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神鳴りさんと夕立ちの午後  作者: 六青ゆーせー
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壁紙

滝沢氏の首つり遺体の幽霊から、ほんの数歩に滝沢氏の書斎はあった。


木製の大きなドアの中は、両側面が天井まで伸びた本棚で、入り口から正面には、木製の両開きの窓があった。

窓の前に大きな机があり、相当に古そうなPCが置かれている。


部屋には他に、向かい合う形でソファーとテーブルのセットがあり、テーブルには大きな灰皿と、細かく彫刻されたパイプが置いてあった。


「滝沢さんは喫煙者だな」


牧名正は、見たまんま、語った。


「読書家とも言い難いわね。棚の本はほとんど全巻セットの名作集とかよ」


吹雪も辛らつに言う。

安彦は机の引き出しを見るが、ほぼ会社の関係や帳簿の類だった。


「あとはPCだね。

一応ウインドウズだから、98って書いてあるけど、たぶん操作は同じだよね…」


言いながら、安彦はスイッチを入れてみるが、動かない。


「残念ながら電源は止まってるんじゃない?」


白尾春奈ちゃんが言うが、伊沢直樹が。


「きれいに掃除されているし、定期的に人が入っているんだよ。

きっとブレーカーが落とされているんだ」


ブレーカーを探すことになった。

とはいっても、伊沢直樹は大体の個人宅の構造を熟知しているようだった。


「普通は台所口とか、風呂場の近くにあるものなんだよね。メーターは検診のため外に付けるから、その近くにブレーカーを設置するってわけ」


かすかに塵の積もった廊下の一番奥に居間とおぼしき、ブラウン管の大型テレビが置かれた部屋があり、その横手がダイニングテーブルのあるキッチンだった。

台所口があり、横にブレーカーが作られていた。


「警報が鳴ったりしないでしょうね」


吹雪が心配した。


「警備会社が入っていれば、入っています、とシールを必ず貼るんだよ。それに警備会社の操作盤は出入り口の近くにある。玄関にも台所口にも無いのなら、まずないはずだよ」


自分の家のように落ち着いて、伊沢直樹は言い、ブレーカーを上げた。

書斎に戻り、PCのスイッチを入れようとしたが、牧名正がストップをかけた。


「モデムがつながっているな。ランケーブルは抜いておいたほうが良いだろう」


確かに98と言えば、1998年ごろのPCのはずだ。迂闊に通電するとまずいかもしれない。

ランケーブルを抜いてから、電源を入れた。


ブーンと音がして、カタカタカタとPCが動き出した。


「へぇ、こんなマークがあったんだ」


WINDOWSの変なロゴが出て…。

急に画面に、モノクロの異様な画像が現れた。


予想外だったので、安彦は息を飲んだ。


「お…、驚いた。

あれか、壁紙ってやつか?」


牧名正が言う。


よく見れば、それは三人の子供を写した、一枚の写真のようだ。

子供たちは皆着物を着ていて、重ね着のせいか丸々と太って見える。

遠景は、村なのか、農村風の木造家屋が連なっていたが。


子供の背後に、変な石が積み重なったものが、いくつも建っていた。

子供の身長を考えても一メートル近く、石がまっすぐに積み重なっているようだった。


横の小さな石柱で、七段、隣は十段、その隣はおよそ八段と連なっているが、何か、意味は分からいものの、あるいは意味が分からないせいか、不気味だった。


「ねぇ、ちょっと、この石って…」


白尾春奈ちゃんが98の画面に顔を近づけた。


「一つ一つ、人の顔に見えない?」


「えっ…」


全員が写真を見つめ、そのまま黙り込んだ。

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