木像の謎
それから、しばらく安彦たちは二つの木像を調べてみたが、はっきりしたことは何も分からなかった。
木像自体が、非常にプリミティブ(と殿様は言った)なもので、どうも、それぞれ別の顔らしきものが彫ってあるという以上の区別はつかなかった。
安彦の目から見ると、それはイースター島にあるという石像に似ているようだったが、神様がそんな理由で安彦に木像を見せたとは思えない。
木像は、ほぼ首だけで、あとは無数に巻き付いた布が体の代わりをしていた。
一番上の布には、端に小さく平五と刺しゅうされており、その前の布には平四、平三、平二、昭六四となっていることから、おそらく平成四年までの間、誰かが木像に毎年新しい布を着せ続けてきた、と分かる。
しかし不思議なことに、昭十九より前には、隔年で交互に木像の布を着せ替えてたらしい。
「たぶん太平洋戦争を境に毎年布を着せるようにしたんだろうけどねぇ、それが、どういう意味なのかはちょっと…」
殿様も困っていた。
だんだん、日も暮れてしまったため、殿様はもう帰りましょう、と言ってくれた。
「君たちが、あの木像を見つけてくれたんだから、大収穫だよ」
吹雪ちゃんと安彦は、それぞれ封筒を受け取った。
食事をご馳走になり、夜の九時ごろ、安彦は家に帰った。
封筒の中身は、なんと十万円だった。
一応、祖父源十郎に今日の顛末を報告し、安彦は寝た。




