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神鳴りさんと夕立ちの午後  作者: 六青ゆーせー
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家柄

安彦は驚いていた。


源十郎との戦いは、大抵、安彦が気絶するまで攻められて終わるのだ。

良かった、などと言われたのは初めてだった。


朝食時もポカンとしたままで、そのままクラスに入った。


「どうしたんだい、変な顔をして」


メガネの牧名正が尋ねた。


いやぁ、と朝の一件を安彦は語った。


「ああ、そういうことか」


と坊主の伊沢直樹。


「窪田君は、神様が憑いてから初めて祖父さんと戦ったんだね。

神様が憑くとね、それだけで何パーセントか、体力や運動神経が良くなるんだよ。

ほら、赤服伝説って聞いたことない?

赤服の中等部が、高等部空手部主将を…」


安彦は愕然とした。


「そのせいだったのか!」


「僕も伊沢流忍術の家だから、そういうことがあったよ」


伊沢直樹は、初めて兄に勝った話を仔細に語った。


「忍術か! 凄いな、忍術が使えるとは!」


安彦は興奮するが、伊沢直樹は困ったように…。


「忍術なんて無いんだよ。

忍術というのは、基本、隠れて忍び込んだりする技術の集大成なんだ。

剛体術みたいに強い術は使えないよ」


伊沢直樹によると、鍵を開けたり、現代的な防犯設備のある施設に潜入するため、忍術は日々進化しているのだという。


「そういえば、みんなも窪田流みたいに神の山を守っている家柄なんだろ?」


安彦が聞くと、メガネの牧名正は。


「俺はマキナ電気の牧名だよ」


マキナ電気といえば、小型家電から電車のホームドア等大型施設まで手掛ける世界的電気メーカーだった。


「元々は刀鍛冶でね。

金属加工からやがて電気を扱うようになったんだ。

叔父さんは牧名竜門の名で今も刀鍛冶をしているんだぜ」


なるほど…、等と盛り上がっているところに白尾春奈ちゃんが登校してきた。


「なぁに? 何盛り上がっているの?」


家柄を聞いていた、と教えると白尾春奈ちゃんはニコッと笑って。


「あたしの家は、天竜神社だよ。

あたしもたまに巫女をやってるの」


御幣を振る仕草をしてみせた。


やがて体の大きな高嶋裕が教室に入ってきたので聞くと、なんと父親はレーサーの高嶋雷人なのだという。

元を辿ると流鏑馬などを行う高嶋流馬術と言うことになるのだという。

そうこう語っているうちに担任が来た。風吹ちゃんは、いつの間にか、後ろの席に座っていた。



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