校門の前
安彦は食堂でケバブを食べてみた。
一度、自分で好きなだけ取ってみたかったのだ。
ケバブ丼とみそ汁で二百円だった。
一人、吹雪の指定席で食事をしながら、ノートにリストアップした。
1、滝沢氏は何を聞いたのか。
2、娘さんの話を聞くことは可能か?
3、何とかして、元従業員の話を聞けないか。
その三点が分かれば、、だいぶ話は見えてくるのではないか…、という気がする。
ふむ、と安彦は考えた。
廃工場には、吹雪の調べでは問題はなかったのに、重機は横転する。
それはきっと…。
赤い病院と同じ構造という事ではないか…。
赤い恋人と、画家の墓地の中心点として赤い病院があったように、廃工場の外から障りが入ってきているのだ。
と、安彦は興奮しながら考えた。
あの社と、他に何か…、どこか。
うん、きっとそうに違いない、などと夢中で考えていたため、肝心なケバブの味は、全く覚えていなかった。
やがて下校時間になり、校門に出た安彦は驚き叫んだ。
「吹雪ちゃん、どうして?」
吹雪は学生服ではなく、水色のワンピースに白いカーディガンを羽織って、立っていた。
「師匠のところに行っていたのよ。昨日の工場のことを話したら、来なさい、と言われて。
正直、今や中島から出してもらっているお金はここぐらいだから、休みたくはなかったけれど、やはり十万も貰っては、その位は仕方ないわね」
「吹雪ちゃん、お金が?」
「別に心配してもらうほどのことじゃないわよ。
あのアパート、二十万だし」
「ええっ、あのアパートって二十万円もするの!」
「違うわ。逆よ。
大家から毎月二十万円もらって、住んでやってるのよ」
「えっ! 住んでお金がもらえるの?」
「私が住み込みで抑えているから、大家は神泉駅から徒歩五分の優良物件でたんまり稼いでいるのよ。安いもんよ。
とにかく、今、分かっている限りのことは師匠に聞いてもらったわ。
でも、二柱の神様というのは案外難物みたいね。
はっきりしたことは分からなかったわ。
師匠も調べてくれているけれど…」
「俺もいろいろ考えたんだよ!」
安彦も成果を披露したかったが、校門に、一人の人物が現れた。
「殿様!」




