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神鳴りさんと夕立ちの午後  作者: 六青ゆーせー
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五十嵐専務

安彦も、さすがにヤバイと思ったのだが…。


「すいません。そちらは、どなた様でしょうか?」


白尾春奈ちゃんが、安彦たちを制して、何も言うな、という風に目配せしながら前に進み出た。


「わしゃあ、あの家の管理をしているもんだ!」


老人は、まさに頭から湯気を出すほどに怒っていた。


「大きな音がするから見に来てみれば、お前らが走って逃げたのは見ていたんだからな!」


「お名前と会社名を伺ってよろしいですか?」


そっけなく白尾春奈ちゃんは問い返す。


「会社などない! わしは五十嵐とう者じゃ!」


森の木を揺らすほどの迫力で老人は怒鳴ったが、安彦も驚いた。


「ええっ! あなたは、あの五十嵐専務なんですか!」


さすがに老人は、えっ? と安彦たちを見た。




「そうか…、今井会長の依頼で社長宅を…。

しかし、だからと言って、勝手に押し込まんでもいいような…」


「押し込んでなんていませんよ」


と、今度は伊沢直樹が、にこやかに答える。


「玄関まで来たのですが、見ると鍵が置いてあったので、つい…。

確かに無断で入ったのは申し訳ありませんが、鍵を置いた人は誰なのか、その人の責任問題ですよねぇ」


と、うそぶくと、五十嵐老人は、うっ…、とつまった。


「…それは…、あんな家に入るものなどいないと思っていたので…」


「ええ、ええ、まぁ今回はお互いに、ちょっとした不手際があったようですけど…」


と、ニコニコ白尾春奈ちゃんが話を引き取り。


「彼女は中島吹雪。廃工場の退魔を引き受けた中島流退魔師の家元の子です。

退魔が難航しているために見に来たところなんですよ」


ほほほ、と、ことさらに笑った。


安彦は白尾春奈ちゃんの横から、顔を覗かせて。


「五十嵐専務は、あの工場の専務をしていた方ですよね。

ぜひ、当時の話を、特に、泥事件のことを伺いたいんです」


五十嵐専務の顔色が、一瞬で変わった。


「ば…、馬鹿な…、あんな昔の話を、今さらほじくり返して…」


「双葉さんの、命にかかわるんです!」


安彦が身を乗り出すと、老人は愕然とした。


「命が…、危ない…?」


安彦たちは全員で頷いた。

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