地下へ
「しかし、病院の地下で何を探せばいいんだ?」
牧名正の問いに安彦は即答した。
「トノだよ」
「いや、そもそもトノって何なんだよ? お殿様なのか? そんなもの、病院の地下にいるのか?」
牧名正の叫びに、白尾春奈ちゃんが。
「待って。今、スマホで検索したんだけど、もしかしたら、あの歌の原型が見つかったかもしれないわ。金色姫伝説って言うの」
「金色姫?」
全く聞きなれない言葉に全員が叫んだ。
「継子なので、義母さんに山に捨てられるけど、獅子の背に乗って戻ってくるの」
「ええっ! 石の背に乗りって…」
安彦が慌てた。
「あー、少しおかしいとは思ってたんだよ…。石の背中って、どこなんだ…とか」
牧名正が肩を落とした。
「まぁ、今のこの事態が既に地方ルールなのだから、ここの民謡では石なのかもしれないわ。
とにかく、金色姫伝説では、殿は王様なのよ。
インドの話だから」
「インドの話だったの?」
安彦は叫んだ。
「そう、そして穴に埋められたところ、宮殿の庭の穴の部分が光って、王様は姫が埋められていることを知ったのよ」
「光ってる!」
安彦は驚くが、牧名正は叫んだ。
「もう、とにかく病院の地下に行って、光っているものを探すっきゃないな!」
牧名正は眼鏡をずらしながら叫んだ。
パワーシャベルは本気を出すと結構早かった。
やがて、秩父総合病院が見えてきた。
「少し泥と差が出来たけど、もって数分だぞ!」
牧名正は叫んだ。伊沢直樹が病院の案内図を見て。
「うわっ、地下って三階まであるよ!」
「大丈夫です。地下一階は駐車場なので、実質は二階と三階です」
五十嵐老人が教えた。
「この際、駐車場も除外すべきじゃないと思うんだ。
五十嵐さんと山本さんは駐車場で光るものを探してください」
安彦は言った。
「白尾さんと牧名君たちで二階を、俺と吹雪ちゃんはエレベーターで直接、三階に降りるよ!」
パワーシャベルは横に滑るように総合病院の駐車スペースにピタリと停まり、全員が飛び降りた。
安彦と吹雪ちゃんはエレベーターに乗る。
エレベーターは地下に向かって落下を始めた。




