発見
しばらく、安彦たちは黙っていた。
「酷いよなぁ、これじゃあ、薬で殺されたようなものじゃないか…」
牧名正が声を絞り出した。白尾春奈ちゃんは。
「こういった例も、意外と多いのかもしれないわね。
精神科から、変な薬を処方されて、かえって障りに飲み込まれてしまうような…」
安彦がDAIRYを消すと、画面に突然、モノクロの映像が現れて、全員が、カタンと揺れた。
滝沢氏の友達によく似ていたという沼倉村の三人の子供たち…。
「こ…、これ、双葉さんに見せるために滝沢さんがわざわざ壁紙にした…」
安彦の声がうわずった。
「後ろの石、カシマサマって言うんだね…子供の神様か…」
「遠野物語では、名前は確か違ったけど、木像で、子供が綱をつけて引いたりして遊ぶものなのよ。
それを大人が叱ったりすると、かえって大人に祟りがあるらしいわ」
と白尾春奈ちゃん。
「さぁ」
吹雪ちゃんが声を上げた。
「気は済んだんでしょ。帰りましょ」
安彦はノートを取り出し、書き始めた。
「ちょっと待って。今、思いついたことがあって…。
あ、そうだ。
きっとこの部屋のどこかに、滝沢さんの聞いたオープンリールがあるはずだよね。探してみてくれないかな?」
吹雪ちゃんは、はぁ、と大きくため息をつき、肩を竦めた。
牧名正と伊沢直樹、それに高嶋裕が、部屋を探し始めた。
「窪田君って、結構几帳面よね」
白尾春奈ちゃんは安彦のノートを見た。
「普段、そんなにしないんだけどね。これは勉強と違って教科書がないから」
へへへ、と笑っているところに、高嶋裕が、あったよ、と声をかけた。
本棚の一番下の段が扉付きになっていて、その中にしまい込まれていたようだ。
機械に、オープンリールがセットされたままだ。
安彦たちは机の前のソファーテーブルにオープンリールを置き、機会に詳しい牧名正が真面目くさって言った。
「スイッチ、入れるぞ」
全員が、固唾を飲んで見守る。
パチン、と昭和の機械の、大仰なボタンスイッチを入れると、テープが回りだした。
ー継子だからと お山に捨てられー
ここで、合いの手が入るはずなのだが…。
急に、声が野太く、歪んだ。
「あれぇ、回転数がおかしいな…」
牧名正が機械に手を伸ばした瞬間。
薄暗い書斎が、赤く染まるほどの火が上がり、オープンリールの機械が、半分に折れると、爆発した。
皆が、叫びながら、椅子の影に身を隠した。
「みんな、怪我は無いか?」
安彦が叫ぶ。
全員無事だった。
「いや、別にバッテリーが入っているわけじゃないし、普通、いくら古くったって爆発するはずがないものなんだけどなぁ…」
真っ二つに砕け散った機械を見下ろしながら、牧名正が言う。
「カラスと一緒よ。
これは間違いなく障りだわ!」
吹雪ちゃんが言った時。
「おい! 誰かいるのか!」
玄関から声が響いた。
「やばい、逃げよう!」
安彦が言うと、伊沢直樹は無言で台所口へ向かった。




