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神鳴りさんと夕立ちの午後  作者: 六青ゆーせー
19/94

精神攻撃

なんだ…、これは…!


何か読経のような声が聞こえてくる。

それは安彦にとっては、意味の分からない言葉の羅列だったが、一定のリズムがあり、不思議に心地いい。


そう…。香りのような物も漂っていた。

香水の様に生々しい香りではなく、微かに漂う、心の落ち着くにおいだ。


体は、温かい風呂に入っているようにポカポカしてくる。


安彦は、その、温い湯の中に、ぽっかり浮かんでいるようだった。


ああ…、いい気持ちだ。


読経の声は、まるで心を休ませればいい、そのまま湯に浸っていればいい、と言っているように、体の全方位から聞こえてくる。


その声自体が、まるで安彦を癒すマッサージのように、皮膚を緩やかに揺らす振動だった。


ふぅ…と安彦は、眠りに落ちそうになった。


だが、心の底で、微かな違和感がある…。


何だろう…、心に、ちょっとしたささくれがあるような…。

なにかを思い出しそうな…忘れそうな…何が…、そんなに引っかかっているんだか…。


大きな眠りの波が安彦を襲った。


くらり…、と茫漠とした日溜まりに落ちそうになり、一瞬、自我を失った安彦は、あっ…、と思い出した。


「そうか!」


大声で叫んだ。


「あんたは、こうやって人を操っていたんだな、中島永信!」


心からの怒りだった。


安彦は読経の声を知っていることを思い出したのだ。

そして同時に、声の主、中島永信の思惑に気づいてしまった。


どんっ!


と霧が、安彦から飛退いた。


瞬間、吹雪が、気、のようなものを霧にぶつけた。


霧は、空中でかき消えた。


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