそうもない石から持ってみた

『なんだこれ!!!』力がどれだけあるのかわからないから比べられないけど、

日本だとこの大きさは100キロ以上は確実にあるぞ!!

それを苦にもならず持てるのだ。二人を見てみると・・・・・

『ウソ!!』さっき持った石の半分強?日本の女性が持てる大きさではない!

男性でも無理かもしれないそれを軽々持ってきたのだ。



「このくらいの大きさでいいかしら?」

「ミライのより大きいでしょ?」

「ごめん・・・その半分ぐらいの石でお願いします・・・」



 小さめの石を持ってきてもらい川縁においてもらった。

まずは俺がやってみることにして、二人にはうまくいったときの魚捕獲要因をしてもらう。

川に入っていき実行する。



「うりゃ~~~!!」

『!!!!ゴン!!!!バッチャ~ン!!』



 掛け声と同時に投げつけた 石と岩がぶつかった音、すぐに石が川の中に落ちる音、

濃い魚影のためなのか魚が『プカプカ』と7匹浮かんできた。



「二人とも魚を捕まえて急いで陸にもっていって!!」

「「はい~」」



 何とも間の抜けた返事が返ってきた。

うまくいってよかったと一安心。そうこれは日本では禁止されている漁法。

自然破壊と無差別漁で禁止になってるとか?テレビで見たのを覚えてた。



「うまくつかまえられたな」

「・・母さん・・・一匹逃がしてしまった・・・いきなり動き出すんだもの・・」

「ミライはどんくさいね~」

「衝撃で気絶してて、いつ目を覚ますかわからないからどうしようもないよ。

6匹取れたんだから良し」



二人は6匹も取れて『ニンマリ』していた。

年に一回とれるかどうかの魚が六匹も取れたのだ。

いつも芋や交換して手に入れたくず肉じゃなく、魚が食べられるのだからうれしいだろう。



「スイアーフはなんでこれで取れると思ったの?」

「母さんも知りたいな?」

「う~んただの思い付きだな?」



 説明しようがないので、適当なことでごまかした。



「ミライが逃がしたりしなければ3匹と4匹でわけられたのに・・・一人1匹で・・・」

「ヒュラス!!スイアーフにしたこと許さないはよ!!」

「ごめんなさい。うちは3匹もらえたら十分です」



 この調子だともうヒュラスはミライに頭が上がらないな。

でもこれで最後のはずがないでしょ!



「何言ってるんだ?まだ二人に用意てもらった石もあるぞ?使わないのか?」

「「あ~」」

「今度は母さんがやってみてもいいかな?」

「いいけどさっきの岩はだめだ、別な岩にするように」

「わかったよ」



 ミライは少し離れた岩に行き石をぶつけた。



「えい~!!」

『!!!!ゴン!!!!バッチャ~ン!!』



 今度は6匹浮かんできた。今度は拾う役目だ。

今回は一匹も逃がさず捕まえられた。



「次は私ね!!」



 ヒュラスもやる気満々で岩にぶつけた。



「えっい~!!」

『!!!!ゴン!!!!バッチャ~ン!!』



 10匹浮かんできた。ヒュラスはドヤ顔だった。

数が多いと拾うのも楽ではない。手が回らなくて3匹は目を覚ましていなくなった。



「ミライ何してるのよ!せっかくの魚が逃げちゃったじゃない!!」

「なによ~!スイアーフの前の魚が逃げたんじゃない!!」

「スイアーフはいいの、ミライがつかまえないから!!」

「もうやめ~!!二人ともそんなことでケンカしない!!」

「「ごめん」」



 どっちが親なのか?また年上なのかわからない・・

子供のケンカだ・・・


 もちろんこの世界に冷蔵庫はない。保管はできないし多く取っても腐るだけだろう。

あと川の魚は臭いと聞くが泥抜きなどできそうもないし、初めの魚はすでに死んでいる。

どうしようか?泥抜きができないので早めに内臓を取った方がいいかはずだ。



「ミライ、家に戻って入れ物と包丁を持ってきてくれ、あとヒュラスの家によって同じものを借りてきて、

ミアートも来られそうなら連れてきて」

「わかったわ」

「私も戻った方がいいんじゃない?」

「ヒュラスにはまた魚を取ってもらう」



 ミライが戻っていく。やはり全裸で町の中を歩かせるのは気分的にも嫌だな

あ!ブンキョウさんの所にもその恰好かなと心配になった・・


 さてこれから食べてみようかと思う。



「ヒュラスはここで火を起こせる?」

「生活には必要だからできるよ」

「少し離れた所で火を起こしてもらえるか?」

「は~い」



 見た目綺麗な枝を折って、木の皮を剥いで川でよく洗う。

枝を魚にさしておく、ミアートも来るかもだから4匹と予備で1匹の計5匹だ。


 ヒュラスが起こした火の周りに魚の串焼きを刺して焼いていく。

なぜ離れた場所なのかというと火を起こすときに念阻を使うからだ。


 まだまだ焼けそうもないので、ヒュラスと魚取りを何回かした

かなりの数の魚が取れた。魚の価値についてヒュラスに聞いてみた。



「ヒュラス、この魚一匹と交換するなら何と交換する?」

「そうね?魚は珍しいと言っても保存も聞かないし小さいからね。

水なら念阻だし10回分、肉なら獲物にもよるけど魚の大きさの5倍分ぐらいかな?」

「結構すごいな?もし保存ができたとしたらどう?」

「街や王都にもって行けるならすごいことになりそうよ」

「なるほど」



 俺には指輪があるから持っていけそうだぞ。

ここにきてまだお金は見たことはないが記憶にはある。

お金でも稼いでみますか。服も買いたいし、家もどうにかして広くしたいといけない

子供だ増えそうな気もする。


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