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ギルドバトル

 <ギルドバトル>とは各ギルドには一つずつギルド所有する<ギルドダンジョン>同士を戦わせ、その勝敗によってボーナスを与えられるというものだ。


 複数のダンジョンマスターが共同で召喚モンスターを配置したり、罠を設置したりして作り込まれたダンジョン同士を繋げて競わせようという趣旨のイベントである。


 ギルドバトルで消費されるDPはギルドメンバーが出資したギルドの<資本金>から供出される。中々にもめそうなルールである。


 何せ資本金はギルドの等級を決める重要な物だ。メンバー全員のお金であるわけで、ギルドバトルにどれくらい使用するかギルドマスターはメンバーの合意を取り付けながらバトルに挑むことになる。


 ギルドダンジョンの構築では、まずギルド会員がギルドバトルに使用したい召喚した魔物や罠、アイテム類をギルドメニューからドラッグ&ドロップで待機エリアに投入する。集まった物資の中からギルドマスターが最適なものを選択し、ギルドダンジョンに配置する。


 ギルドマスターの腕の見せ所というわけである。


 ちなみにギルドダンジョンに魔物や罠、アイテム類が配置されるとギルドバトル完了後まで元に戻せなくなるそうだ。そしてギルドバトル開始と同時にDPとして還元される。ギルドメンバーが供出する戦力を資本金で共同購入するイメージだろうか。


 なお、ダンジョンマスター自身や眷属達をギルドバトルに参加させたい場合には所定のDPを支払うことで自由に出入りが出来るようになるという。


 少し変っているのが還元レートがかなり高めに設定されている事だろう。登録された魔物や罠は<市場>に出品した際の最低販売価格の一〇倍でダンジョンマスターに還元される仕組みになっていた。


 一〇万DPのモンスターを提供したら一〇〇万DPになって返ってくるという感じだ。これにはあまり規模を大きくしすぎても収集が付かないし、召喚コストの一〇倍の値段で買い取ってくれるならギルド会員達が隠し持っている特殊モンスターや希少なアイテムも積極的に使用されるだろうと考えたからのようだ。


 ちなみに資本金を使いすぎればギルドランクが下がってしまうので注意が必要だ。資本金一〇〇〇万DPの二ツ星級ギルドがあったとして、六〇〇万DPを使うと残る資本金は四〇〇万DPになる。


 二ツ星級の条件である資本金五〇〇万DP以上をクリア出来なくなるためランクダウンしてしまうわけだ。ギルド等級が下がれば会員枠も減るため、何の落ち度もないギルド会員のクビを切らなければならなくなる。


 不正防止のためギルドバトル終了までギルドへの加入は制限されるらしいのでクビを切られた会員は肝心のギルドバトルに参加できないことになる。間違いなく禍根を残すだろう。


 話を戻すが、ギルドバトルは通常のダンジョンバトルとは一部のルールが異なっている。


 まず特徴的なのは複数のダンジョンが同時に戦うバトルロイヤル戦となっている事だろう。参加表明をした四つから五つのギルドダンジョンが同時に接続される事になる。またその関係である程度、離した場所に五つの出入り口を作らなければならない。


 次の変更点は時間制限の延長だ。通常のダンジョンバトルでは二四時間という制限があったがギルドバトルでは大きく伸び、その十倍、二四〇時間という長丁場の戦いになる。


 ギルドバトルでは四つのダンジョンがこの一〇日間を戦い抜き、敵軍に与えた損害スコアを競い合う。


 敵モンスターを倒せば使用コストと同額がスコアとして入る。一〇〇DPのモンスターを倒せば、一〇〇ポイントを得られるという事だ。


 逆に罠を壊したり、アイテムを消費させたところでスコアには換算されないため、スコアを稼がれる事を承知で魔物を増やして積極的に攻めるか、罠やアイテムを充実させて迎え撃つかなどの様々な戦略が考えられた。


 更にギルドバトルでは、自ダンジョン内で魔物が死亡した場合、コストの二五%が加算されるというルールが追加されている。自ダンジョン内で一〇〇DPの魔物を倒せば一二五ポイントが手に入る。


 自軍で一〇〇DPの魔物が倒されても二五ポイントが入るから選択肢は俄然増えていくことになる。他にもこのルールを使えば敵軍同士の進軍経路を合流させる事で自ダンジョン内で殺し合わせるなんて戦略も考えられる。


 このようなルールの下、最も多くのスコアを稼ぎ出したギルドダンジョンが勝者となる。報酬はかなり豊富なようで、まず勝敗決定後、ギルドには順位に応じた賞金やレアアイテムなどが手に入るそうだ。


 更に各バトルの優勝ギルドには副賞として下位ギルドの資本金を奪う事も出来る。没収額はギルドバトルに使用したDPから割合で計算され、最下位は使用DPと同額が没収、下から二番目でも五〇%が奪われるとの事だ。投資額が大きければ大きいほど敗北のリスクも大きくなるわけである。


「……なるほど。一位になれたギルドだけが等級を上げられるんだね」

 現状、各メンバーが上限額まで出資しても二二〇〇万DPまでしか資本金は積み立てられない。三ツ星級に上がる条件である資本金二五〇〇万DPに到達するためには、必ず一度はギルドバトルに勝利し、対戦相手から資本金を奪うしかない。


 ギルドバトルは四月と一二月の年二回行われる。四月は予選扱いで、一二月末の本戦で予選の優勝ギルドが集まって年間チャンピオンが決まる。


 もちろん各ギルドバトルごとにMVPや敢闘賞や殊勲賞、技能賞があるようでその結果を以ってギルドランクは総合的に決められるそうな。


 ちなみにダンジョンランキングと同じように今年からギルドランキングも用意されるらしく、予選や本戦で活躍したギルドが上位を独占する事になるのは確定だ。


「ダンジョンバトルの結果がギルドランキングに直結してくる。本当にいやらしい事を考えるよね」

 ギルドランキングで上位に入れば特別ボーナスが出るそうだ。こうしたリスクやリターンを考慮したうえで各ギルドはこの戦いに挑まなければならない。


 ただしダンジョンランキングの報酬もかなりのものだから、どのギルドも本腰を入れてくるに違いない。


「主様、そろそろ時間」

「おっと、そうだったね。ありがとう、クロエ」

 考え込んでいたヒロトは、クロエにそう促され、ギルドメニューの<会議>を選択した。


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